REGULAR

モウリーニョは丸く、しかし采配は鋭く。闇落ちを踏み止まり、クラシコで証明した「変身」

2026.10.30

サッカーを笑え #79

かつてはバルセロナへの敵意をむき出しにし、グラウンド外でも“戦争”を仕掛け続けたジョゼ・モウリーニョ。しかし10月25日のラ・リーガ第10節、敵地カンプノウでのクラシコ(○1-2)で63歳のレアル・マドリー新指揮官が見せた姿は、第一次政権時のそれとはまるで違っていた。

“負ける準備をしておけ”とは真逆

 こんなモウリーニョが見たかった。

 クラシコでの見事な勝利を見てそう思った。この試合については西部謙司さんの素晴らしい分析があるので戦術のことは言わない。個人のことだけを言う。

 アルダ・ギュレルとベルナルド・シルバが先発した。これは私も含めほとんどの人にとって驚きだった。レアル・マドリー側の解説者だった“グティ”(ホセ・マリア・グティエレス)も「驚いた」と言っていた。バルベルデを右SBに回しダブルボランチをチュアメニとベルナルドで組み、右にアルダを張り出させ、出場停止中のビニシウスに代わり左にディオマンデを起用、あとはムバッペ、ベリンガムを置く。これ以上にクリエイティブでテクニカルで攻撃的な布陣は望み得ない。バルセロナのプレスを回避できたのは、この顔ぶれだったからだと思う。バルセロナのずば抜けた強さ、カンプノウでの試合、負けると9ポイント差で優勝争い絶望の状況、モウリーニョの保守的な性格からすると、中盤の底がチュアメニとカマビンガ、右サイドがドゥムフリースとバルベルデという運動量・筋肉系メンバーで固める、という見方もあった。こちらの顔ぶれだったらプレスの餌食で、ボールを繋げていなかったのではないか。

 第一次政権(2010-13)でのモウリーニョの作戦と言えば、一貫して“ゴールの前にバスを置き、窓まで閉める”(人の壁を築いてゴールを物理的に塞いでしまう)だった。

……

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Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。

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