アンチェロッティ、フィリペ・ルイスにロシーニア、スティルも…今季リーグ1は“12/18”の新監督に注目あれ
おいしいフランスフット #31
1992年に渡欧し、パリを拠点にして25年余り。現地で取材を続けてきた小川由紀子が、多民族・多文化が融合するフランスらしい、その味わい豊かなサッカーの風景を綴る。
footballista誌から続くWEB月刊連載の第31回(通算189回)は、8月21日に開幕する2026-27シーズンのリーグ1で監督交代が相次いだ背景、そして中でも増え続ける外国人指揮官たちの手腕に注目したい。
この夏も3分の2が入れ替え、うち7人がフランス人以外
この週末、リーグ1の2026-27シーズンが開幕する。
今シーズンも、チャンピオンズリーグ2連覇中のパリ・サンジェルマン(PSG)が優勝候補の筆頭であることは間違いないが、ただでさえ強豪の彼らは、全18クラブの中で最も体制が安定しているクラブでもある。
というのも、2023-24シーズンに着任して今季で4年目に突入するルイス・エンリケ監督は、現時点のリーグ1在籍年数最長の指揮官なのだ。
4年目で最長というのは、いかに昨今のリーグ1で指揮官の入れ替わりが激しいかを物語っているが、今オフはなんと、12クラブが監督交代を決断した。
今世紀に入ってからの25年では9クラブ(2002-03、2009-10、2021-22)が最多だったから、これを余裕で超えている。しかもその時は20クラブ制だったのに対し、現在は18クラブ制。実に3分の2が新監督の下で新シーズンに突入するということになる。
前シーズンから継続するのは、PSGの他、リヨン(パウロ・フォンセカ)、レンヌ(フランク・エズ)、瀬古歩夢らのいるル・アーブル(ディディエ・ディガール)、そして昇格組の2つ、ル・マン(パトリック・ビデイラ)とトロワ(ステファン・デュモン)のみ。
その中でレンヌのエズ監督は、昨シーズンの2月中旬に着任したばかりでフルシーズンは今季が初だ。ル・アーブル、トロワ、ル・マンの3人は今季が3シーズン目で、ルイス・エンリケ監督に次ぐ持続年数。とりわけル・マンのビデイラ監督は、3部リーグ時代に着任して3部→2部、2部→1部と、毎年昇格を実現した功労者でもある。
今回の交代劇で興味深いのは、新たに着任した12人のうち7人が外国人指揮官であること。これは近年顕著に見られる特徴でもあって、リーグ1公式サイトにも、2000年代初頭は2001-02、2002-03シーズンに着任した計16人のうち14人がフランス人だったのに対し、過去3シーズンでは27人中17人がフランス以外の国籍の監督、というデータが載っていた。つまりは6割以上だ。
いきなりPSG撃破でタイトルを手にしたのは…
7人の外国人新監督を紹介すると、なかなか興味深いメンバーがそろっている。
■ディノ・トップメラー(RCランス/ドイツ)
■イェンス・バーテル・アスコウ(トゥールーズ/デンマーク)
■ウィル・スティル(オセール/イングランド&ベルギー)
■リアム・ロシーニア(パリFC/イングランド)
■フィリペ・ルイス(モナコ/ブラジル)
■ダビデ・アンチェロッティ(リール/イタリア)
■ウーゴ・オリベイラ(ストラスブール/ポルトガル)
RCランスを率いるトップメラーは、2026年1月までの2年半、フランクフルトを指揮していて、短期間ながら堂安律とも共闘している。アシスタント時代はRBライプツィヒとバイエルン・ミュンヘンでユリアン・ナーゲルスマンの下で働いていた。
初陣は8月16日、いきなりPSGとのスーパーカップ(トロフェ・デ・シャンピオン)となったが、結果は見事1-0での勝利。前半39分に退場者を出すも、その前に手にした先制点を守り切り、就任直後にして、RCランスにクラブ史上初のトロフェ・デ・シャンピオン杯をもたらした。
トゥールーズのアスコウ監督は、昨シーズンはスコットランド1部リーグのマザーウェルを4位と好成績に導き、カンファレンスリーグ予選出場権も獲得した。失点数を抑えた手堅い試合運びをしていたが、欧州5大リーグ初挑戦はどうなるか。
オセールのスティル監督は、お馴染み、伊東純也(現ゲンク)や中村敬斗を指導した元スタッド・ランスの指揮官だ。2024年5月に辞任後、RCランスでの1年を経て、昨シーズンは念願だったイングランドへの挑戦を実現したが、チャンピオンシップ(2部)のサウサンプトンでの任期は約4カ月、16試合で終了となった。約半年の無所属期間からの現場復帰となる。
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Profile
小川 由紀子
ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。
