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「守るために持つ」という進化へ。J1仕様となった「水戸ホーリーホック2.0」

2026.08.18

水戸ホーリーホック昇竜伝#12

J2の中でも少ないクラブ予算ながら一歩一歩積み上げてきた水戸ホーリーホックは、エンブレムにも刻まれている水戸藩の家紋「三つ葉葵」を囲む竜のようにJ1の舞台へたどり着いた今も、さらに高みを見据えている。困難な挑戦に立ち向かうピッチ内外の舞台裏を、クラブを愛する番記者・佐藤拓也が描き出す。

第12回は、J1で勝ち抜くため、そして生き残るための新スタイルを掘り下げる。J1初挑戦の舞台で、水戸ホーリーホックは百年構想リーグで積み上げた成果を示した。ガンバ大阪とのホーム開幕戦で見せたのは、アグレッシブなハイプレスと組織的な守備を融合させた「J1仕様」の戦い方。しかし、勝利にあと一歩届かなかった90分は、新たな課題も浮かび上がらせた。守備を機能させるために、より長くボールを持つ――。攻撃と守備を高いレベルで結びつける「水戸ホーリーホック2.0」の輪郭に迫る。

百年構想リーグで貫いた「徹底」の価値

 クラブ創立32年目にして、初めてJ1の戦いに挑んでいる水戸ホーリーホック。そして8月15日、ホームスタジアムをケーズデンキスタジアム水戸から水戸信用金庫スタジアムに移して、クラブ史上初となるJ1ホームゲームに臨んだ。第2節ガンバ大阪戦。そこで見せたのは、百年構想リーグから進化したチームの姿だった。

 百年構想リーグで水戸が貫いたのは攻守においてアグレッシブに戦うことだった。樹森大介監督が特にこだわったのはハイプレスをかけていくこと。その理由をこう説明した。

 「数年前のJ1だったら、守備を固める戦い方が通用したと思うんです。でも、そういう戦い方は今のJ1では通用しないということを前年新潟の監督を務めて痛感しました。なので、アグレッシブな戦いを貫くことを決めました」

 守備を固めて守れるほど今のJ1は甘くないことを樹森監督は25年に新潟の監督を務めて痛感させられた。相手に自由を与えると、ゴールを脅かされてしまうし、引いた相手を崩すための戦術も整備されている。だからこそ、常に強度の高いプレッシャーをかけて、自由を与えないようにしてボールを奪いに行く姿勢を選手たちに浸透させるために、百年構想リーグではハイプレスをかける戦いを徹底した。どのチームが相手でも臆することなく、果敢にプレッシャーをかけていく戦いを貫いた。

 リーグ序盤こそ、勢いで相手を上回り、主導権を握る戦いを繰り広げてチームは自信をつかんでいった。そして第9節から3連勝(PK戦を含む)を飾り、そのまま上昇気流に乗るかと思われた。だが、リーグ後半戦は水戸の戦い方を研究されて、ハイプレスを打開されて劣勢を強いられる試合が続いた。相手の攻撃に対応しきれず、退場者を出す試合も増え、また、フィジカル的な負荷の大きな戦い方ゆえ、ケガで離脱する選手も続出した。それでも、樹森監督はスタイルを変えることはしなかった。あくまでチームとしてのベースを築くために、最後までハイプレスにこだわり続けた。最終的にリーグ最多失点を許し、20チーム中18位に終わった。結果に関して、樹森監督はまったく満足することはできなかった。しかし、チームとしてのベースづくりには一定の手ごたえを感じることはできた。

 「スタイルを構築している中で『あれもやる』『これもやる』となってしまうと、どっちつかずの戦い方になってしまう。それが嫌だったので、ベースを明確にすることを徹底しました」

アグレッシブさと堅固さを融合した「J1仕様」の守備

 その「徹底」の経験をどのように生かして、守備を立て直していくか。J1を戦い抜くためのポイントとなった。

……

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Profile

佐藤 拓也

1977年生まれ。神奈川県出身茨城県在住のフリーライター。04年から水戸ホーリーホックを取材し続けている。『エル・ゴラッソ』で水戸を担当し、有料webサイト『デイリーホーリーホック』でメインライターを務める。

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