失意の敗戦がチームを強くする。黒田ゼルビア、ACLE決勝敗北からの再起
ゼルビア・チャレンジング・ストーリー 第36回
町田の名を全国へ、そして世界へ轟かせんとビジョンを掲げ邁進するFC町田ゼルビア。10年以上にわたりクラブを追い続け波瀾万丈の道のりを見届けてきた郡司聡が、その挑戦の記録を紡ぐ。
第36回では、悔しい準優勝に終わったAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)決勝後のチームの変化に着目。いかに敗戦を受け止め、どんな変化がもたらされたのか。強化部や選手、監督の言葉から振り返る。
痛恨の失点シーンは、今でも脳裏に焼きついて離れない。
ACLE決勝の延長前半6分。反対サイドから入ってきたクロスボールに対して、自身の前後を相手選手にサンドされた中村帆高は為す術もなかった。最終的に中村が触れなかったクロスボールは、アル・アハリ・サウジにとっての虎の子の1点として結実。ACLEノックアウトステージ5試合目の延長戦にして、町田は初めての失点を喫した。
初出場・初優勝という前人未到の金字塔樹立に挑んだ町田の挑戦は無念の敗北。失点の当事者となった中村が、ACLEファイナルズ決戦の地・サウジアラビアから帰国後、初めて口を開いた際の言葉が印象深い。
「サッカー選手をやっている間にあれほど大きな舞台に立てるとは思っていなかったので、サウジアラビアから戻ってきた期間には、ここまで連れてきてくれたクラブに対する感謝の気持ちを強く抱きましたし、チームメイトとあの舞台を制して喜びたいという気持ちがフツフツと沸いています。結果に後悔はないですが、失点シーンのことが頭によぎることはあるし、それは自分の甘さが出た時にまたあの時の現実が頭をよぎるんだと思います。決勝で負けた経験は良くも悪くも脳裏にアプローチしてくるでしょうから、その重圧に負けないように、“ナニクソ精神”でやっていきたいです」
決勝で敗れた怒りの矛先を自分自身に向けたチーム主将の昌子源は、気合いを入れ直すために黄金色の短髪に大変身。アジアの頂点を懸けたラストバトルに挑んだ選手たちは、思い思いの心持ちで敗戦のダメージを消化しようとしていた。
“ピッチ上の悔しさはピッチでしか晴らせない”。そのことを熟知している選手たちは、日常のJリーグに帰還し、再びACLEの頂点を目指す権利を取得するために奮闘した。
今回の連載は失意の結果から這い上がり、再びアジアの頂点を目指そうと奮起する強化部サイドを含めたトップチームの動向に迫った。
原FDによるACLE回顧
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Profile
郡司 聡
編集者・ライター。広告代理店、編集プロダクション、エルゴラッソ編集部を経てフリーに。定点観測チームである浦和レッズとFC町田ゼルビアを中心に取材し、『エルゴラッソ』や『サッカーダイジェスト』などに寄稿。町田を中心としたWebマガジン『ゼルビアTimes』の編集長も務める。著書に『不屈のゼルビア』(スクワッド)。マイフェイバリットチームは1995年から96年途中までのベンゲル・グランパス。
