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なぜネイマールをW杯へ?ブラジル国内の賛否と“王様扱いしない”アンチェロッティの目論見

2026.05.23

サウダージの国からボア・ノイチ 〜芸術フットボールと現実の狭間で〜 #28

創造性豊かで美しいブラジルのフットボールに魅せられ、サンパウロへ渡って30年余り。多くの試合を観戦し、選手、監督にインタビューしてきた沢田啓明が、「王国」の今を伝える。

footballista誌から続くWEB月刊連載の第28回(通算206回)は、6大会ぶり6度目の優勝を目指して、「体調が100%でない選手は招集しない」と言い続けてきた名将が選んだ、セレソン(ブラジル代表)の北中米Wメンバーについて。

「彼の経験はチーム全体にとって非常に有益」

 W杯に臨むセレソンのメンバー発表は、リオデジャネイロのブラジルサッカー連盟(CBF)か市内のホテルで行われるのが通例だ。しかし、今回は初めて一般に公開された。5月18日午後、リオ港に面した「明日の美術館」前の広大なスペースで挙行され、セレソンやクラブのユニフォームを着た数千人のファンが集まった。

 ロドリゴ・カエターノ強化部長に続いて壇上に登ったカルロ・アンチェロッティ監督は、CBFとの契約を2030年W杯終了時まで延長したことに謝意を述べた後、26人の名前を呼び上げた。

 GK3人に始まり、一人ひとりの名前とクラブ名が呼ばれるたびに、拍手と歓声が上がる。DF9人、MF5人に続いて、最後にアタッカー。その6人目、全体では23人目が「ネイマール・ジュニオール、サントス」だった。これを聞いて大勢のファンが絶叫しながら飛び上がり、周囲の人々と抱き合って喜びを露にした。イタリア人指揮官は、ビニシウス・ジュニオール(レアル・マドリー)の名前を最後に「オブリガード」(ご清聴ありがとう)とつぶやき、落ち着いた表情で発表を終えた。

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Profile

沢田 啓明

1986年ワールドカップ・メキシコ大会を現地でフル観戦し、人生観が変わる。ブラジルのフットボールに魅せられて1986年末にサンパウロへ渡り、以来、ブラジルと南米のフットボールを見続けている。著書に『マラカナンの悲劇』(新潮社)、『情熱のブラジルサッカー』(平凡社新書)など。

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