新生・四方田トリニータの船出。「湧き上がるフットボール」実現への地道な構築の始まり
トリニータ流離譚 第33回
J3からJ2、そしてJ1へと昇格し、そこで課題を突きつけられ、漂泊しながら試練を克服して成長していく大分トリニータのリアルな姿を、ひぐらしひなつが綴る。第33回は、新生・四方田トリニータのキャンプレポート。吉岡宗重SDが宣言した「湧き上がるフットボール」を実現するために、新監督が何をやろうとしているのかを伝えたい。
昇降格のない百年構想リーグを「これからの大分トリニータはこうだと言えるようなフットボールを構築する期間にしたい」と吉岡宗重SDが宣言し、その目指すところを指し示すキーワードとして「湧き上がるフットボール」を掲げてスタートした今季。それをピッチに描き出すチームを新たに率いていく四方田修平監督の地道な構築が、今、少しずつ進みつつある。
「初日からこんなに?」短期間だからこそ「量」にもこだわる
チーム始動は1月5日午後。百年構想リーグに向けて整えられた34人のスカッドのうち、負傷とコンディション不良のメンバーおよび母国への里帰りから未合流のペレイラとパトリッキ・ヴェロンを除く全員で、初日から長時間にわたり負荷の高いトレーニングが行われた。体幹やサーキットなどのフィジカルメニューを入念にこなした後、カウンターとポゼッション、さらにはミニゴールを置いてのゲーム形式。早速「湧き上がる」を体現するような走らせぶりに、見守る報道陣からも思わず「初日からこんなに?」「長い……夕方のニュースに間に合わないかも」といった声が漏れる中、全体練習終了後には、さらに若手のみの居残り練習までもが課された。その居残り練習まで、指揮官自らがグラウンドの中央で声を出して仕切っていたのも印象的だった。
「長時間やってしまって、寒い中お待たせしちゃってすみません」と少し申し訳なさそうに囲み取材に現れた四方田監督は、初日のトレーニングについてこう話した。

「ケガなくしっかりと体を動かす、ほぐす、心肺機能を上げるということを中心にですけど、その中でやはり今季のベースとする、しっかり動きながらとか走ってサッカーをするとか、湧き出るようにどんどん後ろから前に出ていくというところ、予測されないような3人目の動きを積み重ねていくところ。攻撃のところで見ている人をワクワクさせるような躍動感のあるサッカーをしていきたい。ただそれはそんなに簡単なことではないと思っていますので、しっかり鍛えて、短い期間ですけど積み上げて開幕戦に向かっていきたいなと思っています」
2年連続J2残留争いに巻き込まれて積極性を失いかけていた選手たちに、再び前へと向かう強い意志を取り戻させつつ新たなスタイルを浸透させていく。百年構想リーグに向けての準備期間が短いため、通常よりも急ピッチで進めなくてはならない。「やる量を増やすことで時間の短さを解決していければ」ということで、選手たちにも「昨年より2、3割は練習がキツくなると思ってほしい」と伝えた。
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Profile
ひぐらしひなつ
大分県中津市生まれの大分を拠点とするサッカーライター。大分トリニータ公式コンテンツ「トリテン」などに執筆、エルゴラッソ大分担当。著書『大分から世界へ 大分トリニータユースの挑戦』『サッカーで一番大切な「あたりまえ」のこと』『監督の異常な愛情-または私は如何にしてこの稼業を・愛する・ようになったか』『救世主監督 片野坂知宏』『カタノサッカー・クロニクル』。最新刊は2023年3月『サッカー監督の決断と采配-傷だらけの名将たち-』。 note:https://note.com/windegg
