REGULAR

2強のアンチテーゼとして、まだ何かが足りないアトレティコ・マドリーの立ち位置と変化の時

2026.01.11

サッカーを笑え #59

18日のスペイン・スーパーカップ(スーペルコパ・デ・エスパーニャ)準決勝、サウジアラビアで開催されたマドリッドダービーは、1-2レアル・マドリーに軍配が上がった。過去4シーズンは無冠が続き、今季リーガでも前半戦を4位(1153敗)で終えたアトレティコ・マドリー。2強と彼らの決定的な違いとは?

 「2強になれない永遠の三番手」。そんなアトレティコ・マドリーの立ち位置を再認識させられたかのようなスペイン・スーパーカップ準決勝レアル・マドリー戦だった。

 内容では上回った。55%のボールを支配しシュート数では22本対8本と圧倒的な差をつけた。が、スコアは1‐2と惜敗。まだ何かが足りない。オブラクがほぼ正面のFKなのに3人しか壁を置かず、バルベルデに弾丸シュートを叩き込まれてわずか2分で先制される。守備的なギャラガーを中盤の底でコケと並べたディエゴ・シメオネのメッセージは“前半は耐える”だったが、それがあっという間にぶち壊しになった。

 レアル・マドリーの守備は組織としては破綻しており、ビニシウスが守備をしないせいで下がって耐えるだけになっていたが、さすがに個の力――特にクルトワ、リュディガー、チュアメニ――は強かった。アトレティコはラストパスのバエナ、センタリングのジュリアーノ・シメオネがシュートチャンスを作ったが、ゴールをこじ開ける個人技が不足していた。セルロートは頭で1得点と合格点だったが、2強以外に所属する唯一の世界的なゴールゲッターであるフリアン・アルバレスが不調を引きずったままでワールドクラスらしい違いを作り出すプレーができなかった。

アトレティコ・マドリー対レアル・マドリーのハイライト動画

インターナショナルブランドとドメスティックブランド

 移籍情報サイト『Transfermarkt』によると、アトレティコ・マドリーのクラブ市場価値6億ユーロは2強の約半分で4位のアスレティック・ビルバオの倍、つまり“追い抜けないし追い抜かれない”不動の3位の地位を確立している。ここ2シーズンは新スタジアム建設で資金難の2強を上回る1億8800万ユーロ、1億7600万ユーロ(25-26夏のみ)を選手獲得費用に注ぎ込み選手層は厚くなった。誰が出てもそん色ないという意味では2強より上で、並びも顔ぶれもいじりたがるシメオネにとっては理想的なチームになった。しかし、飛び抜けた存在がいない。市場評価額5000万ユーロ以上の選手はバリオス、バエナ、フリアン・アルバレスしかいないのに対してレアル・マドリーには12人(ハイセン、カレーラス、アレクサンダー・アーノルド、チュアメニ、カマビンガ、バルベルデ、ベリンガム、アルダ・ギュレル、ムバッペ、ビニシウス、ロドリゴ、マスタントゥオノ)、バルセロナには9人(クバルシ、クンデ、バルデ、ペドリ、フェルミン、ダニ・オルモ、ラフィーニャ、ヤマル、フェラン・トーレス)いる。

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Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。

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