SPECIAL

ナーゲルスマン到来で役割激変。RBライプツィヒのCBは“適応中”

2019.12.19

注目クラブの「チーム戦術×CB」活用術

欧州のトップクラブはセンターバックをどのようにチーム戦術の中に組み込んでいるのか。そしてCBはどんな要求に応え、周囲の選手と連係し、どんな個性を発揮しているのか。2019-20シーズンの興味深い事例を分析し、このポジションの最新スタイルに迫る。

#13_RBライプツィヒ

 RBライプツィヒの新指揮官ユリアン・ナーゲルスマンは、恩師ラルフ・ラングニックが築いたハイプレスサッカーの土台に、ポゼッションの要素を加えることに取り組んでいる。その中で、最も役割が変わるのがCBだ。

 ナーゲルスマンはこう説明する。

 「昨季まで、RBライプツィヒのCBはロングボールを蹴る回数が多かった。だが私の下では、グラウンダーのパスで攻撃を組み立てることが求められる。どのCBも習慣を変えるのは簡単ではないだろう」

 開幕当初の攻撃時の基本布陣は[3-1-4-2]。ウイングバックが上がって幅を取り、2トップと2人のインサイドMFが絞って中央に数的優位を生み出す。CB3人は相手のプレスをかわしながら、良質なパスを供給するのが仕事だ。特に3バック中央のCBは単に縦パスを通すだけでなく、機を見て最後尾からドリブルを仕掛けることが求められる。イブラヒマ・コナテは「ナーゲルスマン監督はいつDFラインを離れてドリブルを仕掛けるべきか、細かく説明してくれる」と地元紙に明かした。

 ナーゲルスマンの考えはこうだ。

 「中央のCBは、ハーフディフェンダー(左右のCB)より攻撃的センスが求められる」

 もちろんハーフDFが下ということではない。役割が違うということだ。味方が深い位置まで侵入している時、ハーフDFはカウンターに備えて、浮いている相手をケアすることが求められる。例えば、味方がクロスを上げた瞬間に相手のトップ下をマークするという感じだ。オフサイドトラップよりも高い位置での再奪取を優先しており、3人のCB全員がセンターラインを越えることが多い。

 一方、守備では3人が左右に素早くスライドすることが求められる。それによって両ウイングバックが高い位置に留まることができ、より激しいプレスをかけられるからだ。

 開幕直後の完成度はまだ低く、ブンデス第4節バイエルン戦(1-1)では5バックになってしまってプレスがまったくかからず、後半に4バックへと変更せざるを得なかった。また、第6節シャルケ戦(1-3)では攻撃時に3バック、守備時に4バックに切り替える可変システム(攻撃時はザビツァーがウイングバック、守備時はハルシュテンベルクが左SBになる)に挑んだが、可変のスピードが遅く失敗に終わった。

 とはいえ、まだナーゲルスマンが来て半年も経っていない。ウィリー・オルバンが「ポジショニングとビルドアップが劇的に巧くなった。まだまだ伸びる」と語っていたように、選手たちは大きな手ごたえを得ている。

 CBの適応が終わった時、RBのDNAの進化は第2フェーズに突入するはずだ。

10月上旬に3バックの要コナテが負傷離脱して以降は4バックをメインに移行。10月下旬にはオルバンも戦列を離れる事態に見舞われながら、第15節終了後チームはついに首位に立った。さすがの采配を見せるナーゲルスマン監督が主力CB復帰後にどうチームを組み立てていくのかも見どころの一つだ


Photo: Bongarts/Getty Images

TAG

RBライプツィヒユリアン・ナーゲルスマン

Profile

木崎 伸也

1975年1月3日、東京都出身。 02年W杯後、オランダ・ドイツで活動し、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材した。現在は帰国し、Numberのほか、雑誌・新聞等に数多く寄稿している。