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【完全版】“少年”のまなざし ダビド・ビジャ独占インタビュー

2019.07.12

2019年11月13日、2019年シーズン限りでの現役引退を表明したダビド・ビジャ。偉大なる点取り屋への惜別を込め、今年7月に開催された 『Rakuten CUP Supported by スカルプD』 に向けて収録し一部を公開していた独占インタビューを特別に全文公開する。

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“日本で世界最高レベルのプレー、サッカーを見ることのできるフェスティバル”

ピッチに立てばチームの誰よりもゴールを挙げヴィッセル神戸を牽引し、ピッチを出れば何事にも興味を抱き全力で日本を楽しもうとする。37歳を感じさせない澄んだ瞳はまさに“エル・グアヘ”(少年)だ。

この夏、バルセロナと再会を果たすダビド・ビジャが古巣バルセロナ時代の思い出と対戦に向けた意気込み、そして今、ヴィッセルでの奮闘と日本での生活を語る。

輝くバルセロナ時代

――いよいよ、あなたの古巣であるFCバルセロナが来日します。3シーズンを過ごし、計8つのタイトルを掲げたバルセロナとのピッチ上での“再会”は、あなたにとってどのような意味を持ちますか?

 「それはもう、特別だよ。ヴィッセル神戸のサポーターはもちろん日本のサッカーファンにとっても、バルサのようなスター選手ぞろいの強豪チームとの一戦は特別なものになるよね。個人的にも、対戦が待ち遠しいよ。バルサでは今も多くの友人たちがプレーしているからね。早く彼らとピッチ上で挨拶を交わして、戦いたい。誰にとっても特別な一日になることは間違いないよ」


――バルセロナでは通算48得点をマークしました。最も印象に残っているゴールを教えてください。

 「一番重要な得点は、ウェンブリーで戦った10–11シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ決勝でのゴール。選手であれば誰もが憧れるUCLファイナルという舞台での得点だから、どれか一つ選ぶならあのゴールになるね」


――では、最も記憶に刻まれているタイトルを一つ選ぶとすれば?

 「それも同じで、10–11シーズンのUCLだね」


――バルセロナでの3シーズンは、あなたのキャリアの中でどんな意味を持っていますか?

 「とても大事な3年間だった。8つのタイトルを獲得しただけじゃなくて、世界中から『最も美しいサッカーを実践するチーム』という称賛を受けることができたんだから。とにかく素晴らしい時間を過ごすことができた、そのひと言に尽きるよ」


――さらに、メッシ、シャビ、イニエスタという選手たちとプレーする機会に恵まれました。

 「ええ。彼らのような世界最高の選手たちと一緒にプレーできたのは僕のキャリアにとって本当に大きなことだし、そうした経験も含めてバルサで過ごした3シーズンは『素晴らしい』以外の表現が見つからない時間だったよ」


――メッシの凄さをどう表現しますか?

 「唯一無二。彼ほどのタレント、クオリティを兼ね備えた選手を次に目にできるのは、相当先の時代になるだろうね。メッシの凄さは、日々のトレーニング、毎週の試合でその実力を常に披露し続けていること。これだけ長い期間、毎週、毎日高いパフォーマンスを発揮し続けている選手を、僕は知らない」


――バルセロナのサッカー哲学をどのように説明しますか?

 「ボールを持つ。できる限り長い時間ボールを支配する。ゲームをコントロールする。パスを繋ぐことによって相手陣内深くまで侵入し、ゴールを奪う――その哲学はバルサにとって、たとえ選手、監督が変わろうとも不変のものなんだ」


――昨シーズンのコパ・デルレイ決勝は奇しくも、ともにあなたの古巣であるバレンシア対バルセロナになりました。ちょっと複雑な心境だったかもしれませんが、ご覧になりましたか?

 「ああ、観たよ。僕にとってはともに大切なクラブで、在籍期間中に良くしてもらったサポーターのことは今でもリスペクトしている。両方応援しているから、確かに複雑だった。今は、優勝したバレンシアをおめでとうとお祝いするだけ。バルサにとっては残念な結果だったけど、彼らはリーガのタイトルを獲ったからね。古巣の2クラブがそれぞれタイトルを獲得したのはうれしいことだよ」


――昨シーズンのバルセロナをどう評価していますか?

 「全体的には良いシーズンだったと思う。ただ、最後にコパ・デルレイ決勝で敗れていい締めくくりができなかった。やっぱり、リバプールとのUCL準決勝第2レグでの敗戦で、心理的に大きなダメージを負ったのは間違いない。あの第2レグまでのバルサにとっては、すべてが順調に進んでいるシーズンだった。一年を通して安定感のある戦いをしていたのに、一夜にして劇的に状況が変わってしまった。あの出来事を説明するのは不可能だと思う」


――バルセロナやリーガの試合は今でもご覧になっているのでしょうか?

 「ああ。日本では深夜のキックオフになることが多いからLIVEでチェックするのは難しいけど、それでも重要な試合や古巣の試合はできる限り見るようにしているんだ」


――バレンシア時代を筆頭に、あなたはバルセロナとの対戦経験も豊富です。敵として見たバルセロナの攻略法を教えてください。

 「難しい質問だね(笑)。夏の親善試合は選手の入れ替えがあるしコンディションもバラバラだから、シーズン中みたいにチームの強みや弱点をスカウティングすることはできない。具体的にどう戦うかは試合が近づいてきた時に考えたいと思っているけど、基本的にはバルサは弱点のないチーム。いつ対戦したとしても勝利することが難しい相手だよ」


日本での、ヴィッセルでの挑戦


――ここからは、現在のお話を聞かせてください。まずは、Jリーグでの戦いの振り返りから。チームとしては苦しい前半戦でしたが、自身はチームトップスコアラーとなる6得点(※J1第14節終了時)を挙げました。自分のプレーには満足していますか?

 「チームがいい結果を出せていない時は、個人としていくらゴールを決めたって満足できない。チームとしてポジティブな結果を出すために最大限の努力をするつもりだし、一日一日を大切に良いトレーニングを積んで、いい準備をしていくよ」


――チーム向上の手ごたえは感じていますか?

 「ああ。ここ2試合(J1第13節/第14節)連続して勝ち点を挙げられたし、チームには一体感もある。後半戦に向けて、いい感触をつかめているよ」


――日本サッカーへの適応は難しいものでしたか?

 「国やリーグによってサッカーはまったく違うから、国が変われば適応の時間が必要になる。ただ、今のところ日本サッカーへの適応はスムーズに進んで、満足できるレベルにあると感じているよ」


――実際にプレーして感じた日本サッカーの印象を聞かせてください

 「とてもインテンシティが高く、質の高いサッカーをするチームが多いと感じている。まだ少しの期間しかプレーしていないから時期尚早だけど、ここまでのところはそういう印象だね。両チームがコンパクトな陣形を形成して、スペースの少ない展開が多い。FWからすればプレーする、ゴールを奪うのが簡単じゃないリーグだと感じているよ」


――日本での対戦はありませんが、Rakuten Cupにはプレミアリーグの強豪チェルシーも参戦します。チェルシーにはあなたの知り合いであるスペイン人選手が数多く所属していますね。

 「そうだね。ペドロとはバルサ時代に、アスピリクエタとはスペイン代表で一緒にプレーしたし、ケパやマルコス・アロンソもいる。彼らがUEFAヨーロッパリーグのような重要なタイトルを獲ったことをうれしく思っているよ」


――そんなバルセロナやチェルシーの選手たちオススメしたい、日本の観光スポットはありますか?

 「行ったことのある場所で言えば京都、東京、神戸、姫路あたりかな」


――すでにいろいろな場所に足を運んでいるんですね。

 「オフの時には家族で近場の観光地に出向いているよ。東京にはイベントで行く機会があったんだ。時間ができたら次は広島に行ってみたいと思っているよ」


――観光以外でバルセロナの元チームメイト、友達にオススメしたい日本での経験は?

「すべてを勧めたいね(笑)。日本での経験は僕ら外国人にとってすべてが新鮮で、僕も家族も日本での生活に満足しているんだ。とても居心地の良い国で、神戸はとても住みやすい街だしね。日本のみんなには毎日良くしてもらっているから、バルサの友人たちにもホスピタリティあふれる日本のみんなとの交流を経験してもらいたいと思っているよ」


――日本での再会について、バルセロナの選手たちとはすでに話をしていますか?

 「まだ具体的な話はしていないよ。ただ、ブスケッツとは普段からよく連絡を取り合っているんだ」


――日本の夏は気温はもちろん、湿度も高くなります。選手にとってはプレーするのが難しい環境でしょうか?

 「僕はアメリカで夏にプレーをした経験がある。ニューヨークは湿度が高い地域だったから、個人的には問題ないよ。ただ、一般的にはサッカー選手にとって夏のプレーは難しいものだけどね」


――最後に、古巣バルセロナ戦への意気込みとファンへのメッセージをお願いします。

 「僕個人としても古巣との対戦は楽しみだし、親善試合とはいえ勝利を目指して戦う。日本で世界最高レベルのプレー、サッカーを見ることのできるフェスティバルでもあるから、ぜひ楽しんでもらいたいよ」

David VILLA Sánchez
ダビド・ビジャ・サンチェス(ヴィッセル神戸)

1981.12.3(37歳)174cm / 68kg FW SPAIN

スペイン北部アストゥリアス州ラングレオ出身。幼少期から抜きん出た才能を発揮し、自分より大きな年上の選手たちに混ざってプレーしていたことからアストゥリアス語で「少年」を意味する「エル・グアヘ」(El Guaje)の愛称で呼ばれるようになった。地元スポルティング・ヒホンのBチーム(3部リーグ)でプロデビューを飾った2000-01シーズンから10季連続で2桁得点をマークするなど十分な実績を引っさげ、2010年にバルセロナへと加入。初年度に獲得したリーガとCLの2冠をはじめ、2011年のFCWCなど計8タイトルを掲げた。また、通算98試合59ゴールの数字を残したスペイン代表としてEURO2008と2010年W杯優勝も果たしている。バルセロナを離れた後はアトレティコ・マドリーを挟んで国外挑戦。オーストラリアでの半年、ニューヨークでの4シーズンを経て、今シーズンからチャレンジの場をヴィッセル神戸へと移した。

PLAYING CAREER
2000-03  Sporting Gijón
2003-05  Zaragoza
2005-10  Valencia
2010-13  Barcelona
2013-14  Atlético Madrid
2014        Melbourne City (AUS)⋆
2014-18  New York City (USA)
2019-      Vissel Kobe (JPN)
⋆=on loan


Photos: Takuya Nagamine

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ヴィッセル神戸ダビド・ビジャ戦術文化

Profile

小澤 一郎

1977年、京都府生まれ。サッカージャーナリスト。早稲田大学教育学部卒業後、社会人経験を経て渡西。バレンシアで5年間活動し、2010年に帰国。日本とスペインで育成年代の指導経験を持ち、指導者目線の戦術・育成論やインタビューを得意とする。専門媒体に寄稿する傍ら、欧州サッカー(ラ・リーガ/ポルトガルリーグ/CL)の解説、関連番組 などに出演。著書17冊(訳書、構成書も含む)。(株)アレナトーレ所属。