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「育成の水戸」を支える選手教育担当・中川賀之。ピッチ外で選手と寄り添い、才能を育む

2022.10.18

毎年、多くの選手をJ1に送り出しながら、着実にチーム力を高めている水戸ホーリーホックは「育成の水戸」と評価されるようになって久しいが、選手を育成するために力を入れているのはピッチの中だけではない。ピッチの外でも様々な取り組みを行い、選手の内面を鍛えながら能力を育んでいる。その中心を担っているのが選手教育担当を務める中川賀之。現役時代はエクアドルリーグでプレーし、引退後はサッカーやラグビーのワールドカップやオリンピックで代表チームのリエゾン(出場チームに帯同して、各関係者や団体との交渉や世話役を務める渉外担当)を務めてきた。国内外で積み重ねてきた豊富な経験を活かして、選手たちの理解者として成長の後押しをし続けている。

『選手教育担当』という役職とその役割


――『選手教育担当』という役職について聞かせてください。Jリーグとして各クラブにその役職を置くことが義務付けられているようですが。

 「そうです。各クラブに1人は『選手教育担当』を置いて、主に若手のトップチーム選手への教育を担当し、選手と様々な関わりを持ちます」


――実際にどんな役割をされているのでしょうか?

 「Jリーグから新人研修をはじめ、選手教育に関する連絡窓口としてそういう役職を置くことを義務付けられていますが、運用方法については各クラブに委ねられており、クラブによっては、クラブ独自の選手教育(研修)プログラムを行っています。その際に選手教育担当を中心にプログラムを進めることが多いようです」


――水戸ではどのような取り組みを行っていますか?

 「まず、シーズンのはじめに主に新加入選手を対象にオフ・ザ・ピッチでの活動のプレゼンを行います。クラブとしてどのような活動をどの程度、どのくらいの頻度で行っているかを説明し、オフ・ザ・ピッチにおける選手としての大切な役割、大きな価値、意義ある取り組みということを説いていきます。また、社会に貢献する人材を育成するために、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)作成の面談を行います。選手1人1人とミーティングをして、選手の原体験やその時に感じたこと、それによっての気づきや学んだこと、また思考などを聞いていきます。そこに対して何かアドバイスをするわけではないですが、アウトプットする場を設けています。Make Value Project(MVP)の調整やファシリテートを行うこともあります。その他、社会連携事業『Make Future Project(MFP)』も担当しています。選手が外部で講演や講義などする時の準備調整、プロジェクトの運営や進行、フォローアップなどのサポートもしています。MVVの面談で内面を引き出し、MVPで他者の考え方や価値観をインプットして、そしてMFPなどでアウトプットする。そういう循環を作っています」

※MVP…水戸ホーリーホックが独自に行っている選手人材育成プログラム。週に1回、外部から様々な分野の専門家を招き、選手に向けての講義を行っている。座学だけでなく、ワークショップやスポンサー企業の社員研修に参加することもある。

※MVV…MVPの一環として、キャリアコーチと選手が継続的に面談をして「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の策定をする取り組み。原体験を振り返り、自らのサッカー選手であるうえのスタンスや価値観、使命感を見つめ直すことでピッチ内外でのパフォーマンス、言動、行動の質の向上につなげていくことを目的としている。

※MFP…社会貢献活動の一環として子ども向けに実施するプログラムの総称。「スポーツ体験教室」や「フェスティバル」の開催に加え、小中学校での授業を中心としたプログラムも展開している。

選手が“講師”を務めることで得られる大きな学び


――MFP事業の一環として、選手の学校訪問があると思います。選手がただ子供たちと遊ぶだけではなく、講義を行ったり、一緒にレクリエーションを行ったりしていることに驚きました。そういう内容も中川さんが考えられているのでしょうか?

 「水戸に来る前から、日本サッカー協会(JFA)が運営する『JFAこころのブロジェクト夢先生(ユメセン)』に携わっていたのですが、そこで学んだことが多く、それを参考にしてプロジェクト化したものがMFPです。これを現役の選手にも経験させることにより人間的成長の機会になり、さらにはアスリートとしての存在意義の向上、スポーツの価値拡大にもなると捉えているので、水戸に来てからそのような活動をさせていただいています」


――ユメセンの講師をされていたのでしょうか?

 「はい。最初は講師としてユメセンに携わり始めました。2011年の東日本大震災をきっかけにJFAから運営スタッフとしてのお声がけをいただきました。被災地でのボランティア活動に従事していたことで、その行動を認めていただいたためです」


――子供たちに講義をする意義をどのように考えていますか?

 「子どもたちだけでなく、関わるすべての人と人間力を育むことが講義の意義と考えています。この講義に正解も不正解もありません。講義は、講師の実体験の共有の場であるとともに、自身の人生を振り返り、現在の思考を確認、認識し、今後の生き方を見つめ直す学びの機会とすることで、人間力を育んでいけると捉えています。講義を受講する子どもたちもそうですが、ここで一番の学びを得られるのは、自身の思考をアウトプットする講師なんです。講義を準備する側の僕や学校の先生方も一緒に学べるものは多々ありますが、一番大きな学びを得るのは純粋無垢な眼差しで見つめる子どもたちを前にして話をする講師なんです」

選手と子どもたちも交流を見守る中川選手教育担当(Photos: ©Takuya Sato)


――講義をする前と後で選手に変化はありますか?
……

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中川賀之水戸ホーリーホック

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佐藤 拓也

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