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スター軍団を掌握できる?なぜ、PSGは新監督にガルティエを選んだのか

2022.07.13

近年のパリ・サンジェルマンは悲願のCL制覇を目指して、カルロ・アンチェロッティ、ウナイ・エメリ、トーマス・トゥヘル、マウリシオ・ポチェッティーノなど、欧州カップ戦で結果を残してきた外国人監督が率いてきた。しかし、新監督に指名されたのはクリストフ・ガルディエ。リーグ1での実績しかないフランス人監督だ。果たして彼にスター軍団を率いることができるのか?――PSGのクラブ戦略を読む。

 来たる22-23シーズン、パリ・サンジェルマンを率いるのは、フランス人監督のクリストフ・ガルディエだ。2021年にリールを優勝に導き、リーグ1の年間最優秀監督に3度選出されている、フランスでいま最も実力を評価されている指揮官の1人だが、これまで外国人監督にこだわっていた感のあるPSGにしては意外な人事、という気がするかもしれない。

珍しいフランス人監督が選ばれた背景

 2011年にカタール資本が参入して以来、フランス人監督を採用するのは、今回が2度目。1度目は13-14シーズンから3期指揮を執ったロラン・ブラン。しかし当時と今回とでは、その目的や意図は大きく違う。

 カルロ・アンチェロッティの後任としてブランを招聘した時のPSGは、国外から世界的なプレーヤーを集めまくり、チーム内ではズラタン・イブラヒモビッチやチアゴ・シウバら、外国人選手が重要ポストを占めていた。おまけに指揮官もイタリア人で、カタール勢のチーム戦略に対し、「これじゃまったくフランスのチームではない」という批判の声が高まった。

 そこでフランスのサッカーファンから絶大な尊敬を勝ち得ている98年W杯優勝メンバーを指揮官のポストに据えることは、チームにフランス色を付加するという、象徴的な意味があった(とはいえスポーツ面でも、任期中に獲得可能だった12の国内タイトル<リーグ戦、フランスカップ、リーグカップ、スーパーカップ>のうち11個を手に入れている)。

カタール資本下で最初のフランス人指揮官となったブラン

 そして今回ガルディエを選んだのは、PSGがチーム作りの方向性を根本的に見直す時期に入ったことを意味している。

 マウリシオ・ポチェッティーノの後任には、ジネディーヌ・ジダンの名前が噂に上っていた。言わずと知れたフランスの英雄であり、CLに3度優勝した世界的な名将。おまけに現在フリーだ。しかし先月、複数のメディアとの合同インタビューに応じたPSGのナセール・アル・ケライフィ会長は、ジダンとは一切接触はしていないと明言した上で、「自分たちが必要としていることに対して、最適だと思われる指揮官を選んだ」と語っている。

 「夢と現実は別物だ。夢は大きく……これは我々のスローガンであり、それは素晴らしいことだが、現時点では我々は現実的である必要がある。我々にはもはや、派手さは必要ない。この11年間、我々は素晴らしい成果を上げてきたが、毎年どうすれば改善できるか、どうすればもっと良くなるかを自問自答していかなければならないのだ」

 その自問自答した答えが「規律を重んじるチームを作ること」であり、それに最適な指揮官として、彼らはガルディエを選んだのだった。

 カタール資本がオーナーになったときのおもな目的は、以下の2つだ。

①スポーツ的な成功 
②PSGの(ひいてはカタールの)世界的な知名度の向上 

 ②の知名度向上に関しては、ビッグネームの獲得にこだわった甲斐あって、目に見えた成果を得ている。Instagramのフォロワー数では、PSGは今やマンチェスター・ユナイテッドを抜いて、レアル・マドリー、バルセロナに次ぐ世界第3位に浮上した。

 ひょっとすると当初は、ビッグネームの獲得が、同時にスポーツ的な成功をもたらすという安直な考えもあったのかもしれないが、実際にビッグイアーはなかなか手に入らず、20-21シーズンは国内タイトルさえリールに奪われた。

 「ある程度のところまではいったが、そこから先がなかなか開けない」という頭打ちの状況。そこからどうしたら抜け出せるかを考えた結果、規律のある、真にコレクティブなチームを作ることが、自分たちが求めるレベルに達する道である、という原点回帰に至ったわけだ。

盟友である凄腕SDカンポスも同時入閣

 そのためにPSGはまず、今オフの間にルイス・カンポスを手に入れた。彼はスポーツディレクター(またはアドバイザー)として、2017年のモナコ、2021年のリール優勝の立役者となった人物。モナコでは駆け出しの頃のムバッペの育成にも関わっている。……

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Profile

小川 由紀子

1992年より欧州在住。96年から英国でサッカー取材を始め、F1、自転車、バスケなど他競技にも手を染める。99年以来パリに住まうが実は南米贔屓で、リーグ1のラテンアメリカ化を密かに歓迎しつつ、ブラジル音楽とカポエイラのレッスンにまい進中。