前週の開幕戦でブレントフォードに2-0で完敗したアーセナルと、クリスタルパレスを3-0で一蹴したチェルシー。そんな対照的な両者が8月22日、エミレーツ・スタジアムで激突したプレミアリーグ第2節のロンドンダービーは、ボール支配率35%対65%、シュート本数6対22、パス本数335対646、そしてスコア0-2で、アウェイチームの圧勝に終わった。中でも強烈な存在感を放ったのが、8月12日にインテルから移籍金9750万ポンド(約146億円)で加入し、この日チェルシーで約10年ぶりに再デビューを飾ったロメル・ルカクだ。28歳のベルギー代表FWがトーマス・トゥヘル監督のチームにもたらす影響とは? 両軍の間にあった決定的な差は? 西部謙司氏が分析する。
戦術的にアーセナルにはまったく望みのない試合だった。もちろんサッカーは戦術だけで勝敗が決まるものではなく、後半に大観衆の後押しで勇気を奮って攻め込むアーセナルが0-2を逆転する可能性はあったわけだが、そんな時にも常に喉に小骨が刺さったままのような感じがしていたのではないか。
いや、小骨どころか窒息しかねない大骨だった。プレミアリーグに復帰してきたロメル・ルカクである。
チェルシーが一枚上手の戦術問答
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Profile
西部 謙司
1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。
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