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【槙野智章インタビュー】「監督が求めるサッカーを体現できるようになってきている」浦和レッズの最終ラインの柱が感じる確かな手ごたえ

2021.05.14

DAZNが、2021年4月29日~5月16日を「RIVAL WEEKS」と題し、ダービーやライバル関係にあるチーム同士の一戦となる19試合を対象に、様々な企画を実施している。

今週末の注目試合は「オリジナル10対決」となるガンバ大阪対浦和レッズ戦。フットボリスタではDAZN「Jリーグプレビューショー」との共同企画として両クラブのキーマンにインタビューを実施。浦和レッズからは最終ラインの核としてチームを統率する槙野智章選手に、リカルド・ロドリゲス新監督の下で新たなスタイルに挑戦しているチームと自身の現状、そして来たるガンバ戦へ向けた意気込みを語ってもらった。(取材日:5月6日)

GKからのフィード時のポジショニングを見てほしい

――まずはチームの現状について、どのように感じているのか聞かせてください。

 「勝ちと負けを繰り返す中で、監督の求めるサッカーを90分の中で体現できるようになってきているかなと。後ろの選手の攻撃の組み立てが今のサッカーの肝になる中で、90分を通してボールを握ることはできるようになってきているので、アタッキングサードでの質やアイディアというのを今後、出していかなければいけないと思っています。流れの中でシュートまで持っていく力やバリエーションを考えた時に、新たに加入したキャスパー・ユンカー選手の力が今後、大きな力になるんじゃないかと感じています」

――今季のレッズを語るうえで外せないのが、リカルド・ロドリゲス新監督です。槙野選手から見た、ロドリゲス監督の印象を教えてください。

「選手といい距離感を作るのが、ものすごくうまい監督だなというのがまず感じたことです。コミュニケーションの取り方が絶妙で、選手のモチベーションを上げる話術や接し方はピカ一かなと思いますね」

――槙野選手は国外でのプレー経験もありますが、監督と直接コミュニケーションを取ったりすることもあるのでしょうか?

 「そうですね。基本的には通訳の方が間に入ってコミュニケーションを取っていますけど、いないところでは英語ないし日本語で会話することもあります」

今季からチームを指揮するリカルド・ロドリゲス監督

――日本語でコミュニケーションを取ることもあるんですね。そんなロドリゲス監督のいわゆるポジショナルなサッカーは、これまでとは考え方のアプローチが大きく異なる部分もあるんじゃないかと思います。求めるサッカーを体現できるようになってきているとのお話でしたが、最初は戸惑う部分もあったのではないでしょうか?

 「ここ数年リアクションのサッカーをしていたチームだったので、ボールを握る、そのためのポジションを取るということに関して言えば、キャンプから積み上げていく部分でもの凄く苦労したのかなというところもありました。ペトロビッチ監督がいた時には攻撃的な、ボールを保持するサッカーをしていましたが、その後違うサッカーをしていたこともあって忘れていた部分もあって、時間がかかったと言えばかかったのかもしれません。

 ただ、選手のサッカーIQが高いので試合をこなすにつれて浸透していくのは早かったかなと。敗戦の中でもしっかりと手ごたえを感じられた試合というのはたくさんあったので、進歩してきていると感じています」

――先ほど「ボールを保持する位置取り」という言葉がありました。ロドリゲス監督のサッカーを語る際のキーワードではないかと思うのですが、槙野選手くらい経験のある選手でも、ポジショニングやどこへパスを出すか、守備でボールを奪いに行くのか引くのかといった判断の部分で難しいところがあったのでしょうか?

 「難しいと言いますか、守備的なサッカーから攻撃的なサッカーへと変わった中で頭、意識を切り替えるのに苦労した感じですね。ポジションを取るとかボールを奪うということ自体に関する不安はありませんでした。以前からチームにいる選手と新加入選手もいる中で、意思疎通を図る部分で苦労したというところです」

――意識のすり合わせや考え方を変えるという部分で苦労したわけですね。ただ、例えばポゼッションの際に両SBが同時に中央に絞るようなシーンもありますよね。こういった位置取りは今までにしているチームはあまりなかったと思うのですが、違和感などはなかったのでしょうか?

 「そういったところへの戸惑いはなかったですね、逆に新鮮で面白いなと。僕らCBの選手はそういった位置取りをする選手への指示、オーガナイズの部分が求められますけど、実際にそういった動きを求められるSBの選手たちの方がてこずっていたんじゃないかと思います」

――CBからの指示も大事になってくるというお話ですが、コーチングの仕方について監督から指示を受けたり、意識して変えたりしたところはあるのでしょうか?

 「具体的な指示というのはないですね。監督が練習の中で指示している内容を理解したうえで、自分の経験も踏まえて他の選手に指示するというのは自分の役目なので。自分にとって一番楽なのは、声を出して周りを動かしてボールを奪うことですからね。声が一番の武器だと自分では思っているので、そこで人を動かすということは常に意識しています」

――チームとして手ごたえを感じてきているとのことでしたが、具体的な数字に目を向けるとここまでリーグ戦では得点11に対して失点17となっています(取材時点)。これについては、リスクに対するリターンが見合っていなかった結果なのか、それとも先ほどお話していたように攻撃の最後の部分で足りないところがあったのか、どのように認識されていますか?

 「後ろからボールを繋ぐということにはリスクが伴うので、それが失点数となって表れた部分はあるのかなと思います。先ほどもお話しましたが、監督が求める攻撃的なサッカーの中で意識をここ2、3年のリアクションからアクションへと切り替えていかないといけない作業をしている最中なので、得点のパターンであったり、得点数という部分についてはもう少し時間がかかる部分なのかなと思います。ただ、ユンカー選手が入ったことで攻撃のバリエーションや厚みが増えてくると思いますので、攻撃面と守備面がうまくかみ合った時に、数字面でもしっかりと結果に表されるんじゃないかと思います」

――まだまだ良くなる手ごたえを十分に感じているということですね。今ユンカー選手のお話も出ましたが、攻撃のバリエーションという点で言えば第11節の大分トリニータ戦で、SBの西大伍選手が先制ゴールを決めたシーンがありました。SBが攻撃に絡んでゴールを奪うというのはトップレベルのチームでは珍しくなくなってきていますが、ああいった形はアタッキングサード打開の解決策として、チームとして狙っているものなのでしょうか?

 「現在のチーム状況を考えた時にやっぱり後ろから、2列目3列目からの攻撃参加のバリエーションを増やしていくというのが大事だと思っていますし、何よりも新加入の選手がゴールを取ることでカンフル剤じゃないですけどチームにいい刺激が入って、他の選手も今まで以上にやらないといけないという気持ちになってきます。そういう意味で、あの西選手のゴールにはいろんな刺激があったんじゃないかと思います」

トリニータ戦での先制ゴールのシーン

――守備面に目を向けると、ポゼッションして相手陣内に攻め込んでいる際、時には後方にものすごく大きなスペースが生じて、それをCBの2人でカバーするような状況になることも少なくありません。怖さを感じる部分もあると思うのですが、どのようにして管理しようとしているのでしょうか?

 「自分たちは攻撃をテーマに掲げてやっていて、前に人数をかけて人を動かしていくというのが今のスタイルなので。後ろの選手がしっかりと弾き返す、我慢する、守るというところが求められるというのは、それはそれでやりがいがあって楽しいです」

――守備の局面で昨年まで以上に個人の力が求められる場面がある中で、槙野選手個人としてブラッシュアップしようとしている部分があれば教えてください。

 「“予測と準備”という部分に関しては、いつも以上に気を配ってやっています。あとはポジショニングですね。年を重ねるにつれて、頭を使ってプレーするようになってきています」

――ロドリゲス監督のサッカーにトライする中で、自分の中で何か新しい発見のようなものはありましたか?

 「GKからボールをもらう時のポジショニングですね。GKの脇だったり、時にはGKより後ろまで下がってボールをもらったりというのはこれまでにやってこなかったことなので、新しい発見かなと思います」

――なるほど。槙野選手のパフォーマンスを見る時には、そういうところにも注目してみてもらえるといいですね。

 「そうですね。最近、西川選手のいいフィードに注目が集まりがちなんですけど、それがなんで起きているのかというと、GKがボールを持った時に僕らCBの選手がGKの脇のところまでダーっとスプリントして開いて相手のFWを引き付けたことでそういったパスが生まれているので。地味ですけど、そうやってスプリントしてポジションを取っているところにも注目してみてもらえると、サッカーがもっと面白くなるんじゃないかと思います」

最終ラインの要として、攻守にチームを支える槙野

ガンバとの試合ではいつも「何かが起きる」

――ここからは、ガンバ大阪戦について聞かせてください。ガンバは新型コロナウイルスによる活動休止があり試合数が少なくなっている部分もありますが、今シーズンの彼らをどのように見ていますか?

 「賢く補強して、相手にとって嫌な選手が入ってきているなという印象です。コロナの影響でコンディションの部分で不安定なところはあると思いますけど、力のあるチームですし経験のある選手が多いので。数年前からガンバとレッズというのはナショナルダービーとも言われていますので、見ている人たちにとっても楽しいサッカー、内容になるんじゃないかと思っています」

――警戒している選手はいますか?

 「前線のタレント陣は『この人』って挙げるのが難しいくらいそろっていますよね。宇佐美選手にせよパトリック選手にせよレアンドロ・ペレイラ選手にせよいっぱいいますから、そういう選手を僕が抑えないと3ポイントは取れないんじゃないかと思っています」

――ガンバのアプローチについて、前から積極的に守備をしてくるのかそれともある程度守備をセットしてくるのか、どちらも考えられると思うのですがどのように対処しようと考えていますか?

 「前回対戦では先制したのに逆転されてしまったように、ガンバとの試合ではいつも『何かが起きる』ので。なかなか激しい試合になると思いますので、アクシデントやトラブルが起こることも想定して試合を進めていかないといけないと思っています」

――ロドリゲス監督は、相手がどう出てくるか詳細にシミュレーションをするタイプでしょうか?

 「ビデオではやりますけど、あくまでも自分たちが主体なので監督が求めるアクション、自分たちがいかに(相手を)崩すかというのを考えてやっています」

――今回は残念ながら、緊急事態宣言が延長された中での試合となります。最後に、ガンバ戦に向けた意気込みと、ファン・サポーターへのメッセージをお願いします。

 「昨年までのレッズとは違うというところを見せないといけないなと思っています。自分たちがボールを保持する展開にはなると思いますが、そこからどうやってガンバに対して怖い攻撃ができるというのがポイントになってくると思っています。ファン・サポーターの方には、レッズが変わった姿というのをこの試合で感じ取っていただけたらと思います。以前とは違う、バリエーションがあるボールの動かし方であったり、どうやってゴールをこじ開けていくのかであったり、そういった工夫を見ていただくことでサッカーの楽しさに気づいて、次の試合も見たいなと感じ取ってもらえるかなと思っています」

Photos: Takahiro Fujii

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Profile

久保 佑一郎

1986年生まれ。愛媛県出身。友人の勧めで手に取った週刊footballistaに魅せられ、2010年南アフリカW杯後にアルバイトとして編集部の門を叩く。エディタースクールやライター歴はなく、footballistaで一から編集のイロハを学んだ。現在はweb副編集長を担当。