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フランスNo.1のPSG育成部門ディレクターが語る最高の環境、ノウハウ、寄り添うことの大切さ

2021.02.12

スイスのスポーツ研究機関の調査によれば、2019年に国外リーグでプレーした選手数ランキングでブラジルに次ぐ2位と、欧州最大の人材輩出国であるフランス。その国内で近年、最も優秀なアカデミーを有すると評価されるクラブが下部組織への投資も惜しまないパリ・サンジェルマン(PSG)だ。その成功の理由に迫るべく育成部門のディレクター、ピアン氏を取材した。

 毎夏、フランスサッカー連盟の技術指導部門「DTN(La DirectionTechnique Nationale)」が発表する、国内プロクラブの育成部門ランキング。「①育成部門からプロ契約した選手の数」「②育成部門出身選手がトップチームで出場した試合の数」「③育成部門出身選手が代表チームで出場した試合の数」「④育成所の選手が学校で取得したディプロマの数」「⑤指導者の契約状況」という5つのポイントで評価される同ランキングは非常に信頼度が高く、クラブにとって名誉とされている。

 近年、トップの座はリヨンが独占していたが、2018-19シーズン、パリ・サンジェルマン(PSG)が彼らの“7連覇”を阻止すると、2020年7月に発表された2019-20版でも再び首位をキープ。トップチームだけでなく育成部門においても、フランスの頂点に君臨している。

 フランスA代表の直近の試合、昨年11月17日のスウェーデン戦(4-2)では、アドリアン・ラビオ(現ユベントス)、プレスネル・キンペンベ、キングスレイ・コマン(現バイエルン)と、PSG育成所出身の3人がピッチに立った。またDFコラン・ダグバはU-21代表、DFタンギ・クアシ(現バイエルン)、MFアディル・アウシシュ(現サンテティエンヌ)、FWアルノー・カリムエンド(RCランスにレンタル中)らは2019年のU-17W杯出場メンバーであり、かつてのリヨンのように代表チームへの選手輩出が目立っている。……

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パリ・サンジェルマン育成

Profile

小川 由紀子

ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。

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