ロアッソ・リザレクション――もっと赤くなれ

 ロアッソ熊本が躍進を見せている。2021年にJ3で優勝し昇格。2022年から参戦しているJ2では第27節終了時点で勝ち点41を挙げ、J1昇格プレーオフ圏内の6位につけている。  予算規模を考えると、大健闘とも言えるここまでの成績だろう。だが、キャプテンの河原創は「年間勝ち点70を目指している」ときっぱり。今の順位にまるで興味がないとでも言わんばかりに貪欲な姿勢を崩さない。  この熊本の躍進のベースには、クラブが地道に積み上げてきた強化プランがあった。詳しくは強化担当の筑城和人氏と、育成のアカデミーサブダイレクター・原田拓氏のインタビューを読んでほしい。  強化部が作ってきたベースの上に、大木武監督がやってきた。百戦錬磨の知将は、熊本の地に何をもたらしたのか。ライター土屋雅史の3万文字にのぼる渾身の原稿を存分に堪能していただきたい。  熊本県は2016年に熊本地震に襲われ、避難者が18万人にものぼる甚大な被害を受けた。クラブは2018年にJ3に降格。さらに、2020年には世界中がコロナ禍で沈む中、熊本豪雨が発生し、またも大規模災害に見舞われた。そんな厳しい状況でも、ロアッソ熊本は奮闘を続けてきた。2021年のJ3優勝、2022年のJ2での躍進――ロアッソ熊本の“リザレクション”はすでに始まっている。クラブ史上初となる “J1昇格”を射程圏内に捉えた今、本特集では今の熊本が見せている強さの核心に迫りたい。