得点力不足とJ.ティンバー離脱で「悲観的」な北中米W杯へ。オランダ代表は蘭記者8人の日本戦予想“1勝6分1敗”を覆せるか
VIER-DRIE-DRIE~現場で感じるオランダサッカー~#24
エールディビジの3強から中小クラブに下部リーグ、育成年代、さらには“オランイェ”まで。どんな試合でも楽しむ現地ファンの姿に感銘を受け、25年以上にわたって精力的に取材を続ける現場から中田徹氏がオランダサッカーの旬をお届けする。
第24回は、得点力不足とユリエン・ティンバー離脱で悲観的に?初陣となる日本戦を前に、オランダ代表の北中米W杯をプレビューする。
北中米W杯が開幕した。現地時間6月14日開催の日本対オランダを目前に、私の住む街の商店街もオレンジの飾りつけが始まり、行きつけの図書館の扉には「6.14 オランイェ・イブニング 図書館隣接のカフェでオランダを応援しよう」というポスターが貼られている。スーパーマーケット、雑貨屋、服飾店にはオランダの応援グッズを売るコーナーが設けられていた。
しかしまだ国内は、盛り上がりに乏しい。欧州予選のオランダは改善点こそ多かったが、6勝2分、得点27・失点4という圧巻の数字でグループGを首位通過。「近年では最高のメンバーがそろっている。すべてが噛み合えばW杯初優勝を狙える」という声もあった。
だが、3月31日の対エクアドル(1-1)あたりから試合内容にケチがつき始めた。
「『日本人にサッカーのレッスンをしてやろう』という感覚がない」理由
6月3日、ロッテルダムにアルジェリアを迎えた壮行試合を0-1で落とすと、ホームスタジアムがお通夜のようなしらけた雰囲気に包まれた。8日、ニューヨークでのウズベキスタン戦を2-1で辛くも勝利したものの、本番への景気づけとはならず、さらに続けて行われたオランダ代表控え対ウズベキスタンB代表のゲームを1-2で落とすおまけつきだった。
『1974:我われはベストだった(原題/1974: wij waren de besten)』『ヨハン・クライフ:自伝(原題/Johan Cruijff: de biografie)』などの著者、アウケ・コックは『エーン・ファンダーフ』(AVRO TROS局)というニュース解説番組に出演して語った。
「数週間前まではW杯が楽しみでした。でも、最近の試合を見たり、監督の話を聞いたりしているうちに、一気に楽しみが減ってしまいました。すべてがスローすぎるんですよ。『早く日曜日になってくれ』『かかってこい』『日本人にサッカーのレッスンをしてやろう』というような、あの感覚がありません」
アルジェリア、ウズベキスタン相手に数多のチャンスを作り続けたオランダ。だが、ドニエル・マーレン、クリセンシオ・サマーフィル、ティジャニ・ラインダースらのシュートはゴールの枠を捉えることすらできず、空砲を打ち続けた。結局、この2試合でオランダが奪った得点は2。ともにコーディ・ガクポがPKを沈めたものだった。日蘭戦を目前に、オランダメディアはゴール欠乏症を嘆く。いや、ロナルド・クーマン監督以下、現場、選手たちもそのことを自覚している。
「流れの中からゴールを決めることができない。(質問者から『頭痛の種か?』と問われ)いや。チャンスすら作れなかったら、本当の『頭痛の種』になってしまうけれどね」(クーマン監督)
もっとも、オランダのストライカー不足は国内外で囁かれていた。メンフィス・デパイは代表歴代最高の55ゴールを挙げた偉大な名手だ。しかし、10番、もしくはウイングを本職とするチャンスメイカータイプの彼が“偽9番”としてエースの座を君臨し続けたのは、長年にわたり信頼に足るCFが出てこなかったことを意味する。
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Profile
中田 徹
メキシコW杯のブラジル対フランスを超える試合を見たい、ボンボネーラの興奮を超える現場へ行きたい……。その気持ちが観戦、取材のモチベーション。どんな試合でも楽しそうにサッカーを見るオランダ人の姿に啓発され、中小クラブの取材にも力を注いでいる。
