一家に一台?いや、二台も三台も欲しい!新システムで“楽しさ”を噛みしめるベガルタ仙台・髙田椋汰の充実
ベガルタ・ピッチサイドリポート第35回
開幕4連勝と最高のスタートを切ったベガルタ仙台。そんなチームの中で新境地を開拓しつつあるのが、加入3年目となった髙田椋汰だ。決して上背はないものの、機動力と運動量を武器に、3バックの右センターバックとして躍動。指揮官に戦い方の幅をもたらしている。改めてブレイクの予感も漂う髙田の今を、おなじみの村林いづみに紐解いてもらおう。
ある変化を迎えた森山佳郎監督の“髙田評”
2024年夏に髙田椋汰選手のインタビュー記事をお届けした。その中で、森山佳郎監督は彼のタフさやユーティリティー性、そのメンタリティーも含めて「一家に一台、髙田椋汰」とチームに欠かせない存在であることを教えてくれた。そこから時は流れ、共に仙台で3年目のシーズンを迎えた森山監督と髙田選手。ここで森山監督による“髙田評”は、ある変化を迎えていた。
「以前は一家に一台、髙田椋汰でしたけど、今は二、三台欲しくなっちゃう。でも彼は一人しかいないのでね(笑)。今年の3バックでやるところでは、一つ、彼はキーマンになるかなと思っています。後ろの3枚が全員センターバック(CB)タイプにならないというところがね。
彼はCBもできるし、サイドバック(SB)とかウイングバック(WB)もできる。あそこから良い形でチャンスがあれば上がっていくし、攻撃のところで効果的なパス出しもできます。攻撃、守備どちらもできるので、一家に二、三台欲しいところです。しかも今年は『俺が主力だ』というオーラを漂わせている。非常に頼もしいし、強靭な心身の持ち主なので、しっかりチームの背骨を支えてくれているというところですね。

守備面は本当に細かいですよ。一年目は映像を見せて『この時はこうだよね』というような話をよくしていました。最近、椋汰に関しては細かいことを言わなくて良いぐらい予測したり、インターセプトしたり、危ないというところを感じ取ることができています。攻め上がりのタイミングやクロスも良くなってきています。
『3バックにしたらDFは点を取れるようになるの?』なんて娘(タレントの森山あすかさん)にも言われたんだけど(笑)、先に他のCB2人が点を取ったので、そういう意味ではちょっと乗り遅れたかもしれないですけど、椋汰にもその内ゴールを取ってもらって、踊ってもらいましょう」(森山佳郎監督)
信頼感は以前よりも増している。できることも増えている。森山監督が起用せずにはいられない髙田選手本人に、今シーズンが始まってから実感を伺ってみた。

喜べなかった、ホーム・みちのくダービーの勝利。その悔しさは忘れない
――「一家に一台から、二、三台」へ。森山監督と共に歩んできて、今このように言ってもらえることはいかがですか?
「嬉しいですね。なかなか去年は試合に出られなかったですけど、それでも後半の勝っている時に使ってもらったりしました。一昨年もそうでしたけど、去年はそういった『クローザー』的な役割で起用される試合が多かったんです。1年目、2年目と少しずつ信頼を掴めてきていると思います。今はすごく手応えのある3年目が送れているんじゃないかなと思います」
――今年は開幕から連続して先発出場。監督の信頼を感じますし、キャンプから髙田選手ご自身の今季への覚悟も大きかったのではないかと。
「覚悟というところでは相当なものがありましたね。開幕から試合に出るということを目標にやってきました。昨年はベンチで過ごす時間が多く、すごくもどかしい時間が続きました。今年に懸ける思いは強かったので、今のところは開幕からスタメンに出ていて、すごく充実した生活を送れていると思います」

――秋田から移籍してきた1年目も開幕からチャンスをつかみました。しかし2年目となった昨季は我慢の時間が長かったですか?
「苦しかったですね。忘れられないのは去年のホームでのみちのくダービー(第30節モンテディオ山形戦)。ダービーに勝つ喜びというのは、ファン、サポーターの皆さんもそうですし、試合に出た選手たちにとっても大きなものです。あの日、仙台が勝っていた中で、僕には最後まで出番が回って来ずに試合が終わってしまった。あの大一番で、ユアスタでみんなが喜んでいる時に僕だけ満足に喜べなかった。正直、一番悔しかったです。本当に昨年はいろんな悔しさがあったので、今年に懸ける思いというのは誰よりも強いと思います。もっともっと、このチームに貢献しないといけないです」
――しかしそんな思いも乗り越えて、昨季の終盤は右SBのポジションを奪い返しましたよね。
「そう言って良いかはわからないですが、(第37節)ブラウブリッツ秋田戦で使ってもらいました。古巣ということもあって燃えていましたし、何か一つきっかけがあれば僕も絶対できると思っていました。1年目もそうだったんですが、一つ自信を持つことによって何かが変わる。そのきっかけがあの秋田戦でした。本当に遅かったですけどね」
――秋田戦は昨季一番のパフォーマンスだったとご自身でも振り返っていました。
「そこで勝ち、最終戦のいわきFC戦も勝ってプレーオフに行くことができれば良かったですが……。先発で出られた最後の2試合でチームに勝利をもたらすことができなかったです。自分の力の無さを痛感しました」
真瀬がいたから良いトレーニングができた。口にはしないけれど、お互いライバル
――同じポジションであり、阪南大学の2年先輩でもある真瀬拓海選手(水戸ホーリーホック)とは2年間切磋琢磨してきましたね。どんな存在でしたか?
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Profile
村林 いづみ
フリーアナウンサー、ライター。2007年よりスカパー!やDAZNでベガルタ仙台を中心に試合中継のピッチリポーターを務める。ベガルタ仙台の節目にはだいたいピッチサイドで涙ぐみ、祝杯と勝利のヒーローインタビューを何よりも楽しみに生きる。かつてスカパー!で好評を博した「ベガッ太さんとの夫婦漫才」をどこかで復活させたいと画策している。
