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いわきFC新章、始動。堂鼻起暉CORE就任と若手台頭が描く「真新しいチーム」の輪郭

2026.02.28

いわきグローイングストーリー第17回

Jリーグの新興クラブ、いわきFCの成長が目覚ましい。矜持とする“魂の息吹くフットボール”が選手やクラブを成長させ、情熱的に地域をも巻き込んでいくホットな今を、若きライター柿崎優成が体当たりで伝える。

第17回は、いわきFCが今季からキャプテンを「CORE(=チームの基準)」と定義するなど独自のリーダー体制を敷いた背景、その新チームの構成や展望についてレポートする。

開幕から新旧選手の融合が進む

 明治安田J2・J3百年構想リーグEAST-Bグループに所属するいわきFCは、負傷者の続出という厳しい状況を抱えながら2026シーズンをスタートさせた。

 熊田直紀をはじめ、各ポジションで離脱者が相次ぎ、トレーニングマッチでも課題が露呈するなど、不安要素は少なくなかった。しかし、攻撃面の構築を優先的に進め、尻すぼみになることなくシーズンイン。苦しい中にも確かな手応えを感じながら、開幕を迎えたと言える。

 選手層に目を向けると、新加入の高橋勇利也や西谷亮が早い段階でチームにフィットした。高卒ルーキーの中野陽斗はプロ1年目とは思えない落ち着いたプレーでCBのレギュラーを掴み、荒木仁翔や田中幹大といった若手も途中出場からインパクトを残し、新旧の融合が驚くほどスムーズに進んでいる。

 ホーム開幕2連戦では連勝を飾り、勢いに乗ったかに見えたが、第3節・アウェーでのFC岐阜戦では相手の徹底した対策に苦しんだ。シュート数は直近2試合から大きく減少し、スタッツや試合内容からも厳しい一戦だったことは明らかだ。0-0のままPK戦に突入し、4-5で惜しくも黒星を喫したものの、勝点1を獲得し、現在4位につけている。

山下優人が去った今季からリーダー制を導入

 今季は主力の半数近くが入れ替わり、まさに「新たな時代」の幕開けとなった。

 注目を集めたのが、新たなリーダー体制の行方だ。鹿児島キャンプ時、キャプテンについて問われた田村雄三監督は「どういうバランスが良いか。キャンプから選手の立ち振る舞いをチェックしながら適任者を見つけたい」と慎重な姿勢を示していた。

田村雄三監督

 候補を絞り込み、1月末に決定。2月第1週にチーム体制を発表したその打ち出し方は、いかにもいわきFCらしい独自色を放っていた。

 今シーズンは、チームの役割をより明確にし、それぞれの強みを最大限に生かすため、キャプテンを「CORE(=チームの基準)」、副キャプテンを「CONNECTOR(=人と人を繋ぐ)」「LINK CAPTAIN(=若手を繋ぐ)」と定義。さらに、経験豊富な選手がチームの羅針盤となる「COMPASS(=相談役)」を新設した。

 この名称の発案者は田村監督自身。大倉智代表取締役、安田秀一オーナーと新シーズンの方向性を議論する中で「キャプテン、副キャプテンって呼び方ダサくない?」という軽やかな一言から着想を得たという。監督が数日かけて練り上げた名称とその意味に沿い、「そのメンバーで構成して誰もが納得する人選」(田村監督)となった。

 チームづくりについて今季は「真新しいチーム」と位置づけていた。その象徴が、クラブの顔だった山下優人の水戸ホーリーホックへの移籍だ。JFL時代から長くキャプテンを務め、昨季は副キャプテン。遠藤凌の長期離脱、山口大輝やブワニカ啓太の負傷が相次ぐ中、山下はフル稼働でチームを牽引してきた。クラブの飛躍を背中で示してきた背番号24は、ファン・サポーター、関係者の中に「いわきFCのキャプテン=山下優人」という強い印象を刻んでいた。

 その山下が去ったことで、田村監督が最も懸念したのが新たなリーダー像の不在だった。

 「山下のように背中で見せる選手がいなくなったことが一番大きかった。彼がいない=新しいチームになると思っていましたし、今まで通りのやり方を踏襲するつもりはなかった。再び作り上げる上で、気持ちが強く引っ張れる選手、立ち振る舞いで示せる選手を置くことがチームの基準をブレさせないためにもベストだと考えました」

COREに就任した堂鼻起暉とその脇を固めるメンバー

 最終的にCOREに選ばれたのは堂鼻起暉だ。

……

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Profile

柿崎 優成

1996年11月29日生まれ。サッカーの出会いは2005年ドイツW杯最終予選ホーム北朝鮮戦。試合終了間際に得点した大黒将志に目を奪われて当時大阪在住だったことからガンバ大阪のサポーターになる。2022年からサッカー専門新聞エル・ゴラッソいわきFCの番記者になって未来の名プレーヤーの成長を見届けている。

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