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ベティスのイスコが体現する「10番」という戦術上のバグについて

2024.05.22

新・戦術リストランテ VOL.16

footballista創刊時から続く名物連載がWEBへ移籍。マエストロ・西部謙司が、国内外の注目チームの戦術的な隠し味、ビッグマッチの駆け引きを味わい尽くす試合解説をわかりやすくお届け!

第16回は、無所属から今季ベティスで華麗なる復活を遂げたイスコが体現する「10番」という戦術上のバグが緻密な現代サッカーで許容されつつある現象について深堀してみたい。

生息地は[4-4-2]の「2」

 “マヒア”(魔法)と呼ばれたイスコがベティスで大活躍です。MOMに選出されること19回。その技巧と創造性は群を抜き、ベティスのチャンスのほとんどを生み出しているのではないかと思えるくらいの存在感です。

 昨季はシーズン途中でセビージャを退団、半年ほど無所属だったんですね。今季は29試合に出場して8得点5アシスト。第36節のラスパルマス戦で負傷した左足首はかなりの重傷のようなので、おそらくこれが今季の最終成績になりそうです。

左腓骨骨折の手術成功を伝えるベティス公式X。2、3カ月は戦線を離脱すると報道されている

 かつてイタリアで「ファンタジスタ」なんて呼ばれたタイプ。一時は絶滅危惧種の扱いでしたが、現在はかなり使い勝手が整理されてきて、ちゃんと生息しております。

 ベティスにおけるイスコのポジションは守備で[4-4-2]システムの2トップ。攻撃はいわゆるトップ下ですが、こちらはフリーロールに近い。前線近くに顔を出して決定的な仕事をします。CK、FKのキッカーでPKも2本決めています。……

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Profile

西部 謙司

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。

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