REGULAR

『ガーディアン』紙コラボ企画!現地識者のW杯出場国ガイド②「フランス」

2022.11.12

World Cup 2022:Guardian Experts’ Network – France Team Guide

英国の高級紙『ガーディアン』の呼びかけのもと、出場32カ国の一流メディアが集結し、それぞれの代表チーム情報を共有する「カタールW杯コラボレーション企画」。footballista2018W杯、2019年女子W杯に続き“日本代表”として参加した。内部事情に通じるエキスパートが寄稿した、主要国のチームガイドをシリーズでお届けしよう。

The France team guide was written by Adam White (https://twitter.com/_adam_white_) and Eric Devin (https://twitter.com/ericdevin_)
They write for Get French Football News (https://www.getfootballnewsfrance.com/)

The plan|チーム状況

 ディフェンディング・チャンピオンとしてカタールW杯に臨むフランス代表は、選手層の厚いタレント軍団だ。ディディエ・デシャン監督は昨夏のEURO2020で採用した[3-4-1-2]のフォーメーションにその後も固執してきたが、ケガ人が続出した今大会では[4-3-1-2]で臨むことを示唆している。チーム状況は芳しくない。W杯イヤーだというのに、今年のフランス代表はすっかり輝きを失ってしまっている。6月と9月に行われたUEFAネーションズリーグでは6試合中1勝しかできず(2分3敗)、リーグBへの降格は免れたものの、W杯を目の前にして好調とは言えない状況だ。

 レギュラー陣に多くの負傷者が出ていることは、連覇の夢を阻む致命傷になるかもしれない。ポール・ポグバとエンゴロ・カンテを欠くことになった中盤は、前回大会とは異なる陣容になる。レアル・マドリー所属のオレリアン・チュアメニが軸となり、アドリアン・ラビオ、マテオ・ゲンドゥージ、昨季までモナコでチームメイトだったユスフ・フォファナのいずれかと組むことになりそうだ。フォファナとゲンドゥージは最も攻撃的なオプションだが、経験を考慮するとラビオが優勢かもしれない。デシャン監督は、若いチュアメニとフォファナの2人を先発起用して勝利したオーストリア戦(2-0/9月22日)後に「私が選んだ選手であれば、私の信頼を得ているということ。スタメン入りしたのであれば、その選手はトップレベルでプレーするために必要なものをすべて持っているということだ」と述べ、経験の浅い若手選手への信頼を口にしているものの、カタールでは経験のある選手を優先するだろう。

 GKのウーゴ・ロリスは、35歳となった現在もトップレベルのプロフェッショナルであり続けている。チームがラウンド16まで進めば、フランス代表の最多出場記録保持者になるはずだ。DF陣では、プレスネル・キンペンベがケガでW杯出場を断念。ラファエル・バランとともにジュール・クンデ、イブラヒマ・コナテ、ダヨ・ウパメカノ、ウィリアン・サリバらがCBを務めることになる。

 そして攻撃陣は周知の通り、カリム・ベンゼマとクリストファー・エンクンクを大会直前に失うというさらなる不運に見舞われた。2人の代役には、ボルシアMGのマーカス・テュラムとフランクフルトのランダル・コロ・ムアニが招集されている。現在のフランスにはまだキリアン・ムバッペ、アントワーヌ・グリーズマン、キングスレイ・コマン、ウスマン・デンベレ、オリビエ・ジルーがいる。決して悪くはないが、これだけの主力離脱がチームにどれほどの影響を及ぼすのか。カタールの舞台で前回王者がどこまで行けるかを想像するのは、現時点では困難だ。

The coach|監督

ディディエ・デシャン(Didier Deschamps)
54歳|フランス国籍|2012年7月就任……

残り:2,197文字/全文:3,843文字 この記事の続きは
footballista MEMBERSHIP
に会員登録すると
お読みいただけます

Profile

アダム・ホワイト エリック・ドゥバン

RANKING