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コロナ禍により変則日程だったCL、明暗を分けたのはコンディション

2020.08.23

 ベスト4にドイツ勢とフランス勢が残った今季のUEFAチャンピオンズリーグ。ケルン体育大学でケガの予防とリハビリを専門とするインゴ・フロベーゼ教授の目からすると、コンディショニングが明暗を分けたようだ。

 バイエルンとRBライプツィヒのドイツ勢は7月4日のDFBポカール決勝を戦った後、それぞれ2週間ほどのオフを取った。フランス勢のパリ・サンジェルマンとリヨンは3月中旬にリーグが中止になり、残されたカップ戦決勝を戦うために7月上旬から再始動していた。

苦しんだスペイン、イタリア、プレミア勢

 フロベーゼ教授は、試合の感覚が短いサイクルのなかでリーグの日程を終了させなければならなかったイタリア勢、スペイン勢、そしてプレミア勢の難しさを指摘する。

 「試合のサイクルだけに浸かり続けていることは不利になる。試合に出た選手は回復しなければならない。その一方で、出られなかった選手は別のトレーニングを行う必要がある。これは(大会前にコンディションを整えられるチームよりも)ずっと難しい。チャンスが公正に与えられていたわけではない」

 また、それは身体的な問題のみにとどまらず、フロベーゼ教授は「メンタル面でのフレッシュさが欠けている場合、認知にも問題が出る」と説明する。とりわけ不利を被ったのは新型コロナウイルスによるロックダウンが長引いたイタリア勢で、コンディショニングの観点から大きな有利、不利の差があったという。

 「イタリアでは自宅から200m以上離れることが許されず、まったくトレーニングができない状態だった。条件は国によって大きく異なっていた。したがって、チャンスの公正さという点で、今回のCL開催は本来ならば正しいことではない」

コンディション維持に成功したドイツ勢

 フロベーゼ教授はPSGのトーマス・トゥヘル監督を含めた3人のドイツ人指揮官について「フリック、トゥヘル、そしてナーゲルスマンの3人はCLに向けて準備を最善の形で、正しく行った。彼らは、試合のサイクルが組めない時には、トーナメントに向けて最適な準備をすることが必要だと理解していた」と評価する。

 とりわけ、ドイツ代表のアシスタントコーチやマネージャーを務めたハンジ・フリックが率いるバイエルンの準備はほぼ完璧だったようだ。彼は自身の経験や選手のフィットネスコーチを担当するホルガー・ブロイヒ教授の知見を最大限に生かし、トレーニングプランを組んだ。フロベーゼ教授はそのプランを称賛している。

 「バイエルンのトレーニングプランは素晴らしいものだった。まさに“正解”と言えるものだ。インテンシティもうまく分散されていた。毎回強度の高いトレーニングをすればいいというものでもない。加えて、選手たちは休暇を取ったものの、フィットネスが極端に落ちてはいなかった。そのため、その後の準備に向けて優れた基礎が出来上がっていた」

コンディション万全の2チームが戦う

 およそ5カ月も試合がなかったフランス勢にとって幸運だったのは、リーグカップ戦やカップ戦の決勝を戦う機会があったことだろう。

 PSGはキリアン・ムバッペが試合中にケガをする不運にも見舞われたが、一発勝負のテンションを経験しながらCL に臨むことができた。

 フィジカルコンディションが最高の状態にあるバイエルンとPSGが、チャンピオンズリーグの決勝で相まみえる。


Photo: Getty Images

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Profile

鈴木 達朗

宮城県出身、2006年よりドイツ在住。2008年、ベルリンでドイツ文学修士過程中に当時プレーしていたクラブから頼まれてサッカーコーチに。卒業後は縁あってスポーツ取材、記事執筆の世界へ進出。運と周囲の人々のおかげで現在まで活動を続ける。ベルリンを拠点に、ピッチ内外の現場で活動する人間として先行事例になりそうな情報を共有することを心がけている。footballista読者の発想のヒントになれば幸いです。