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黄金世代と対戦した日系アメリカ人 ビーチサッカーW杯で日本と“再戦”

2019.11.19

 11月21日に、パラグアイでビーチサッカーのワールドカップが開幕する。地理に明るい人は「おや?」と思うことだろう。それもそのはず、パラグアイには海がないのだ。今大会は、内陸国で開催される初めてのビーチサッカーW杯となる。

日本戦で1ゴールを奪う

 10回目を迎えた今大会には、ブラジルと並んで皆勤賞の日本も参加する。2大会ぶりの決勝トーナメント進出を目指す日本は、開催国パラグアイ、欧州の強豪スイス、そしてアメリカと同組に入った。グループ突破の2枠を巡る争いは、アメリカを除いた3チームによる三つ巴となりそうだ。

 そんな中、日本が第2戦でぶつかるアメリカ代表に気になる選手がいる。39歳のライアン・フタガキである。名前が示す通り、彼は日系アメリカ人だ。しかし、日本とのつながりはそれだけではない。実は、フタガキは過去に“ワールドカップ”で日本と対戦したことがあるのだ。

 20年前の1999年、まだU-20ワールドカップが「ワールドユース選手権」と呼ばれていた頃、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の学生だった当時19歳のフタガキはU-20アメリカ代表に選出され、ナイジェリアで開かれたワールドユースに出場し、そこで日本と対戦した。

 ご存知だと思うが、当時のU-20日本代表はいわゆる“黄金世代”のチーム。決勝ではシャビを擁するスペインに完敗したが、準優勝という歴史的快挙を成し遂げた。その日本とアメリカが対戦したのは、今回のビーチサッカーW杯と同じグループステージ第2戦だった。試合は高原直泰のゴールなどで日本が3-1の勝利を収めたが、アメリカ側の1点を決めたのがフタガキだった。

 アメリカは日本に次ぐ2位で見事にグループを突破するも、ラウンド16でスペインの前に屈した。「(代表での)1分1秒を楽しんだよ」。フタガキは今年5月、アメリカサッカー協会のHPで当時のことをそう語っている。

現代表監督と出会い、ビーチに転身

 その後、フタガキはU-23代表にも選出された。そして2003年のドラフトでシカゴ・ファイアーに指名されてMLSでもプレーした。だが翌2004年にチームから放出されてしまい、棚上げとなっていた学業を再開。大学を卒業し、医薬品の販売業で生計を立てるようになった。これでサッカーキャリアは終わる……はずだった。

 プロサッカーからは遠ざかったフタガキだが、その後も大学のOBや現役生と趣味でサッカーを続けていた。そんな時、同大学のコーチを務めていたエディー・ソト(現ビーチサッカーアメリカ代表監督)に出会った。そして同氏の勧めにより、2007年からビーチサッカーを始めることになった。

 「まるで足の重さが2万kgあるように思えた」というくらい、最初は砂上でのプレーに戸惑った。だが、努力を続けて2009年に代表に選出されると、2013年には北中米カリブ海(CONCACAF)予選を制してW杯タヒチ大会に出場した。そして、アメリカ人として初めてワールドユース(U-20W杯)とビーチサッカーW杯の両方でゴールを決める偉業を成し遂げるのだった。

20年ぶりに日本と相まみえる

 現在も医薬品のセールスマンとして働くフタガキは、オハイオ州で妻や子供と暮らしている。近くにはビーチなどがないため、屋内のビーチバレーコートで練習をしながら腕を磨いているという。そして、仕事終わりに10kmのランニングをすることが毎日の日課となっている。

 なぜ、そこまで頑張れるのか。フタガキはアメリカサッカー協会のHPでこう語っている。「私はこのスポーツが好きなんだ。サッカーだろうが、ビーチサッカーだろうが、フットサルだろうが関係ない。アメリカを代表してプレーするとなれば、鳥肌が立つよ」

 直近2大会はCONCACAF予選で敗退していたアメリカだが、今年は見事に予選を突破。3大会ぶりにW杯のピッチ、いや砂の上に立つ。そしてフタガキは、自分のルーツがある日本と20年ぶりに“再戦”する。

 もし20年前のように互いに決勝トーナメントに進出して勝ち上がれば、決勝戦もしくは3位決定戦で「3度目」の対戦が叶うかもしれない。アメリカ代表の実力を考えると非現実的な話かもしれないが、“砂の上”なら「2度あることは“さんど”ある」かもしれない。


Photo: Getty Images

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戦術

Profile

田島 大

埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。

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