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開幕2連敗のシントトロイデン。現地解説者からは手厳しい声が

2019.08.11

「日本化」行き過ぎ? 現地解説者が苦言

 昨シーズンはレギュラーシーズン最終節までプレーオフ1を争い、ベルギーリーグを沸かせたシント=トロイデンだったが、新シーズンは開幕2試合で2連敗、0得点7失点と苦戦を強いられている。

 昨季の健闘から一転して苦しむシント=トロイデンに対し、ベルギーメディア『sporza』のサッカー情報番組『エクストラタイム』に出演した解説者のアルノー・ビダルソン氏は、「シント=トロイデンにはたくさんの日本人選手が所属している。ユニフォーム広告は日本語で印刷されているので、読むことができない。少し行き過ぎているのではないか。また、監督やテクニカルスタッフはクラブ内での発言力がほとんどないのではないかと心配している」と指摘している。

 現役時代はロケレン、セルクル・ブルッヘに所属した元アイスランド代表のセントラルMFで、現在はアイスランドU-21代表監督を務めるビダルソン氏。ベルギーで14年間プレーし、引退後もベルギーを拠点とするアイスランド人解説者は、日本人選手の実力を高く評価しつつも「ベルギーのクラブはベルギー人が中心であるべき」と考えているようだ。

昨冬から主力を次々と放出

 今年1月から、シント=トロイデンは主力選手を次々と放出している。1月にはU-21ベルギー代表DFカスパー・デ・ノーレ(→ヘンク)、ウクライナ代表MFロマン・ベズス(→ヘント)を放出。今夏には、1年間の期限付きで移籍していたFW鎌田大地がフランクフルトに復帰、DF冨安健洋が800万ユーロ(約9億5000万円)でボローニャに移籍すると、U-21ベルギー代表のセントラルMFアレクシス・デ・サールがアントワープへ、スペイン人MFクリスティアン・セバージョスがアル・ワクラ(カタール)、元U-21ベルギー代表GKルーカス・ピラールがワースラント・ベフェレンへと移籍している。

 主力選手を大量に放出している一方、今夏の補強はGKシュミット・ダニエル(仙台)、FW鈴木優磨(鹿島)、ベトナム代表FWグエン・コン・フォン(かつて水戸に在籍)のJリーグ経験組に加え、他選手もベルギーリーグでは実績が乏しい。逆にMF遠藤航、FWヨアン・ボリなど、さらに主力選手の放出が濃厚とベルギーメディアでは報じられている。

守備もまずいが、攻撃も大問題

 開幕2試合では、20歳のFWネルソン・バロンゴ、18歳のMFスタン・ファン・デッセル、21歳の左SBティボー・デ・スメトなど若手選手に、MFアレクサンドル・デ・ブライン、DFウォルク・ヤンセンスなど、昨季は控えだった中堅選手がピッチに立った。

 しかし、大幅な戦力ダウンは否定できず、攻守ともに精彩を欠いている。第2節のクルブ・ブルッヘ戦(0-6)での守備崩壊は日本でも話題になっているが、2試合を通して見ると、前線へのボールの供給源だったMFデ・サールの放出により、決定機どころか前線までボールが入らず、得点の気配すら感じさせられない攻撃陣の問題が顕著になっている。得点力に乏しいチームが降格する傾向にあるベルギーリーグにおいて、あまりの試合内容の悪さから、今季はこのまま残留争いを強いられるという見方が強い。

 選手の大量放出に関しては、立石敬之CEOは公式HPで声明を発表し、競争力の維持を強調。新たなトレーニング複合施設の建設費捻出のための選手放出という報道に対し、現在は具体的な計画はなく、獲得した移籍金とは無関係と発表している。9月2日の移籍マーケット終了までに新戦力を確保し、プレーオフ1進出のために準備を図りたい。


Photo: Getty Images

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シント=トロイデン移籍

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シェフケンゴ

ベルギーサッカーとフランス・リーグ1を20年近く追い続けているライター。贔屓はKAAヘントとAJオセール。名前の由来はシェフチェンコでウクライナも好き。サッカー以外ではカレーを中心に飲食関連のライティングも行っている。富山県在住。

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