FEATURE

周到な戦術プランが30分持たない…「適応能力」がもたらした異次元のCL

2020.03.23

林舞輝の2018-19CL総括

今までの常識では考えられない「世紀の大逆転劇」が続出した今季のCL。その背景にあるものは何なのか――奈良クラブの林舞輝が欧州最高峰の舞台の戦術トレンドに迫る。

 リバプールの優勝で幕を閉じた18-19シーズンのCL。こんなにもドラマチックな試合が続いた年は、長いCLの歴史でも唯一なのではないだろうか。毎シーズン1回あるかないかの「世紀の大逆転劇」が何度も見られた。ベスト16からポルト(ローマ相手に1-2から3-1の逆転)、マンチェスター・ユナイテッド(パリSG相手に0-2から3-1の逆転)、アヤックス(レアル・マドリー相手に1-2から4-1の逆転)、ユベントス(アトレティコ相手に0-2から3-0の逆転)。準決勝では、リバプールがバルセロナ相手に0-3から4-0の大逆転劇を演出。そして、アヤックスと対戦したトッテナムもホームでの初戦を0-1で落とし、アウェイの第2レグの前半で0-2(計0-3)にされながらも、後半で一気に3点返しアウェイゴールで上回る。両試合ともCLの歴史に残る大逆転劇となった。

 一般的に先にリードした方が圧倒的に優位に立つと言われているサッカーというゲームにおいて、これは注目すべき現象だろう。「どれだけ差が開いていようと逆転の可能性がある」というのは、それだけこのCLがレベル差のない非常に競争力の高い大会であるということの象徴でもある。フィジカル面、戦術面、技術面、すべてにおいてほとんど差はなく、毎試合、非常に小さなディテールが勝負を分けてきた(それはもはや「運」とも呼べるものかもしれない)。誰もが忘れているだろうが、決勝に残った2チームは実は、両方とも紙一重の差でグループステージで脱落しかけている。リバプールはナポリと、トッテナムはインテルと勝ち点と得失点差の両方で並んでの2位だ。これ以上ないギリギリのギリギリの2位抜けで、何とか決勝ラウンド進出を決めている。......

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Profile

林 舞輝

1994年12月11日生まれ。イギリスの大学でスポーツ科学を専攻し、首席で卒業。在学中、チャールトンのアカデミー(U-10)とスクールでコーチ。2017年よりポルト大学スポーツ学部の大学院に進学。同時にポルトガル1部リーグに所属するボアビスタのBチームのアシスタントコーチを務める。モウリーニョが責任者・講師を務める指導者養成コースで学び、わずか23歳でJFLに所属する奈良クラブのGMに就任。2020年より同クラブの監督を務める。