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「航は苦しかったとは言わない」菊池大介が語る遠藤航、“世界へ行ける選手”の条件

2026.06.06

【特集】チームメイトが語るW杯メンバーの肖像#1

選手の本当の姿は、最も近くでプレーした仲間が知っている。スタジアムの歓声も、試合映像も映し出さない日常の振る舞い。苦しい時期に見せた表情。飛躍を予感させた瞬間――。チームメイトたちの記憶をたどりながら、W杯メンバーの肖像を浮かび上がらせる。

第1回は、引退後は湘南ベルマーレのクラブスタッフとして働く菊池大介が語る遠藤航。ベルマーレのアカデミー時代からともに歩み、その成長を間近で見続けてきた男は言う。「航は苦しかったとは言わないと思う」と。リバプール、そして日本代表のキャプテンへ。世界最高峰の舞台にたどり着いた“航”の強さの源泉を、旧友の証言からひも解く。

「フルーツ王子」と呼ばれた頃から変わらない人柄

――遠藤航選手とのエピソードと聞いて真っ先に思い出すのはどんな場面ですか?

 「航は19歳で結婚しているので、家にお邪魔して奥さんがつくってくれたごはんを食べたり、アウェイに遠征した後泊の時、試合が終わってホテルの部屋で一緒にゲームをやったり、僕が20代前半だった頃の記憶がパッと思い出されますね。航はベルマーレの時に『フルーツ王子』と呼ばれていたぐらい果物が大好きなんですよ。家にお邪魔した時も、とんでもない量のフルーツが食後に出てくるんです(笑)。種類もいっぱいで、オレンジやパイナップル、りんご、梨、あとドラゴンフルーツも一度出てきたかな。航はそれを完食する。その栄養のおかげで今があるんじゃないかという(笑)。僕もフルーツは好きなので、うれしかったですね」

――湘南のアカデミーから一緒だった遠藤選手は、菊池さんにとってどんな後輩ですか?

 「学年は僕の1個下なんですけど、航は高3でトップチームに来ていたし、僕の年代のアンダー日本代表にずっと入っていたので、常に自分のいるところに航もいるという感覚でした。だからピッチ内もピッチ外も一緒にいた記憶はすごく強いですね」

――若くして落ち着いているイメージですが、実際はどうでしたか?

 「基本的には落ち着いています。でも僕と気が合うということは、明るくて、くだけているということ(笑)。他愛ない会話もよくしました。ただ、発言や存在感も含めて、基本的な姿勢はイメージ通り落ち着いていると思います。僕のことを『大さん』と呼んでくれるんですけど、ずっと一緒にベルマーレでやっていましたし、代表も同じカテゴリーだったので、僕の中では同期というイメージで、後輩という感覚はまったくないですね」

――菊池さんもユース時代から湘南のトップチームでプレーしていましたが、プロ1年目の2010年は草津(現群馬)に期限付き移籍をしています。

 「19歳になる年ですね。その時、航は高3で湘南のトップチームで出場していたので、そのシーズンはかぶっていないです。ただ、お互い同じカテゴリーの代表に入っていたので、変わらず一緒にサッカーはやっていました。だから航の成長というか、少しずつステップアップしていくストーリーを一番近くで見ていたところはあると思います」

「航のままアップデートされていた」

――そんな菊池さんは、現在の遠藤選手の活躍をどのように見ていますか?

 「尊敬しかないですね。頑張っているな、すごいな、いつまでもプレーしてほしいな、という想いです。でも当時は、自分も負けていないし、まだまだステップアップできると信じていたので、航が少しずつ実力をつけ、結果を出していく姿を見て、すごいなと思っていた反面、負けたくない、僕も代表に入って航と一緒にプレーする、航を追い越すという想いはもちろん抱いていました」

――遠藤選手は2016年に、菊池さんは2017年に浦和へ移籍し、再会しますが、その時、遠藤選手は何か変化していましたか?

……

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Profile

隈元 大吾

湘南ベルマーレを中心に取材、執筆。サッカー専門誌や一般誌、Web媒体等に寄稿するほか、クラブのオフィシャルハンドブックやマッチデイプログラム、企画等に携わる。著書に『監督・曺貴裁の指導論~選手を伸ばす30のエピソード』(産業能率大学出版部)など。

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