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イラオラ新監督のリバプールはなぜ「斜め」なのか。知と情熱をつなぐダイアゴナル

2026.08.12

新・戦術リストランテ VOL.128

footballista創刊時から続く名物連載がWEBへ移籍。マエストロ・西部謙司が、国内外の注目チームの戦術的な隠し味、ビッグマッチの駆け引きを味わい尽くす試合解説をわかりやすくお届け!

第128回は、イラオラ新監督が率いるリバプールの「斜め」に注目する。6番、8番、10番、9番が一直線ではなくジグザグに並び、守備では相手を誘導し、奪えばそのまま前進のルートになる。そこには、現代的なポジショニングと、6番や8番、10番といった古典的なポジション観が同居している。ハイプレスと縦への速さだけではない。知性と情熱が交差する、イラオラ流リバプールの戦術的な面白さを読み解く。

6番、8番、10番、9番が作る「ダイアゴナル」

 アンドニ・イラオラ新監督のリバプールが独特です。ポジショニングが斜めの関係になっているところが特徴ですね。

 例えば[4-4-2]なら2トップは横並びに表記されますし、MF4人もほぼ横並びです。もちろんこれは初期配置なので、プレー中にそうなっているわけではありません。ただ、選手の頭の中にもベースポジションは刷り込まれていると思います。

 イラオラ監督は初期配置そのものが斜めになっています。

 (実際の背番号ではなく)ポジション番号で言うと9番が最前線ですが、真ん中ではなく中央右側です。10番は9番の左側、斜め後方。8番は10番の右斜め後方、そして6番は8番の左斜め後方です。つまり、9番から6番までを線で結ぶとジグザグになります(下図)。

 概念としての配置だけでなく実際にそうなっています。モナコとのプレシーズンマッチを観ただけなので、いつもこの形なのかどうかはわかりませんが、人を斜めの関係に配置するのは当然意図があります。

「奪う場所」と「奪った後」の同時設計

 守備は[4-4-2]でセットしていましたが、通常のフラットな形ではなく斜め。

 9番に起用されていたイサクは相手の左CBをマークします。ここはほぼ固定で、ボールを追って左側に動くということがない。左CBを使わせないという意図が明白ですね。逆に右CBに対しては10番(ビルツ)との距離があるので、相手は右CB経由でビルドアップすることになります。相手を自分たちの左側へ誘導しているわけです。

……

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Profile

西部 謙司

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。

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