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“テック”S&Cと中村憲剛HCが担う役割、北中米W杯に見出す「自分たちの時間」へのヒント、ホマーノに受け継がれる物語…26-27に挑む川崎Fへの期待

2026.07.30

フロンターレ最前線#30

「どんな形でもタイトルを獲ることで、その時の空気感を選手に味わってほしい。次の世代にも伝えていってほしいと思っています」――過渡期を迎えながらも鬼木達前監督の下で粘り強く戦い、そのバトンを長谷部茂利監督に引き継いで再び優勝争いの常連を目指す川崎フロンターレ。その“最前線”に立つ青と黒の戦士たちの物語を、2009年から取材する番記者のいしかわごう氏が紡いでいく。

第30回では、来たる2026-27シーズンに挑む川崎Fの現状をお届け。“テック”ことヴォイチェフ・イグナティウクストレングス&コンディショニングコーチと中村憲剛ヘッドコーチの役割、北中米W杯でも見出した「自分たちの時間」という命題へのヒント、新加入ペドロ・ホマーノに受け継がれる助っ人たちの物語――8月9日18時キックオフのJ1開幕戦に向けて、期待を綴る。

“テック”S&Cの就任と照明塔の導入がもたらす“熱”の変化

 「練習までの入り方がガラッと変わりましたね」

 7月、北海道・函館キャンプ前のある日の練習後、山本悠樹は汗を拭いながら微笑みを浮かべた。

 「あんまりやったことないタイプのフィジカルコーチなので(笑)。でも、みんな楽しくやれてますし、彼の人となりがすごくいい刺激になってるかなと思います」

 21歳の若き才能、大関友翔もその熱気を受け止めていた。

 「なんて言うんですかね、パッションじゃないですけど、やっぱ盛り上げる力はありますし、常にポジティブな声かけをしてくれる。すごくいいなと思います」

 その言葉が向けられているのは今夏、新たにストレングス&コンディショニング(S&C)コーチに就任したヴォイチェフ・イグナティウクである。愛称は“テック”だ。身体の可動域を押し広げるウォーミングアップの渦中で、「グッジョブ! エクセレント!」と声をかけ、惜しみなくポジティブな熱を選手たちに注入していた。肉体を追い込む地道な作業の中に、新しい風が吹き込んでいる。

長谷部茂利監督(後列中央)とヴォイチェフ・イグナティウクストレングス&コンディショニングコーチ(前列左から1番目)

 そして約2週間の函館キャンプを終えたチームは28日、麻生グラウンドで再始動。

 この日の公開練習の開始時刻は夕方5時だった。実はこれまでの麻生グラウンドでは練習設備の関係で夜間のトレーニングができなかった。夏場は午前練習の開始時間を早めるなどして暑さ対策をしていたのだが、今年から設置された照明塔の使用により、夕方からの練習が可能となったのだ。2026-27シーズンに向けた変更点の1つだと言えるだろう。

 選手の反応は、総じてポジティブな印象だ。今季もキャプテンマークを巻くことが決まった脇坂泰斗に感想を聞くと、「より練習に集中できる」と振り返った。

 「まだ違和感がありますが、練習までの時間の過ごし方も全然違いますね。そこにも早く慣れていかないといけないんですけども、ナイターができるっていうのは、すごいポジティブなことだと思う。より練習に集中できるというか。暑いとできないわけじゃないんですけど、みなさんもわかると思うんですけど、(夏場の朝練習は)立ってるだけでもしんどいところはあるので、こういう環境ができてありがたいなと思います」

 実際、暑さを考慮しての練習時間の変更だと長谷部茂利監督は明かす。

 「気温ですね。湿度のところは大きくは変わらないと思うのですが、気温がだいぶ違うので練習しやすいです。ただ、今まで午前中に練習することが多かったので、7、8時間ぐらい違いますね。そこの順応は簡単ではないと思います。公式戦はナイターになるので、そこに力を出せるようにという意味ではいいと思ってます」

 練習後の選手たちがクラブハウスを出て帰宅していくのは、早くても20時過ぎ。練習時間の大幅な変更により、これまでの生活リズムやルーティーンが変わるデメリットも、もちろんあるだろう。ただシーズン開幕からしばらくはナイターゲームが続く。試合時間に合わせてチームトレーニングができると、より実戦に近い形での準備がしやすいメリットもあるはずだ。

「妥協したくない」「自分たちの時間」脇坂と山本の答え

 2022年にJ1リーグ3連覇を逃して2位に甘んじて以降、川崎フロンターレの年間順位は「8位→8位→8位」。そしてJ1百年構想リーグも「8位」である。4大会連続で8位が続けている。その間に手にしたタイトルは2023年の天皇杯のみ。2025年のACLE準優勝など戴冠の足音は聞こえど、あと一歩で手が届かない。

 だからこそ、タイトルが欲しい。 Jリーグを席巻した時代が過去のものとなりつつある現実と真摯に向き合いながらも、覇権奪還に向けて静かに闘志を燃やしている。脇坂は、タイトル奪取に想いを込めた。

……

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Profile

いしかわごう

北海道出身。大学卒業後、スカパー!の番組スタッフを経て、サッカー専門新聞『EL GOLAZO』の担当記者として活動。現在はフリーランスとして川崎フロンターレを取材し、専門誌を中心に寄稿。著書に『将棋でサッカーが面白くなる本』(朝日新聞出版)、『川崎フロンターレあるある』(TOブックス)など。将棋はアマ三段(日本将棋連盟三段免状所有)。Twitterアカウント:@ishikawago

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