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ノルウェーの苦労人GKにアルゼンチンの小兵CB、スペイン勢の5人を選出!北中米W杯決勝Tベストイレブン

2026.07.23

【特集】北中米W杯深掘り分析スペシャルレビュー#19

4年に1度のW杯は、後世に語り継がれる名勝負の宝庫だ。しかし高度化した現代サッカーの裏側には、徹底した分析と綿密なシミュレーションに基づく極限の戦術的駆け引きが存在する。footballista編集部が選んだ識者たちが、注目国同士による「本気の闘い」を深掘りレビュー。あの90分で何が起きていたのか。勝敗を分けた戦術の妙に迫る。

第19回では、北中米大会決勝ラウンドのベストイレブンを選出。全試合を視聴したフットボールコラムニスト、安洋一郎氏が計32戦でのパフォーマンスをふるいにかけて、世界最高峰の舞台に立った主役たちを[4-3-3]で並べていく。

GK

エルヤン・ニーラン(ノルウェー代表)

3試合4失点

 キャリアで3度の無所属期間を経験しながらも、長きにわたりノルウェー代表の守護神の座を守り続けてきたエルヤン・ニーランが、北中米W杯の決勝ラウンドで輝きを放った。

 28年ぶりにW杯へ出場したノルウェーは、ラウンド32でコートジボワール、ラウンド16でブラジルを破った。いずれも2-1の接戦となったが、この2試合はニーランがチームを勝利へ導いたと言っても過言ではない。

 コートジボワール戦では、86分にエースのFWアーリング・ホーランドが2点目を決めて勝ち越しに成功。その直後から後がないコートジボワールの猛攻を受けると、90+6分に最大のピンチを迎えた。

 自ゴールから約30mの位置でFKを与えると、FWアマド・ディアロがゴール左上隅を狙った強烈なシュートを放つ。これをニーランが左手1本で枠外へ弾き出し、その2分後に試合終了のホイッスルが鳴った。

 続くブラジル戦では、14分に味方が与えたMFブルーノ・ギマランイスのPKをストップ。40分には自陣ゴール前でのロストから招いたショートカウンター、85分には味方のクリアがゴール右上隅へ向かった場面でも、神がかり的なセービングを見せてゴールを許さなかった。

 ブラジル戦で見せたこの3つのセーブは、いずれも自軍のプレーがきっかけで招いたピンチだった。失点していれば、試合の流れはメンタル面も含めて対戦国へ大きく傾いていた可能性が高い。そうした重要な局面で、頼れる35歳が相手に流れを渡さなかった。

 今大会のノルウェーの躍進にエースのホーランドが欠かせなかったことは言うまでもない。しかし、自陣ゴールを幾度となく救った守護神ニーランの存在も、快進撃を支えた大きな要因だった。

DF

ペドロ・ポロ(スペイン代表)

5試合2ゴール0アシスト

 過去にW杯優勝を成し遂げたチームには、いくつかの共通点がある。それは大会期間中、選手のコンディションや相性を踏まえながら、「柔軟に最適解を組み直せる」ことだ。

 ルイス・デ・ラ・フエンテ率いるスペイン代表も、歴代の優勝チームと同様に、大会期間中に開幕時から選手起用を見直しながら隙のないチームへと仕上げていった。

 その象徴となったのが右SBのペドロ・ポロである。開幕当初はサブという位置づけで、グループステージでは第2戦のサウジアラビア戦のみの出場にとどまっていたが、決勝ラウンドでは全5試合に先発出場した。

 攻守両面で積極性を発揮する26歳が今大会で活躍できた要因は、右ウイングのラミン・ヤマルとの縦関係を効果的に生かせたことにあるだろう。

 19歳にして世界最高峰のアタッカーであるヤマルに相手の視線が自然と集まる中、ポロはオーバーラップとアンダーラップを巧みに使い分け、ファイナルサードで数多くのチャンスメイクに関与した。

 それを象徴するのが、準決勝のフランス戦で決めたゴールだ。ヤマルが大外に張る中、内側のレーンへポジションを取ったポロは、MFダニ・オルモとのワンツーで相手CBとSBの間に生まれた背後のスペースへ侵入。そのままゴールを奪った。

 『Opta Analyst』によると、ポロは大会を通じてオープンプレーからDF最多となる24本のクロスを供給。ヤマルとの連係はもちろん、彼を囮にした動きでも相手守備を揺さぶり、右サイドから何度も決定機を演出した。

パウ・クバルシ(スペイン代表)

5試合0ゴール0アシスト

 北中米W杯を制したスペイン代表は、大会を通じてベルギー戦で喫した1失点のみという圧巻の守備を披露した。

 出場チーム最多となる8試合を戦ったにもかかわらず、大会を通した被ゴール期待値(xGA)は全出場国で最少の2.37を記録。危険なエリア、すなわちペナルティエリア内で相手にシュートを打たせなかったことが、この失点の少なさにつながったと考えられる。

 この堅守の立役者の1人となったのが、パウ・クバルシだ。19歳とは思えない成熟したCBは、相方のエメリク・ラポルトらとの連係を生かした組織的な守備で、効果的にボールを奪い返した。

 特に際立っていたのがポジショニングの巧さである。敵陣に押し込んだ状況からカウンターを受けた際には、相手のパスコースを消しながら決定的なパスをインターセプト。優れた読みを生かしたカバーリングでも、幾度となくピンチの芽を摘んだ。

 アルゼンチンとの決勝でも、その能力は際立った。延長後半終了間際の120分、ジュリアーノ・シメオネにセットプレーからゴール前へ鋭いグラウンダーのクロスを入れられた場面では、相手より先にパスコースへ入り、ギリギリの局面でクリアしてチームを救った。

 持ち味のビルドアップでも重要な役割を担い、DF最多となる699本のパスを試み、そのうち671本を成功(成功率95.9%)。ヤマルへの縦パスをはじめ、ライン間へ差し込むパスを数多く成功させ、「最終ラインの司令塔」として攻撃の起点にもなった。

 決勝ラウンドでは、前方にスペースがあれば積極的にシュートを狙う姿勢も光った。ベルギーとの準々決勝では、クバルシのミドルシュートのこぼれ球をミケル・メリーノが押し込み、勝ち越しゴールが生まれている。

 大会最優秀若手選手賞にふさわしい攻守両面での活躍だった。19歳とは思えない完成度を示した。

リサンドロ・マルティネス(アルゼンチン代表)

5試合1ゴール1アシスト

 今大会の開幕前、アルゼンチン代表には大きな不安要素があった。それがCB陣のコンディション不良である。

 左CBのリサンドロ・マルティネスは、所属するマンチェスター・ユナイテッドで過去3シーズンにわたって稼働率が安定せず、北中米W杯前の代表招集も2024年10月以来となっていた。

 そうした不安を実力で払拭した。とりわけ決勝ラウンド以降のマルティネスは、攻守両面で安定したパフォーマンスを披露した。

 最も活躍が際立ったのは、カーボベルデとのラウンド32だろう。コンパクトな守備ブロックでスペースを消す相手に対し、背後へ抜け出したFWリオネル・メッシへ正確なロングフィードを送り、先制点をアシストした。

 さらに延長戦では、セットプレーのこぼれ球を左足でニアサイドへ鋭く振り抜き、一時勝ち越しとなるゴールも記録している。

 この2つの場面でも示した左足のキック精度は今大会でも屈指だった。『Opta Analyst』によると、大会を通じて前方へのパスを169本成功させ、この部門ではスペイン代表の両CBに次ぐ数字を記録している。

 また、身長175cmという小柄な体格ながら空中戦や球際の強さでも存在感を発揮。空中戦勝率も66.7%を記録し、サイズ面の不安を感じさせることはほとんどなかった。

 ゴール前で体を張る守備も含め、アルゼンチンに欠かせない存在だった28歳。しかし、決勝では前半終盤に負傷交代を余儀なくされ、最後までピッチに立ち続けることができず。それでも、今大会屈指のパフォーマンスを披露したCBの1人だったことに疑いの余地はない。

……

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Profile

安 洋一郎

1998年生まれ、東京都出身。高校2年生の頃から『MILKサッカーアカデミー』の佐藤祐一が運営する『株式会社Lifepicture』で、サッカーのデータ分析や記事制作に従事。大学卒業と同時に独立してフリーランスのライターとして活動する。中学生の頃よりアストン・ヴィラを応援しており、クラブ公式サポーターズクラブ『AVFC Japan』を複数名で運営。プレミアリーグからEFLまでイングランドのフットボールを幅広く追っている。

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