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2人の新人が刺激をもたらした5月。長璃喜と持山匡佑がこじ開ける川崎Fの未来

2026.05.28

フロンターレ最前線#28

「どんな形でもタイトルを獲ることで、その時の空気感を選手に味わってほしい。次の世代にも伝えていってほしいと思っています」――過渡期を迎えながらも鬼木達前監督の下で粘り強く戦い、そのバトンを長谷部茂利監督に引き継いで再び優勝争いの常連を目指す川崎フロンターレ。その“最前線”に立つ青と黒の戦士たちの物語を、2009年から取材する番記者のいしかわごう氏が紡いでいく。

第28回は、J1百年構想リーグのプレーオフラウンドを前に、刺激となった新人2人をピックアップ。川崎Fの未来をこじ開ける長璃喜と持山匡佑の5月を振り返ってみよう。

 川崎フロンターレは明治安田J1百年構想リーグEASTの最終順位を4位で終えている。プレーオフラウンドでは7位・8位の決定戦をWEST4位のサンフレッチェ広島と行うこととなった。

 始動当初から優勝を公言して臨んでいた大会であることを考えると、目標に遠い結果となったというのが正直なところだろう。開幕戦こそ柏レイソルに5-3で競り勝ったが、スタートダッシュに失敗。勝ち負けを繰り返す状態で折り返し、4月半ばに第10節で首位の鹿島アントラーズとの直接対決に敗れたことで優勝争いから脱落する格好となった。

 そこからの戦いぶりを振り返ってみると、5月の長谷部茂利監督は、戦術的な幅を広げるような戦い方に舵を切り始めた節が感じられた。例えば第14節のFC東京戦では[4-4-2]システム、第16節の柏レイソル戦では[3-4-2-1]システムでスタートするなど、これまで採用していた[4-2-3-1]システムとは違う立ち位置を試している。他にも、試行錯誤は選手起用法にも表れていた。

 これまで出番の少なかったルーキーにも積極的にチャンスを与えており、そこも特筆すべき点だった。第15節の東京ヴェルディ戦では、高卒新人の長璃喜がプロ初スタメンを飾り、堂々としたプレーぶりを披露。第17節のFC町田ゼルビア戦でプロ初出場を果たした持山匡佑は、続く18節の水戸ホーリーホック戦でハットトリックの快挙を達成した。

長谷部茂利監督(後列中央)、長璃喜(前列中央)、持山匡佑(同列右から1番目)

 今回は、シーズン終盤となった5月に注目すべき活躍をしたこの新人2人にフォーカスしていく。

「いろんな不安はあった」長を解き放った先輩・山原の言葉

 長は昌平高校出身の高卒ドリブラーだ。

 第10節の鹿島アントラーズ戦で途中交代でプロデビューを果たすと、第15節の東京V戦で初先発となった。途中交代でコンスタントにアピールを続け、自らの手で手繰り寄せたスタメンだったと言える。決して棚ぼたで転がり込んできたチャンスではなかった。

 キックオフの笛から、わずか40秒。スベンド・ブローダーセンのロングキックをラザル・ロマニッチが落とす。その瞬間、長は縦へと抜け出していた。右サイドからゴール前へ送り込んだクロスは惜しくも逆サイドへ流れたが、このファーストプレーがアタッカーの心に火をつけた。

 「あんまり覚えてないんですけど、ファーストプレーで、1回高い位置でドリブルで自分の特徴が出せた。そこから波に乗れたかなと思います。試合にうまく入ることができました」

 長谷部監督も、その立ち上がりの推進力に確かな手応えを感じていた。

 「前半の入りも素晴らしくて、期待感がありました。私だけではなく、本人も『よし、これは行けるぞ』という思いになったと思うし、見ておられた方たちもそう思ったはずです」

 そしてボールを持てば、迷わず前を選択して仕掛けていった。

 前半20分には長を起点にロマニッチがクロスを上げ、22分には脇坂泰斗のセカンドボールを素早く拾って、ペナルティエリア前で自らファウルを誘う。さらに30分には、脇坂との流麗なワンツーからクロスを供給し、山本悠樹のボレーシュートを演出した。

 「パスを出したら、いいところに出してくれる。脇坂選手だったり周りの選手が合わせてくれて成り立っている。やりやすい環境でやらせてもらってます」

 試合後の長本人は謙虚にそう振り返っていたが、ピッチ上の彼は攻守にアグレッシブさを失わず、自身のプレーを表現することに没頭していた。

 「緊張はありました。長い時間は出たことなかったので、いろんな不安はあったんですけど、周りの選手が言葉をかけてくれました」

 その言葉をかけた先輩の1人が、縦関係を組んでいる右SBの山原怜音だ。試合後、長を輝かせるためのアプローチをこう明かす。

……

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Profile

いしかわごう

北海道出身。大学卒業後、スカパー!の番組スタッフを経て、サッカー専門新聞『EL GOLAZO』の担当記者として活動。現在はフリーランスとして川崎フロンターレを取材し、専門誌を中心に寄稿。著書に『将棋でサッカーが面白くなる本』(朝日新聞出版)、『川崎フロンターレあるある』(TOブックス)など。将棋はアマ三段(日本将棋連盟三段免状所有)。Twitterアカウント:@ishikawago

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