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“2年前倒し”で飛び込んだプロの世界で直面する明確な壁。シンデレラストーリーの続きはまだまだこれからが面白い。横浜F・マリノス・関富貫太インタビュー

2026.05.28

【特集】百年構想リーグで台頭したU-21の新星#9

昇降格というプレッシャーから解放された百年構想リーグでは、勝敗だけでなく「成長」にも大きな価値が置かれる。若手にとって“試される場”であると同時に、“伸びるための舞台”でもある。本特集では、その環境の中で自らの才能をピッチ上で証明し始めたU-21の新星たちに光を当てる。

第9回は、横浜F・マリノスの関富貫太。中学時代を神奈川県4部リーグで過ごしていた攻撃的なレフティは、柏レイソルのアカデミーを経て、左サイドバックとしての新境地を開拓。年代別代表も経験する中で、大学卒業を待たずに“2年前倒し”で横浜F・マリノスへの加入を決断した。ただ、現在はプロとしての壁に直面している様子。シンデレラストーリーを駆け上がってきた20歳の、今のリアルを聴いた。

壁にぶつかっている今はステップアップのための準備期間

――ここまでの百年構想リーグ(第17節終了時)では6試合に出場して、スタメンが4試合、途中出場が2試合です。この現状はどう捉えていますか?

 「プロ1年目としては、チャンスをいただけている方かなと思うんですけど、自分の感覚ではまだまだ出場時間が少ないと感じていますし、与えてもらったチャンスを掴み切れていないのが現状です。

 昨シーズンより今シーズンはパフォーマンスが上がっていないのかなと思っています。まずプロになったことで、いろいろな変化がありましたし、プロの基準で考えた時に足りないところだらけだったので、そこを日ごろから吸収していく中で、もともとあった自分の良さが出せていなかったり、考えすぎて頭がパンクしてしまっている印象があります」

――去年は大学生で特別指定選手という立場でしたが、今年はプロ選手としてシーズンスタートから活動されています。この違いはやはり大きいですか?

 「凄く大きいですね。去年は大学生という見られ方をしていて、『大学生でこれぐらいできるのは上出来だ』と捉えられていたのかなと思うんですけど、今年はやはり『プロなのに』『プロだから』という見られ方に変わってきたので、そこは大きな違いがありますし、今はもがいている最中です」

――具体的にはどういう部分でもがいているんですか?

 「いろいろなことがありますが、一番は環境が変わって、次のレベルに適応するという部分で、このリーグのレベルに慣れるのにも少し時間が掛かっているのかなという印象があります。ただ、そこはあまりネガティブには考えていません。

 中学生時代はFASCINATE(当時神奈川県4部リーグ所属)というチームに所属していて、そこから日体大柏高校に進んで、最初の半年ぐらいはトップチームの試合に出られませんでした。そこから柏レイソルU-18に所属チームを変えて、最初は試合に出られたものの、その後は半年ぐらい出られない期間がありました。

 さらに桐蔭横浜大学に入ってからも、最初の半年は難しい時間を過ごしていました。これまでにそういう時間を乗り越えてきた経験があるので、今はやり続けるしかないのかなと思っています」

桐蔭横浜大学時代の関富貫太

――これまでの経験があるから、今はステップアップするための準備期間という捉え方ができているんですね。

 「はい。それこそ最近のことですが、レイソル時代にお世話になった藤田さん(藤田優人/日体大柏高校コーチ)と話した時にも、『今が一番大事だぞ』と言ってもらいましたし、今はまさに壁にぶつかっている時期だと自分でもわかっています」

プロの左サイドバックとして考えていること

――左サイドバックとして、攻撃面で意識していることはどういうことですか?

 「自分は左利きの左サイドバックなので、そこで違いを生み出さないといけないと思っています。以前は前への推進力で攻撃に厚みを出すプレーや、スピードに乗ったドリブルが多く出せていたんですけど、プロの世界に入って、レベルがより上がって、覚えるべき戦術もある中で、うまく役割を整理しながら、その中でも自分の強みを出さないといけないところに、今は苦戦しているイメージです」

――スタメンで出場している今季の試合を見ると、以前より前に出て行く回数が少ないのかなと感じました。

 「僕もそう思います。もちろんバランスをとることも大切ですけど、そこで勇気を持って前に行ける選手が違いを出せると思いますし、結果にも繋がってくると思うので、そこを見極めたいですし、チャレンジするという意味でも、もっともっと自分からアクションを起こしてもいいのかなと感じています」

Photo: Takahiro Fujii

――一方で守備面ではどういうことを求められていますか?

 「守備でも自分の強みを出さなくてはいけないと感じています。プロの世界に入って、今はサイドバックとしての基礎を本当にイチから叩き込まれている感じなんですけど、そこでも迷いから本来の強さが出せていない場面もあるので、そこが整理されてくると、もっと良い選手になれるのかなと思っています」

――そうすると、今は守備でやるべきことが頭の中の多くを占めているイメージなんですね。

 「はい。細かいことで考えすぎてしまったり、自分の中での不安要素からプレーに迷いが出てしまったり、一歩二歩の寄せが甘くなってしまったりする部分は結構多いです。そこも何か良いきっかけが掴めれば、自分の中でも変わることができると思います」

――これはJ1でも十分通用するなと、手応えを掴んでいる部分はどういうところですか?

 「去年から単純な1対1とか、フィジカル面では通用すると感じていたんですけど、そこもやはり去年の自分の乗っている時というか、何も考えずに勢いを持ってやれている時は、J1の中でも通用する感覚があったので、そういった状態にどう持っていくかが今の課題ではあります。周りの反応もそうですし、スタッフも『やれていたじゃん』というイメージになってしまうと思うので、そこでも苦労しています」

――そのお話を伺うと、去年は特別指定選手としてJ1の5試合に出場されていましたが、それはポジティブな経験になっていますか?それとも足かせになっている部分もあるのでしょうか?

 「どうしても比較されてしまうところはあると思いますし、自分の中でも『去年に比べて……』という1つの基準は、良い意味でも悪い意味でも持っているので、そこは大事にしていきたいです」

宮市亮から送られた言葉を胸に

――改めてプロサッカー選手として、日々のトレーニングに集中しながら過ごす日常に対しては、どのように感じていますか?

 「強度の部分で、去年までの大学とは違った強さで毎日過ごせていることは大きいですね。ただ、まだ大学には通っているんですよ。サッカー部はやめたんですけど、学校側に融通を利かせてもらっていて、課題を出したり、オンラインで授業を受けたりはしています。

 ただ、去年に比べてサッカーに費やせる時間は凄く増えた中で、お手本にできる選手がF・マリノスにはたくさんいますし、そういった選手と比べたらまだまだ自分には甘い部分があるのかなと思います」

――そうか。現役大学生Jリーガーなんですね。

……

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Profile

土屋 雅史

1979年8月18日生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社。学生時代からヘビーな視聴者だった「Foot!」ではAD、ディレクター、プロデューサーとすべてを経験。2021年からフリーランスとして活動中。昔は現場、TV中継含めて年間1000試合ぐらい見ていたこともありました。サッカー大好き!

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