“金看板”の堅守に傷…黒田ゼルビアの“今そこにある危機”
ゼルビア・チャレンジング・ストーリー 第33回
町田の名を全国へ、そして世界へ轟かせんとビジョンを掲げ邁進するFC町田ゼルビア。10年以上にわたりクラブを追い続け波瀾万丈の道のりを見届けてきた郡司聡が、その挑戦の記録を紡ぐ。
第33回では、2026シーズンのスタートから好発進を切った一方で、懸念材料となっているチームの不安定な守備について。「勝つイコール守れること」という黒田剛監督のポリシーに反する現状をチームはどう受け止めているのか。当事者たちのコメントももとに明らかにする。
最少失点での国内初勝利は、目前にまで迫っていた。
J1百年構想リーグ第3節の東京ヴェルディ戦は6分目安のアディショナルタイムに突入。堅守自慢の黒田ゼルビアにとって、2-1でリードした展開をそのままクロージングすることは、それほど困難なタスクではない……はずだった。
ところが、90+5分に落とし穴が待っていた。町田は左サイドでのスローインの展開から新井悠太にゴール前へクロスを入れられると、そのクロスに合わせた「身体能力が高い」(森田晃樹)吉田泰授のヘディングシュートがゴールに吸い込まれた。劇的な同点ゴールに沸く味の素スタジアム。町田は89分の被弾を皮切りに“魔の6分間”でまさかの2失点を喫し、追いつかれてしまった。
2−2でもつれ込んだPK戦は守護神の谷晃生が1本を止めたものの、町田は桑山侃士のPKがマテウスに止められた上に、西村拓真のPKがポストを直撃。無念のPK負けとなった。
「負けに等しい引き分け(のスコア)」とは中山雄太の言葉。相馬勇紀の超絶FKで先制し、得点源のセットプレーで追加点まで取った展開は理想的だったが、結局は勝ち点2を取りこぼす結果にチームは失意に暮れた。
異例の5連戦から始まった黒田ゼルビアの2026シーズン。クリーンシートはACLエリートリーグステージ第7節の上海申花戦における1試合のみ。しかも残りの4試合ではそれぞれ2失点の複数失点を喫しているため、現状の黒田ゼルビアは“金看板”の堅守に傷がついた状態だ。さらに突っ込めば、ACLEリーグステージ第8節の成都蓉城戦と直近のヴェルディ戦はいずれもアディショナルタイムに被弾。直近2試合での終了間際の被弾は、「話にならない」(黒田剛監督)クロスからの失点というオマケ付きだ。
開幕5連戦でどこかへ行ってしまったかのような堅守という名の“金看板”。今回の連載は、黒田ゼルビアが直面する“今そこにある危機”に焦点を当てる。
「百年構想リーグだからこそできるチャレンジ」
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Profile
郡司 聡
編集者・ライター。広告代理店、編集プロダクション、エルゴラッソ編集部を経てフリーに。定点観測チームである浦和レッズとFC町田ゼルビアを中心に取材し、『エルゴラッソ』や『サッカーダイジェスト』などに寄稿。町田を中心としたWebマガジン『ゼルビアTimes』の編集長も務める。著書に『不屈のゼルビア』(スクワッド)。マイフェイバリットチームは1995年から96年途中までのベンゲル・グランパス。
