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フットボールの核心は控室での会話!?「FOOTBALL FREAKS」が伝えたいこと

2020.03.30

プレミアリーグを中心に欧州各国リーグのハイライトやクラブの歴史、現地での裏話など豊富な切り口が人気のサッカー番組「FOOTBALL FREAKS」。MCを務めるのはフリーアナウンサーの野村明弘と、サッカーライターのベン・メイブリー。以前から親交のある2人の軽妙な掛け合いは番組の魅力となっている。そんな両者が語るお互いの印象、そして、フットボールメディア論とは。

試合のコンテクスト


――収録を見学させていただきましたが、カメラが回っていない時も含めてお二人の息がぴったりなのが印象的でした。

ベン・メイブリー(以下、ベン)「昔からずっと(試合)中継でコンビを組んでいますし、一緒に番組ができるのは大きな喜びですね。最初に話をもらった時も野村さんならやりやすいだろうなと思っていました」


野村明弘(以下、野村)「ベンさんとは以前から控室でいろんなテーマで会話をするからネタはたくさんあるのですが、中継だと試合内容に触れなきゃいけないので(時間的に)できない話も多い。だから、番組を一緒にできると聞いた時は嬉しかったですね」


――番組尺がある程度自由なのはDAZNの編成的な魅力でもあります。

ベン「台本がきっちりある番組も悪くないのですが、『FOOTBALL FREAKSはご覧いただいたように自由に楽しくやらせてもらっています(笑)。長く喋りすぎてスタッフさんに編集で苦労をかける部分もあると思いますが、自然な(会話の)脱線は面白い話も出てきやすい。控室での会話と同じ感覚で収録していますね」


野村「意外にそういう話がフットボールの核心に触れていること多いんですよ。ベンさんはイングランド出身ということもありますが、文化としてフットボールを紹介するという意味では最適な方だと思います」


――「文化としてのフットボール」をより具体的に説明していただいてもいいですか?

ベン「例えば、中継であればその試合のコンテクスト(文脈・状況)を視聴者に伝えるということ。目の前で起きている事象をメインに、選手や監督を主役としてお伝えするという点は変わりませんが、もっと広い視野でクラブの歴史に触れたり、ビッグ6以外についても知ることができればプレミアリーグ全体の楽しみ方が増えると思っています」


――野村さんはロンドンでの生活経験をお持ちですが、現地メディアもそういった観点で報道されているのでしょうか?

野村「1年程度住んでいたのですが、その期間は毎日『ザ・サン』というタブロイド紙のサッカー面を全部読みました。驚いたのは過去何十年もさかのぼって直近のカードについての解説が記載されていること。だから、歴史を学ぶことができた。バーンリー出身の友人がいるのですが、彼が生まれる前にバーンリーFCが優勝していることを自分が見てきたかのように話すんです。つまり、皆が歴史を共有している。同じようなことを『FOOTBALL FREAKS』を通じても出来ればいいなと思っています」


ベン「例えば、先日開催されたアーセナル対ウェストハムといえば、1980年のFAカップ決勝戦ですよね。私が生まれる前の試合ですが、それが自然に頭に浮かびます。そうした大きなコンテクストの中で、イギリス人はフットボールを語るので。私は今、日本に住んでいますが、生活上は半分イギリスに住んでいるような感覚です。毎日3~4時間程度イギリスのポッドキャストやラジオ、テレビやネットなどイギリス人が見聞きするメディアをチェックしています。それによって自分がイギリス人でいれるというのもありますし、だからこそイギリス目線で日本のメディアに情報をお伝えすることができます」

撮影は和気あいあいとした雰囲気で行われている

点ではなく線で


――そういう意味ではプレミアリーグ各クラブの歴史を紹介する「クラブヒストリー」は思い入れの強いコーナーなのではないですか?

野村「そうですね。ベンさんはプレミアリーグに対してすごい知識量をお持ちなのでおんぶに抱っこ状態ではありますが(笑)。だから、私はベンさんの専門性に対して普通のフットボールファンの空気感を出せればいいなと思いながら会話しています。だから、分からないことはカジュアルに聞くし、普通のパブでの会話のような意識がありますね」


――収録中も会話の流れを重視して即興で話しているようにも見えました。

ベン「ネタはたくさんあるので。野村さんとの会話の中で『この話は日本ではあまり知られていないかも』と気付く時もあります。そういう形の方が視聴者も楽しいはずなので、面白い話題を選んで視聴者の関心を高めていきたいですね」


――視聴者層を意識されて話す部分もあるのでしょうか?

ベン「DAZNはいろんなスポーツコンテンツを配信しているので視聴者層も幅広い。JリーグきっかけでDAZNに加入してプレミアリーグを視聴する人もいると思うので、誰でも楽しめるものにしたいですね」


野村「DAZNがサッカーの権利を持つようになって若い人がネット環境で視聴するケースが増えたと思います。これまでは家にアンテナやチューナーが必要だったり、値段が高かったたりで(視聴を)諦めていた世代が自分のお小遣いで加入できる状況になっている。つまり、これまではハイライト映像しか見ていなかったような人達にも楽しんでもえるような番組作りを意識しています」


ベン「一方でずっとサッカーを観ていた人も楽しんでもらえるためにマニアックなネタも意識的に選択しているのですが、それも話し方次第でどんな視聴者層にも楽しんでいただけると思っていますね」


――今後実施したい企画はありますか?

ベン「今回の収録から『クラシックマッチ』というコーナーを開始して、過去の名勝負を紹介しましたが『あの時代ならこの試合!』『あのクラブならこの試合!』というものが多々あります。その試合の背景にあるコンテクストを知れば、もっとプレミアリーグが楽しくなる。例えば、10年前のマンチェスターダービー。ユナイテッドが3連覇していたのですが、シティが成金になって優勝を狙えるクラブ力を持った初のフルシーズンというコンテクストがある。それを懐かしく思える人もいれば、シティがそこまで強いクラブではなかったことを知って驚く人もいるはず」


野村「ベンさんがお話されたように点ではなく線で伝えたいですね。あと、文化という言葉を出しましたが、それは宗教だったり、食事だったり、言葉だったり……フットボールを通じてヨーロッパ各国を知って欲しい。最近、若い人があまり旅行に行かなくなったと聞くじゃないですか。だから、現地に行きたくなるような試みができればいいなと思っています。予算があれば現地で収録もしたいですね(笑)」

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Football Freaks

木曜日配信DAZNオリジナルコンテンツ。 プレミアリーグ、UCLを中心に 欧州サッカーを掘り下げる番組。 ベンと野村が繰り広げるトークと 永井雄一郎、石川直宏のプレー解説、 海外選手のストーリーなどサッカーの魅力を味わえます。

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Profile

玉利 剛一

1984年生まれ。関西学院大学社会学部卒業後、スカパーJSAT株式会社入社。コンテンツプロモーションやJリーグオンデマンドアプリ開発等を担当。2018年より筑波大学大学院に所属し、スポーツ社会学を研究。修士号取得。サポーター目線をコンセプトとしたブログ「ロスタイムは7分です。」管理人。footballista編集部。

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