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やり過ぎて玉砕もご愛敬?メンディリバルが有言実行する「バスク+α」の美学

2020.01.06

エイバルのホセ・ルイス・メンディリバル

ストーミングの旗手#2

現在のサッカー界における2大トレンドとして、「ポジショナルプレー」とともに注目を浴びている「ストーミング」。その担い手である監督にスポットライトを当て、指揮官としての手腕や人物像に迫る。

 エイバルの特徴を表すデータはいくつかある。シュート数で7位、CK数5位、試合時間の6割を敵陣で過ごし、最終ラインは最も高くゴールラインから40m以上前……。

 見えてくるのは、DFラインを極限まで上げ、前から猛烈なプレスをかけ、相手ゴールに殺到する姿。ボールを奪えば素早くロングボールを2トップに当て、サイドで拾ってウインガーとSBのコンビで打開し、センタリングを上げる。ゴール前で待っているのは2トップと逆サイドのウインガーとSB。シュートで終わることを心がける。

 メンディリバル監督には2度インタビューしているので、プレースタイルは本人の口から聞いている。「ポゼッションにはこだわらない」、「敵陣でなるべく時間を過ごす」、「ボールを奪った後は手数をかけない」。彼は記者会見でも戦術・采配の話が大好きで積極的に手の内を明かしてくれ、実際にゲームを見ると聞いた通りのことが起きている。

 構造は非常にシンプルで、個々の役割が明確で、同パターンのプレーと連係が何度も繰り返されるので、ここまで書いたことを頭に入れて2、3試合見れば、誰でもエイバルのプレースタイルがわかり、例えば乾貴士がどこで何をしていて次に何をするかを高い確率で当てることができる。そうしてリーガ全体を見渡しても同じスタイルのチームが存在しないことを理解するのだ。

 同じバスク地方のアスレティック・ビルバオ、オサスナは前から激しくプレスに行くインテンシティの高いスタイルだ。メンディリバルもバスク人でアスレティックを参考にした、と言っていたので当地の伝統が反映されているのに違いない。だが、いずれもDFラインはそこまで高くないし90分間上げっ放しということはしない。リスクを負うことを厭わず、どんな相手でも同じサッカーを貫くという潔さ&頑固さは、メンディリバル独自の美学なのだ。

 というわけで、今季もいつもと同じ。[4-4-2]だけではなく[4-3-3]にもトライし、FWのプレスを犠牲にし中盤の抵抗力を上げるマイナーチェンジのみで5季連続残留に挑んでいる。第9節でバルセロナに完敗(0-3)し、「私が間違っていた」とへこんだが、翌週はまた同じサッカーをしていた!


Photo: Getty Images

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Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。