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プレミアリーグで最も「サステナブル」なクラブは?サッカー界が環境貢献でも模範となるべき時代に

2022.03.01

2015年の国連サミットで持続可能な開発目標(SDGs)が採択されて以来、世界中の国や自治体、そして多くの企業がサステナブルな地球環境を維持するために様々な活動を行っている。スポーツ界も例外ではなく、イングランドのフットボールクラブもそれぞれ工夫を凝らしてCO2削減や節電・節水に繋がる施策を展開中だ。電力の自家供給を可能にする巨大蓄電池の設置、繰り返し使えるコップや食べられるコーヒーカップの導入、練習場での野菜栽培、コウモリやハリネズミの家作り……等々、各クラブの興味深い取り組みを見てみよう。

 英『BBCスポーツ』は、国連が支援する「スポーツ・ポジティブ・サミット」とともに2019年からプレミアリーグ20クラブの「持続可能性」を評価する「サステナビリティ・ランキング」を発表している。3年目となる2021年は、下の11項目によって各クラブがランク付けされた。

 ・ポリシーと取り組み(Policy and commitment)
 ・クリーンエネルギー(Clean energy)
 ・省エネルギー(Energy efficiency)
 ・持続可能な交通手段(Sustainable transport)
 ・使い捨てプラスチックの削減または廃止(Single-use plastic reduction or removal)
 ・廃棄物管理(Waste management)
 ・節水(Water efficiency)
 ・植物由来または低炭素の食品(Plant-based or low-carbon food)
 ・バイオダイバーシティ(Biodiversity)
 ・教育(Education)
 ・広報と啓発活動(Communications and engagement)

 この“サステナビリティリーグ2021”で1位に輝いたのが、リバプールとトッテナムの2クラブだ。

Premier League Sustainability Rankings 2021

サステナビリティのチャンピオン、トッテナム

 2019年から3年連続で「サステナビリティ・ランキング」1位の座をキープしているトッテナムは、プレミア界のサステナビリティ・リーダーだ。2019年4月に完成した新スタジアムのコンコースの床材は、取り壊した旧スタジアムの瓦礫から作られた。「あなたが立っているこの床には、1899年から2017年まで使われたホワイトハートレーンの瓦礫が埋め込まれています」と記されたプラークも取り付けられている。ファンが新しいスタジアムでもクラブの歴史を感じられるようにという粋な計らいだが、古いスタジアムをリサイクルすることで廃棄物を減らすという意図もあった。「これまでに私たちが行ってきた取り組みの中でも最もサステナブルな取り組みの1つです」と、クラブ代表取締役のドナ・マリア・カレンは語っている。

 昨年1月には、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の「スポーツ気候行動枠組み」に署名。スポーツ界が協力し、地球の平均気温上昇を2℃以下に抑え、2050年までにCO2の排出量を実質ゼロにするというパリ協定の目標達成に貢献する取り組みだ。プレミアリーグも11月、この「スポーツ気候行動枠組み」に署名している。

 昨年9月には、英『スカイニュース』の協力を得て同月19日のチェルシー戦をプレミアリーグ初の「ネット・ゼロ・カーボン・マッチ」と銘打ち、クラブも『スカイスポーツ』のチームも極力CO2の排出を減らす努力をすることを宣言。クラブ公式サイトやSNSを通じて、ファンに自転車や公共交通機関の利用やベジタリアンメニューの選択を促した。

 そして12月、『スカイニュース』からこの取り組みによる成果の発表があり、両チームのチームバスがバイオディーゼル燃料を使用したことでCO2の排出が80%抑えられたこと、スタジアムの電力供給には100%再生可能エネルギーが使用されたこと、スタジアムの売店で販売されたベジタリアンフードの量がそれ以前のほぼ2倍になったこと、スタジアムを訪れたファンが歩いた距離、電気自動車やハイブリット車で移動した距離などが報告された。

クリーンエネルギー利用でリードするアーセナル

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Profile

田丸 由美子

ライター、フォトグラファー、大学講師、リバプール・サポーターズクラブ日本支部代表。年に2、3回のペースでヨーロッパを訪れ、リバプールの試合を中心に観戦するかたわら現地のファンを取材。イングランドのファンカルチャーやファンアクティビストたちの活動を紹介する記事を執筆中。ライフワークとして、ヨーロッパのフットボールスタジアムの写真を撮り続けている。スタジアムでウェディングフォトの撮影をしたことも。