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総資産50兆円オーナーの買収でどう変わる?地元記者が語るニューカッスルの可能性、底力、フットボール愛

2021.10.14

10月7日、サウジアラビアの政府系ファンドが主体となるコンソーシアムがニューカッスル・ユナイテッドFCの所有権を100%取得。マンチェスター・シティの10倍とも言われる、世界一の資金力を持つクラブがプレミアリーグに誕生した。2007年からのマイク・アシュリー前オーナー下で2度の2部降格を経験し、近年のプレミア復帰後も10位、13位、13位、12位と中位が定位置で、今季はここまで0勝3分4敗と19位に低迷するイングランド北東部の古豪は、この買収によっていかなる変貌を遂げるのか。地元紙『イブニング・クロニクル』のニューカッスル番記者への取材を交え、現地からレポートする。

 英メディアのゴシップ欄をひと通り眺めているが、何はともあれ、ニューカッスル一色である。

 10月11日の英大衆紙『デイリー・ミラー』は、ニューカッスルが移籍解禁となる来年1月年明け早々、フランス代表FWアントニー・マルシャル、イングランド代表MFジェシー・リンガード、オランダ代表MFドニー・ファン・デ・ベーク、コートジボワール代表DFエリック・バイリーのマンチェスター・ユナイテッド所属4選手を引き抜くと報道。今季も新たにクリスティアーノ・ロナウド、ジェイドン・サンチョ、ラファエル・バランを加えたチームで、すっかりベンチウォーマーとなっている状況の彼らを取り上げ、いかにもありそうな噂話に仕立てられている。

 またミラーのライバル紙『ザ・サン』は、今週中にもスティーブ・ブルース監督が解任されると報じた。こちらは“ゴシップ”(噂話)と呼ぶにはかなり真実味のある話だ。強豪復活への第一歩は才能ある監督の招へいである。当面はアシスタントコーチのグレアム・ジョーンズが代行監督として指揮を執る、という記述も解任話に信憑性を加えている。

 買収決定以降、これまでにメディアで取り沙汰されたニューカッスルの新監督候補は、アントニオ・コンテ、ルシアン・ファブレ、ロベルト・マルティネス(現ベルギー代表監督)、ブレンダン・ロジャーズ(現レスター監督)、スティーブン・ジェラード(現レンジャーズ監督)、フランク・ランパード等々、ビッグネームがずらりと並ぶ。

2019年7月の就任から3季目を迎えた60歳のイングランド人監督スティーブ・ブルース

 補強選手候補の名前もまさに豪華絢爛の一語。キリアン・ムバッペ、ロベルト・レバンドフスキ、アーリング・ホーランド、ハリー・ケインといった現在の移籍市場で実績、移籍金額ともに最高峰の大物から冒頭のマンチェスターU勢まで、現時点で動く可能性のある有力選手の名前がすべて登場しているという印象だ。

 しかし果たして、総資産50兆円の超大富豪に買収された新生ニューカッスルが実際に有力監督を招へいし、超一流選手を次々と獲得して、近い将来、プレミアリーグの覇権を争うようなクラブに生まれ変わることができるのか。ここでは、武藤嘉紀(現ヴィッセル神戸)の取材を通じて盟友となった地元紙『イブニング・クロニクル』のニューカッスル番記者、リー・ライダー氏を取材し、その可能性について記してみたい。

マンチェスターやリバプールに劣らない、北東都市の“下地”

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ニューカッスルビジネス

Profile

森 昌利

フリーランス・ライター。1962年、福岡生まれ。1986年から編集プロダクション勤務を経て1988年からフリーランスとなる。1993年、英国人女性と結婚して渡英。ロンドンの出版社勤務を経て1998年から再びフリーランス。英国でのサッカー取材は1999年から開始。2001年、元日本代表FW西澤明訓番として報知新聞と契約。以来、プレミアリーグの現地取材を通じ『フットボール』と呼ばれる発祥国のサッカーを英国在住歴四半世紀で培った現地感覚でレポートしている。