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いよいよ今週末2021シーズンのJリーグが開幕! 打倒フロンターレの有力候補、G大阪と名古屋のJリーグ初戦を占う

2021.02.22

今週末、いよいよ2021シーズンの開幕を迎えるJリーグ。昨季圧倒的な強さで戴冠を遂げた川崎フロンターレが連覇を果たし“フロンターレ時代”を誇示するのか、それとも待ったをかけるクラブが現れるのか。今回は、ストップ・ザ・フロンターレの有力候補となるべき2チーム、 昨季リーグ戦2位のガンバ大阪と3位名古屋グランパスの試合をピックアップして、西部謙司さんに開幕節をプレビューしてもらった。

神戸 vs G大阪:イニエスタ不在神戸の“プレス強度”がカギ

 ともに攻撃型だが、総合力でガンバ大阪が優位ではないだろうか。

 ホームの神戸はアンドレス・イニエスタの欠場が大きい。攻撃のキーマンであるイニエスタの代役としては井上潮音を東京ヴェルディから補強しているが、完全に穴埋めできるとは思えない。また、そこをカバーできたとしてもカウンターアタックを受けやすく、その点が改善されていなければG大阪を抑え切るのは難しいだろう。

 神戸のボール支配力は高く得点力もあるのだが、押し込んだ後の敵陣のハイプレスがあまり機能していない。カウンターを減速させたとしても、いったん自陣へ戻ることになるのでポゼッションの強さがあるにもかかわらずリズムをつかみ切れないのだ。イニエスタがいない分、ハイプレスに鋭さが出てくるのを期待するしかない。

 G大阪はゼロックススーパーカップでは[4-3-3]でプレー。対戦した川崎フロンターレと同種のポゼッションとハイプレスのスタイルはまずまず機能していた。自陣からのビルドアップでポイントになるGKを含めたパスワーク、中央を経由させるパスワークのどちらもうまくやれていて、もともと敵陣に入ればサイドでキープできるので奪われても方向を限定しやすくハイプレスも機能するだろう。

 また、宮本恒靖監督は昨季のベースだった[4-4-2]や3バックも手の内に入れており、相手にボールを持たせてカウンターを狙う戦い方も慣れている。戦い方に幅があるのも優位に作用すると思われる。新加入のレアンドロ・ペレイラとチアゴ・アウベスがどの程度フィットしているかはわからないが、昨季の主力だった宇佐美貴史とパトリックが健在だ。

 神戸が押し込む時間帯はあるだろうが、G大阪には神戸のハイプレスをかいくぐれる力がある。いずれはG大阪が押し込む形になるのではないか。神戸のハイプレスが昨季並みの強度なら、G大阪のカウンターアタックが炸裂するだろう。

 神戸にも古橋亨梧というスピードスターがいるので、カウンターには威力がある。ゴール前にはドウグラスもいる。G大阪相手でも得点は十分に期待できるだろう。しかし、得点以上に失点しそうでもあり、やはりG大阪が有利と見る。

スコア予想:神戸 1-2 G大阪

福岡 vs 名古屋:福岡の勝機は“立ち上がり”次第

 アビスパ福岡は立ち上がりが勝負だ。高い位置からの連動したプレスで名古屋グランパスのパスワークを分断したい。先制点を取れれば勝機は出てくる。最初の15分間ですべてを出し尽くすぐらいの勢いが必要だと思う。

 名古屋はオーソドックスなスタイルなので、福岡としてはプレスでのハメやすさはある。名古屋のGKミチェル・ランゲラクは攻守に定評があるが、足下が抜群に巧いタイプではない。中央のボランチへのマークを厳しくすれば、サイドからの組み立てに的を絞りやすい。立ち上がりで福岡がペースを握る可能性はある。

 しかし、その15~20分間で得点できなければ、その後は名古屋のペースになるだろう。昨季、鉄壁を誇った守備は健在。丸山祐市、中谷進之介が組むセンターは強固で、SBにはサガン鳥栖から森下龍矢が加入している。マッシモ・フィッカデンティ監督が福岡の先制攻撃を読み違えるとも思えず、福岡の捨て身のラッシュをシャットアウトするのではないか。

 稲垣祥と米本卓司の安定感抜群のボランチには長澤和輝、木本恭生の即戦力が加わっている。サイドアタッカーには前田直輝、マテウス、相馬勇紀、齋藤学。トップ下にも阿部浩之とガブリエル・シャビエルとバックアップも充実。5人交代制で層の厚さが武器になるはずだ。

 オールマイティ型だが強固な守備をベースにしている名古屋なので、福岡の急襲を受けても大きく崩れるとは想像しにくい。たとえ先制されたとしても、ペースを握れば逆転は十分可能だろう。

 福岡のサイドMFを押し下げてしまえば、福岡は陣形が崩れてカウンターが機能しなくなる。時間の経過とともに名古屋が押し込めば福岡をサンドバッグ状態にできる。ただし、名古屋の前線には高さがない。山崎凌吾はいるが先発は柿谷曜一朗だろう。ドウグラス・グローリ、カルロス・グティエレスのCBコンビも固い。スペースがなくなればサイドのスピードも威力は半減する。福岡は押し込まれてしまうと点は取れなくなるが、守備で耐え切れる可能性は残る。

 名古屋が先制した場合は、福岡は攻撃に出ざるを得なくなり名古屋のカウンターをまともに食らう展開が想定される。福岡は先制攻撃で驚かせるとともに、絶対に失点は避けなければならない難しさがあるわけで、勝敗を予想するなら名古屋の優位は動かない。

スコア予想:福岡 0-2 名古屋

Photos: Getty Images

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Profile

西部 謙司

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。

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