新・戦術リストランテ VOL.113
footballista創刊時から続く名物連載がWEBへ移籍。マエストロ・西部謙司が、国内外の注目チームの戦術的な隠し味、ビッグマッチの駆け引きを味わい尽くす試合解説をわかりやすくお届け!
第113回は、コモ対インテルの撃ち合いを戦術的に読み解く。前半は拮抗した守備戦。しかし後半、ゲームは一気に解き放たれた。コモのハイブロックがインテルを封じた構図は、なぜ崩れたのか――逆転劇の裏にある「守備の設計」と「強度」の関係に迫る。
ハイブロックが機能した理由とインテルの停滞
CL出場権獲得を狙うコモと首位独走のインテルの一戦は3-4という派手な点の取り合いになりました。
30分あたりまで、ほぼ何も起きていません。緊張感はあるのですが、どちらもなかなかシュートまでいかない。決勝戦などにありがちな「守り合い」の様相でした。ここまでを見る限り、合わせて7点も入るとは思いませんでした。
どちらの守備も機能していました。ただ、守備の仕方が違っていて、そのぶんコモが優勢な流れになっています。
インテルの3バックに対して、コモはバトゥリナ、ドゥビカス、ニコ・パスの3人が対峙。自分の背後にいるインテルのMF(バレッラ、チャルハノール、ジエリンスキ)を背中に置いてパスコースを遮断します。ハイプレスというよりハイブロックですね。最近流行しています。イングランド戦の日本代表もこれでしたね(下図)。

ちょっと特殊だったのがディアオのポジショニング。ディ・マルコをマークしながら、途中で右SBファンデル・ベルンプトに受け渡していました。基本的にマンツーマンなのですが、ここだけ曖昧な感じ。というのも、インテルが早々にMFが下がってきて配置を変化させていたからです(下図)。
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Profile
西部 謙司
1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。
