6年ぶりにクラブへ帰ってきた情熱の守護神。赤星拓が携える「サガン鳥栖にすべてを捧げる覚悟」
プロビンチャの息吹~サガンリポート~ 第4回
6月1日。サガン鳥栖から1つのリリースが発表される。それは2007年から12シーズンに渡って守護神としてチームを支え、J1昇格をはじめとしたクラブの歴史をよく知る赤星拓が、鳥栖の“強化部サポート”に就任することを伝えるものだった。引退後はベストアメニティグループに入社し、近年は起業も果たすなど、社会人として着実にステップを踏んでいた男は、なぜこのタイミングで愛するクラブへ戻ってきたのか。おなじみの杉山文宣が本人を直撃する。
強化部サポートへの就任。6年ぶりの鳥栖復帰
「ホント、みんなうまいですよね。自分が現役のときがこうじゃなくてよかったです。いま、自分が現役だったらすぐにクビになったでしょうね(笑)」
サガン鳥栖が練習する鳥栖市の北部グラウンドに懐かしい顔があった。試合に向けて懸命に汗を流す選手たちの姿を見て自虐混じりにそう話す男性の正体は赤星拓。07年に鳥栖に加入し、ルーキーながら開幕戦にいきなりスタメン出場。2年目からは背番号1を背負うと11年にはクラブ史上初のJ1昇格に貢献。翌年も守護神としてシーズンをとおして活躍し、以降は控えに回るシーズンが続いたが、実直な性格からピッチ内外でリーダーとしてチームを支えてきた。18年の夏に徳島へ期限付き移籍を経験し、プロ入り以来、初めて鳥栖以外のクラブを経験したが、そのシーズン限りで現役引退を決断した。
そんな赤星が鳥栖へと戻ってきた。6月1日、クラブから赤星の強化部サポート(※アカデミースカウトサポート)への就任が発表された。18年に現役を引退して以来、実に6年ぶりの鳥栖への復帰。この6年の期間とこれからについて赤星に話を聞いてみた。
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まずは引退した直後のころを振り返ってもらう。赤星自身、プロ12年のうち、11年半の時間を占める鳥栖への思いは強かった。当然ながら引退後も「可能なら鳥栖で」という思いは抱いていた。
「引退を決断したのが急遽という形だったので、クラブとしても当時はポストに空きがない状況だったと思います。当時、永井さん(永井隆幸・現クラブ強化担当)といろいろ話し合ったんですが、ここまでお世話をしてもらったうえに無理やりに自分のポストを作ってもらっても申し訳ないなと思いました。それもあって、またイチから勉強し直したい気持ちになって(母校の)福岡大学に戻って、またイチからやっていきますとあいさつしに行ったことを覚えています」……
Profile
杉山 文宣
福岡県生まれ。大学卒業後、フリーランスとしての活動を開始。2008年からサッカー専門新聞『EL GOLAZO』でジェフ千葉、ジュビロ磐田、栃木SC、横浜FC、アビスパ福岡の担当を歴任し、現在はサガン鳥栖とV・ファーレン長崎を担当。Jリーグを中心に取材活動を行っている。