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1対1とコンビネーション、「速い」のはどっち?横浜FMとアル・アインの差を考える【ACL決勝第2戦分析】

2024.05.29

新・戦術リストランテ VOL.17

footballista創刊時から続く名物連載がWEBへ移籍。マエストロ・西部謙司が、国内外の注目チームの戦術的な隠し味、ビッグマッチの駆け引きを味わい尽くす試合解説をわかりやすくお届け!

第17回は、ACL決勝第2戦アル・アイン対横浜F・マリノスの大一番を徹底分析。退場者が出たとはいえ、5-1の大差がついた両チームの「差」について考えてみたい。

 ホームでの第1戦を2-1で勝利した横浜FM。しかし、アウェイに乗り込んだ第2戦は5-1の完敗となりました。

 2戦通しての感想は「ラヒミにやられた」です。

 スフィアン・ラヒミはモロッコ代表の27歳。今回のACLでは13試合で13得点の大活躍、当然のごとく大会MVPに選出されています。初速が抜群に速く、動き出しのタイミング、アイディア、プレーの精度など、圧倒的でした。ラヒミの速さを活かした攻撃に振り切ったのは勝因の1つでしょう。

 第2戦は1点ビハインドのアル・アインが攻勢に出ることが予想され、実際にそうだったわけですが、その分、横浜FMにもカウンターのチャンスが増えるだろうと思っていました。第1戦は勝利したとはいえ、相手に引かれて深さを消され、特徴である縦のスピードを発揮する場面は多くなかった。第2戦は相手が間違いなく前に出てくるので、横浜FMの持ち味も出しやすくなるだろうと――。

ラヒミはなぜ、「速い」のか?

 ところが、そうはなりませんでした。決定的だったのは前半ロスタイムのGKポープ・ウィリアムの退場です。これで趨勢が決まりました。

 ただ、それ以前から横浜FMの攻撃は封じられていました。10人にならなければ後半から反撃できたかもしれませんし、さほど変わらなかったかもしれない。そこはわかりません。退場者が出たことで前半から優勢だったアル・アインがさらに優位になったという事実があるだけです。5点奪われての大敗となりましたが、2点はロスタイムに入ってから。実質的には1-3だと思いますが、非常に厳しい結果となりました。

 敗因はアル・アインの速い攻撃を防げなかったこと。そして自分たちの攻め込みを寸断されたこと。攻守において横浜FMは劣勢でした。

 アル・アインの先制が早かったですね。9分にラヒミが決めて2試合合計2-2としました。この先制点はアル・アインの攻撃の特徴が集約されていたと思います。

……

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Profile

西部 謙司

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。

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