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シャビ続投という危険な賭け。ピュアな監督としたたかな会長、“フーリガン”コンビ団結の舞台裏

2024.04.29

サッカーを笑え #12

1月27日の「今季限り」表明から一転、バルセロナは4月25日、シャビ監督の続投を発表した(現契約は2025年夏まで)。16日にCL準々決勝でパリ・サンジェルマン(1-4)、21日にはリーガ第32節でレアル・マドリー(3-2)に敗北。無冠確実となった中で決断された退任撤回の裏側、その“ショー”を主導したジョアン・ラポルタ会長の思惑に迫る。

 「君主は豹変する」

 こうシャビに言われたら返す言葉はない。

 3カ月前に「辞める」と言ったらチームがリアクションし、13試合負けなし(10勝3分)を記録した。選手にもフロントにも信頼されている感じがした。よって、意見を変えた。一方、フロント側には財政的に苦しいクラブに来てくれる新監督の当てはなかった。よって、続投を支持した。

 それ以外の、今回の決断と矛盾するすべての言葉は過去のものだ。

 「無冠に終わったら決断しなければならない」(ラポルタ会長/昨年12月)

 「バルセロナで監督するのは残酷だ」(シャビ/今年1月)

 あの日から耳にタコができるほど繰り返された、「退任の決意は揺るがない」というセリフ。

 クラシコに敗れた後サンティアゴ・ベルナベウ・スタジアムで起きた「シャビ、続投!」というレアル・マドリーファンからの嘲(あざけ)りのコールがあってから、4日後のことだった。

……

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Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。

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