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世界的権威も「予防する術を知らない」、ACLのケガと奇妙なクラスター説

2024.03.18

サッカーを笑え #6

開幕4カ月で3人が見舞われたレアル・マドリー勢をはじめ、ビッグネームの相次ぐ発生事例に、今季スペインでも議論を呼ぶことになった「前十字靭帯」の損傷。今回は『過密日程と強度向上による生存競争。ケガとともに生きる』特集と連動して、その興味深い最新事情をレポートする。

今季の「13人」は多いのか、少ないか?

 昨年11月、代表戦でガビが右膝の前十字靭帯を損傷し涙を流して退場したシーンは、スペイン中にショックを与えた。連続先発させた酷使と、負傷したままプレーを続行させた采配で、デ・ラ・フエンテ代表監督に非難が集中した後、“前十字靭帯の損傷が増えている”式の記事を大量発生させることになった。今季のリーガエスパニョーラはダビド・シルバの引退に始まり、クルトワとミリトンの連続負傷と続き、今またガビも……というわけだ。

 そうした無数の記事に登場した、大学の研究機関やUEFAの調査、医師など専門家の意見から信頼し得る、と筆者が判断したものをピックアップし、リーガの前十字靭帯事情をまとめてみたい。

昨年11月19日のEURO2024予選ジョージア戦で、右膝前十字靭帯の完全断裂と外側半月板の損傷という大ケガを負った19歳ガビ

 まず前十字靭帯(以下、ACL)のケガは増えているのか?……

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Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。

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