【短期集中連載】名鑑から妄想するtkq的W杯プレビューA組&B組:開催国カタールの無駄知識からゴルファー・ベイルまで
カタールW杯がついに始まりますね! 11月の中東での開催という変則日程ですが、楽しみで仕方ありません。
みなさんはfootballistaから名鑑の決定版が発売されたことをご存じでしょうか?
footballistaが誇る気鋭のライターたちが現地情報盛りだくさんに各国の戦力・戦術を紹介するW杯に必須の1冊です。当然ながら私は執筆していません。私に名鑑の執筆依頼をするという致命的な判断ミスをしないfootballistaには安心感がありますね。
ただ、前回のEUROなど、今まで私は自分のnoteでfootballistaの名鑑だけを見て本大会の展開をプレビュー(妄想)するという記事をアップしてきました(毎回無断)。そこで、今回はその浅薄なプレビューをfootballistaのWEBに載せるという何がなんだかわからない依頼をされたので、気づいたら受けていました。この記事が載った後には私のプレビューを誰かがレビューして記事にします(しません)。
基本的には名鑑しか見ません。内容としてはプレビューと妄想でいくと1:9くらいの割合になるかと思いますので、細かい点についてはなるべく突っ込まないようにしてくださいね。約束ですよ。どちらかといえばプレビューというよりは、名鑑の書評に近い内容になるかと思います。
「W杯前に全チーム仕上げろ」と浅野編集長にきつく脅迫されているので、時間がありません。さっさとグループAとBいってみましょう! 全4回です! W杯開幕までに私が書き終わるのか!!footballistaの編集は終わるのか!(編注:footballistaのスペルを一個だけ間違えていたのは素晴らしい罠でした!)スリリングな闘いをお楽しみください!!
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グループA
○カタール
まずは開催国のカタールです! W杯初出場ながらも、2019年アジアカップでは日本を決勝で破って優勝しており、その実力はアジアのトップグループと遜色はないんじゃないでしょうか。ただ、それでもやはりグループステージでは一段実力が落ちるのはいたしかたないところ。その劣勢を、スペイン人監督フェリックス・サンチェスがアンダーカテゴリーから一括して育ててきた選手たちの結束力でなんとか跳ね返したいところです。
サンチェス監督ですが、バルセロナのカンテラで指導していたそうですね。肩書きがすごいですよね。私がJ2チームのGMだったら、サッカーの中身もたいして見ずに即座に監督にしてしまいそうです。肝心のサッカーの話ですが、アジアカップ決勝で日本とやった時も感じたのですが、カタールはめちゃくちゃビルドアップがうまいんですよね。日本のプレスを完全に空転させていました。なので、ハイプレスでがんがん来られてもそれほど慌てないんじゃないかと思います。そして運んだボールは日本戦でも得点をしたアフィフとアリがフィニッシュをしようという目論見です。うまくいくかどうかはわかりませんが、うまくいかせるしかありません。日程的に最後がオランダということもあって、突破とか決まっていたら油断してくれそうなので、なんとか開催国として1勝をもぎ取って欲しいものです。
あと、所属チームを見ていて思ったのですが、カタールのチームは全部「アル・○○」なんですね。調べたらアラビア語のアルは英語のTheと同じ意味だそうです。すごくどうでもいい知識を覚えて帰ってください。
○オランダ
2014年W杯で勇退したはずのファン・ハールが今大会でも監督に戻っていました。なんでやねん。その間、監督はブリント→フリム→アドフォカート→クーマン→ドワイト→フランク・デ・ブールと変遷を辿っていたようです。途中にこっそりビヨンセの名前を混ぜてもばれなさそうですね。あれ? じゃあ、前回W杯って誰が監督やってたんだっけ、って思って調べたところ、前回大会は予選を突破できずに出場してないという悲しい記憶を掘り起こしてしまいました。オランダ国民のみなさまに、謹んで謝罪いたします。
ただ、ファン・ハールは2014年には空飛ぶファン・ペルシーとともにオランダを3位まで導いたこともあり、期待できるんじゃないでしょうか。基本メンバーはEUROと変わらず。ただ、大きな違いは、EUROを欠場したファン・ダイクが今回はいること。代わりを務めていたデ・リフトがナイスハンドをしてしまって一発退場したことがEURO敗退の遠因となってしまったため、復帰は心強いですね。ファン・ダイクは「1年5カ月ぶりにドリブルで抜かれた」ということがニュースになったくらいの鉄壁の選手です。「ヒクソン・グレイシー400戦無敗」みたいな話なので、ほんとかよ、とは思いますが、ほんとなんでしょうおそらく。名鑑の戦術紹介によると、守備をファン・ダイクが締め、フレンキー・デ・ヨングがゲームを作って、デパイとかガクポが決めるというスタイルのようです。
まあサッカーは頑張って欲しいのですが、オランダと言えば難読メンバーの活躍も見逃せません。今大会のメンバーに選ばれるかはわかりませんが、トゥン・コープマイナース(Teun Koopmeiners)、ライアン・フラーフェンベルフ(Ryan Gravenberch)、ワウト・ウェフホルスト(Wout Weghorst)など多士済々たるメンバーが揃っていますので、選手名カタカナ表記審議会が忙しくなりそうです。そもそもMatthijs de Ligt(マタイス・デ・リフト)もかなり怪しい気がします。
○セネガル
前回大会では日本と同組だったセネガル。2-2と壮絶な撃ち合いの末に引き分けましたが、今回もそのメンバーはほとんど健在。いわゆる「黄金世代」の集大成となる大会でしょう。率いるのは、そのダンディな見た目と大きな身振りから日本のネットのおもちゃにされてしまったアリウ・シセ監督。日本とグループは違いますが、今大会も多数のフォトジェニックな姿を披露してくれることと思います。個人的には爆裂過剰アクションインド映画『RRR』とのコラボを望みます。何をどうコラボするのか知りませんが。
守備はチェルシーに移籍した万能超人クリバリと同じくチェルシーGKのメンディが締め、中盤でクヤテとゲイェというフィジカルな選手が潰し、前線はマネ、ディア、サールという能力の高い棍棒で殴るというスタイルは変わらないようです。名鑑によると中盤は省略して前線にバンバン配給していくらしく、これだけ聞くとかなりの脳筋気味ですが、ここまで打撃力が高いと「ドアが開かないなら壊れるまで殴る」が最適解の気もします。適当に放り込んでおけば、2点くらいは取ってくれそう、そんな予感さえも漂わせる前線です。
セネガルの名鑑を見ていて気づいたのは、苗字のバリエーションが少ないこと。載っている選手だけでも、ディアロ、サール、ゲイェ、ディエン、シスで5ペアの上、メンディにいたっては3カードあります。ポーカーやったらめっちゃ強い。これに加えて、ディエン、ディア、ディエディウ、ディアタ、ディアロの類似ネームが前線に集中している難易度5の陣容でもあります。実況、解説のみなさまにおかれましては、大会前までに顔と名前を一致させておくようご注意願います。
○エクアドル
9月に日本と親善試合を行っていて、その印象がまだ残っているエクアドルです。南米らしいテクニックがあって、さらには異常に競り合いが強くて、実力派のチームでしたね。中盤の中央に陣取る21歳のカイセドは特にエネルギッシュで、現在はブライトンに所属していますが、早晩ステップアップするんだろうなという予感を漂わせています。CBのインカピエという珍しい名前の選手からゲームメイクが始まり、左からのフィニッシュで締めるという形が多いらしいです。日本戦には後半残り15分しか出場しなかったエースのエネル・バレンシアも当然先発で出てくるでしょうし、セネガル、オランダともいい勝負をするんじゃないでしょうか。
さて、そんなエクアドルですが、選手紹介のところで「16歳の時に父親が逮捕・投獄された経験があり、プロとして稼いだお金を保釈金にした」、「出生地を巡る疑惑で国の本大会出場が危ぶまれるも“シロ”判定に」、「妹が誘拐される事件が起きたが、ジャングルで無事保護」、「幼少期は裕福な子との“賭けサッカー”を収入源に」など、私たちが南米に持っている偏見をそっくり文字にしたようなエピソードが満載になっています。どのエピソードがどの選手に当てはまるかは、名鑑でご自分でご確認ください。また、監督のグスタボ・アルファロが強烈に「南米の大統領」顔をしていますので、そちらも名鑑でご確認ください。
グループB
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Profile
tkq
世界ロングボール学会(WLBS)日本支部正会員。Jリーグの始まりとともに自我が芽生え、カントナキックとファウラーの薬物吸引パフォーマンスに魅了されて海外サッカーも見るように。たぶん前世でものすごく悪いことをしたので(魔女を10人くらい教会に引き渡したとか)、応援しているチームがJ2に約10年間幽閉されています。一晩パブで飲み明かした酔っ払いが明け方にレシートの裏に書いた詩のような文章を生み出そうと日々努力中です。【note】https://note.mu/tkq