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昔のような組織やマネージメントでは解消できないところまで…ドイツでも起こっている「指導者不足」問題

2022.09.27

中野吉之伴の「育成・新スタンダード」第18回

ドイツで15年以上にわたり指導者として現場に立ち続け、帰国時には日本各地で講演会やクリニックを精力的に開催しその知見を還元。ドイツと日本、それぞれの育成現場に精通する中野吉之伴さんが、育成に関する様々なテーマについて提言する。

第18回は、近年世界的に叫ばれている子どものスポーツ離れと同じくらい憂慮すべき事態である、指導者不足について。サッカー大国ドイツでも今まさに表面化しているというこの問題に街クラブが、そして指導者である中野さんがどう向き合っているのかを綴る。

 サッカークラブにとって、「指導者がいない」というのは由々しき問題だ。

 誰でも簡単にできるものではないし、子どもたちに悪影響を及ぼす人に任せたりすることはできない。だからといって、誰もやってくれないとチームを存続させることもできない。

 ドイツのグラスルーツでも、各クラブは毎年この大きくて大事な問題に直面している。

 僕が今所属しているSVホッホドルフは比較的指導者をやってくれている人が多いし、子供たちの成長を考えた指導をしようとしてくれている。

 特に子どもたちがまだ小さいU-6~U-11までは活動時間も比較的少ないし、周囲からのプレッシャーも大きくはないし、クラブからの要求もそこまで高くはないのが正直なところ。息子/娘がプレーしているから、時間を作ってグラウンドに一緒に立っていたいという親御さんは一定数以上いてくれている。実際、各チーム10~15人ごとに3人ずつ指導者がいるというのは、相当に恵まれている環境と言えるだろう。3人いるから、週に2回のトレーニングをうまく手分けしながらオーガナイズすることができるのもメリットだ。

 でも、U-12以上になるととたんに指導者を続ける人が減ってくる。U-6/U-7からお父さんコーチとしてやっていると、もう5年近く続けていることになる。数年ならうまく自分のスケジュールをコントロールできても、世界情勢や会社の諸事情などでそこまで時間を作れなくなる、なんてことは普通にある。そろそろ他の人にバトンタッチしたいという時期になるのだ。

 時代的に、サッカーだけで毎日のスケジュールが回るという人がものすごく減ってきていることも理由として挙げられるだろう。サッカー以外の娯楽、家族の時間、副業との兼ね合い――そうそうグラウンドばかりにみんなが足しげく通えるわけではない。

 あと、U-12くらいになると強豪クラブへの移籍を考えたり、スカウトを受ける子が出てくるのも1つの特徴かもしれない。そうしたステップアップの渦中にいる子のお父さんが、お父さんコーチとして関わっているというケースが結構な頻度である。そして、息子の移籍とともにそのチームで指導者を続けることへの意欲を失い、辞めていく。

 以前から強調している通り、ドイツのグラスルーツにおける育成指導者は基本みんなボランティアで関わっている。お父さんコーチ、お母さんコーチの熱意とクラブとの繋がりで成り立っているといっても過言ではない。それは今もある。そしてとても大事にされている。でも、昔のようなオーガナイズやマネージメントのままでは、人手不足を解消できないというところまできているのだ。

写真は、2019年に開催されたエリートユースコーチワークシップの様子。優れた若手を輩出しているドイツでも、指導者の確保は大きな問題となっているという

選手の移籍で親御さんコーチが辞任

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Profile

中野 吉之伴

1977年生まれ。滞独19年。09年7月にドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを取得(UEFA-Aレベル)後、SCフライブルクU-15チームで研修を受ける。現在は元ブンデスリーガクラブのフライブルガーFCでU-13監督を務める。15年より帰国時に全国各地でサッカー講習会を開催し、グラスルーツに寄り添った活動を行っている。 17年10月よりWEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)の配信をスタート。