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パスミスとGKのビルドアップ参加失敗。イタリア勢CL敗退の要因を探る

2021.03.20

 今季のUEFAチャンピオンズリーグで、1チームも準々決勝に送り込むことができなかったイタリア勢。UEFAヨーロッパリーグでもベスト8に勝ち残ったのはローマだけという現状から、国内のメディアは「大反省会」を展開している。

イタリア各紙が批判を展開

 3月18日の『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は「大局としての落第。戦術的にも技術的にも限界がある」とし「アタランタではムリエルやマリノフスキーがパスでミスを犯し、ラツィオのムザッキやユベントスのベンタンクールがバックパスをミス。インテルはシャフタールを前にラストパスを出せなかった。イタリア勢はまず何より技術的な欠点のツケを払わされた」と批判した。

 『コリエレ・デッロ・スポルト』は「失敗の解剖」と題してサッカー評論家から話を聞き「スピードやアグレッシブさ、勇敢さといったところを他国から真似て、育成段階から実行すること」「攻撃的なサッカーを行うという”実験”はやめるべきだ」「経済危機の中、現実的にはどう改良するかよりどう生き延びるかを考える時期」などの意見を集めていた。

 一方、一般紙の『コリエレ・デッラ・セーラ』は、ある1つの現象に注目していた。ポルト戦でのユベントス、またレアル・マドリー戦でのアタランタが、それぞれGKが参加したパス交換からのミスで失点していることから「GKを組み立てに参加させるのは正しいのか?」という分析記事を出したのだ。

GKからの組み立てに賛否両論

 GKのビルドアップへの参加は、現代のサッカーシーンにおいては必須の要素とも言える。「後方からのロングフィードよりも、エリア内から組み立てていった方が得点に結び付いているというデータから、GKの参加はリスクよりも利点の方が大きいと考えられている」と紹介しながら、「最近はここでのミスが高くつくことになるケースが多いため、議論の対象となっている」と、攻撃を重んじるトレンドに疑問を呈する意見の存在を語った。

 そして記事では、元GKのサッカー関係者2名が見解を語った。かつてミランで活躍したジョバンニ・ガッリ氏は「GKの優先順位はセーブにあるが、現代においてはもはや手を使うことのできるフィールドプレイヤーの1人と考えるのが常識だ」と時代への対応を求めた。

 一方、かつてイタリア代表GKコーチを務め、今はU-17イタリア代表を見ているファブリツィオ・フェロン氏は「育成段階においてGKはキーパスを放つことも要求されている」とする一方、「発展にはサッカー界全体でバランスを取っていくことが必要なのだが、結果へのプレッシャーが強いイタリアではこれが難しい」と、技術的な発展を妨げる障壁の存在を明かしていた。

 権勢を誇った一時代を懐かしみ、今を嘆くイタリア。もっとも、ネット上には「今に始まったことではあるまいし」「ラツィオやアタランタがRマドリーやバイエルンに勝てると思っていたのか?」といった冷静な反応もあった。


Photo: Getty Images

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Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。