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若手有望株のローン先としてブラックバーンがふさわしい理由とは?

2021.02.21

 最近プレミアリーグでは、あるクラブへの期限付き移籍が流行っているという。優秀な若手を育成するために、最後の試験として送り込む場所があるそうだ。それがイングランド2部のブラックバーンだという。

 あのペップ・グアルディオラやユルゲン・クロップ、そしてカルロ・アンチェロッティが、クラブのとっておきの才能をブラックバーンに送り込んでいるのだ。

大きいのはモウブレイの存在

 リバプールから武者修行に出ている17歳のハービー・エリオットは、フルアム時代にプレミアリーグ最年少の16歳30日でデビューした逸材である。そしてマンチェスター・シティのU-20イングランド代表CBテイラー・ハーウッド・ベリス(19歳)とエバートンのCBジャラッド・ブランスウェイト(18歳)は、今年に入ってブラックバーンにローン移籍している。

 彼ら3名は、いずれもそれぞれのクラブで既にトップチームデビューを果たしており、成長過程において今が最も重要な時期である。そんな彼らがブラックバーンに集まっているのだ。ブラックバーンといえば、FWアラン・シアラーを擁して1994-95シーズンにプレミアリーグを制したクラブだが、2012年に降格して以降、一時は3部リーグにまで沈み、現在はイングランド2部で中位に甘んじている。

 だから少し不思議に感じるが、立地面を考えると納得だ。リバプールやマンチェスターからブラックバーンまでは車で1時間ほど。簡単に行き来ができるのだ。

 だが、理由はそれだけではない。スポーツ情報サイト『The Athletic』によると、名将たちがブラックバーンを選ぶ理由には、チームを率いるトニー・モウブレイの存在があるという。

 攻撃的サッカーを重んじるモウブレイ監督は、コベントリーを率いていた2015-16シーズンに当時リバプールからローン加入していたライアン・ケント(現在レンジャーズ)や、今ではイングランド代表に名を連ねているジェイムズ・マディソン(当時ノリッジからローン加入)などの若手を中心に据えたチーム作りをした実績がある。

 「(ローン元の)監督の意向はそこまで知らない」とモウブレイ監督は『The Athletic』で説明する。「私が相手の監督と直接話すことはほとんどないからね。ペップやユルゲンはプレミアリーグ制覇を目指して多忙なので、若手について私が彼らに電話を入れることはない」

ブラックバーンのモウブレイ監督は若手を活用したチーム作りに定評がある

送り先を決めるのはクラブ幹部か

 監督同士が話す機会はほとんどないそうだが、代わりに他のスタッフが密に連絡を取り合っている。マンチェスターCには「フットボールパートナーシップ&パスウェイマネージャー」というスタッフがおり、プレミアリーグの他のクラブにもローンに出ている若手の面倒を見るスタッフがいる。

 モウブレイは、一流クラブが選手を送り込んでくることと自分の指導力はあまり関係ないと謙遜する。

 「おそらくクラブの幹部が、若手育成の実績があるクラブを選んで決めているだけさ」とモウブレイ。「クロップ、グアルディオラ、アンチェロッティは名将の中の名将だ。彼らが『この選手をモウブレイのところに送ろう。ちゃんとしたプレーを教えてくれるはずだ』と話しているとは思わない」

 だが反対の立場に立って考えれば、移籍先の決め手は間違いなくローン先の監督なのだ。モウブレイ自身も、自分が若手をローンに出す場合にはプレースタイルでローン先を決めるという。

 「選手を鍛えたいならタフな環境に送る。フットボールとは何なのかを教え込んでくれる厳しい監督のところにね。それ以外の場合は、自分のクラブと同じようなフットボール文化のクラブに送るよ」

 こうした優秀な若手のローン移籍は“ウィン・ウィン”に思えるが、借りる側にはリスクもあるとモウブレイは説く。

 「ローンで加入した素晴らしい若手がチームのベストプレーになってしまうと、シーズン後に大きな穴ができてしまう。翌シーズンも借りられるか聞いてみるが、たいていの場合、そういった若手は保有元のチームに留まるか、どこかに完全移籍するものさ」

 いずれにせよ、ブラックバーンに貸し出された3名は出場機会を得ており、2部リーグの厳しい環境で経験を積んでいる。来シーズン以降、モウブレイ監督の指導を受けた若手がプレミアリーグの舞台で花を咲かせるのか、今から楽しみだ。


Photos: Getty Images

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エバートンブラックバーンマンチェスター・シティリバプール移籍

Profile

田島 大

埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。