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コスタリカ戦の悪夢もよぎるGSで「ミシャ式」は希望になるか?強化試合から占う、日本代表の北中米W杯展望

2026.06.13

北中米W杯日本戦徹底解剖#1

北中米W杯へ向けて進化を続ける森保ジャパン。その戦いを『森保JAPAN戦術レポート』(小社刊)の著者・らいかーると氏と、ボローニャやミラン、イタリア代表などで分析官兼コーチを歴任し、FIGC(イタリアサッカー連盟)ではアナリスト講座の講師も務めるレナート・バルディが徹底解剖。配置、狙い、駆け引き――日本代表戦に潜む戦術の深層を、それぞれの視点から読み解く。

第1回では、北中米W杯グループステージ3試合をプレビュー。対戦相手となるオランダ、チュニジア、スウェーデンの強化試合を分析していくとコスタリカ戦の悪夢もよぎるが、果たして……。アイスランド戦で「ミシャ式」という新たな希望も手にした日本の行方を占ってもらった。

 W杯の季節となりました。

 今回のお題は、北中米W杯で日本代表はどう戦うのか?まずは、日本代表の状況について整理していきましょう。監督を日本人がやっているメリットは、これまでのW杯で得た経験値を生かしやすいことにあります。メンバー選び、コーチ選考、キャンプ地選び、コンディション調整などなど、過去の失敗を教訓にできるのは、その当事者や歴史、文脈を知る自国人監督の最大のメリットになるかもしれません。

 端から見れば、守田英正の不在に遠藤航の電撃離脱、OBが周囲にどんどん増えていく陣容、メキシコでのグラウンド問題、対外試合は少なすぎと、ツッコミを入れたくなる様子は多々です。しかし、現場の人たちがベストであると考えているならば、外部の我われはどうなるかみてみよう!と静観するしかありません。いちゃもんをつけたところで、太平洋に逃げたメダカに石を当てようとするものです。その検証は、現地で動向を追いかけている記者さんたちにお任せしましょう。

 どんな決断にもメリット、デメリットはあるでしょうし、天候を中心とした変動要因についてどうこういっても仕方がありません。仮にうまくいかなかったとしても、次につなげていくのが現代表の姿勢でもあるはずです。突然、外国人監督が就任して俺のやり方でやるんだ!となる世界線に入れば話は別ですが、それは神のみぞ知ると言ったところでしょうか。

瀬古の中盤起用がもたらす、冨安と伊藤の攻撃参加

 まずは、アイスランド戦から振り返っていきましょう。

 のちにサポートメンバーとして再合流することになる、吉田麻也の送別試合のようになった本大会前最後のテストマッチですが、欧州中堅国からときどき感じさせられる奥深さに苦戦を強いられました。三笘薫、南野拓実の不在で人選に注目が集まった左シャドーには、伊東純也が起用されています。右利きの伊東は大外と内側を使い分けながら、インスイングのクロスを入れるプレーが自然と多くなっていきました。しかし、その先に飛び込むのは誰やねん問題が起き、急場しのぎ感は否めない采配となります。

 アイスランドは[5-2-3]で構え、日本は[3-2-5]でボールを保持します。つまり、配置が完璧に噛み合う形です。質的優位を相手に押しつけられれば問題ありませんが、相手がそばにいる状態でそれをできそうな選手は見当たりませんでした。となると、配置をずらす必要がある。右シャドーの久保建英がフリーマンのように動き回ることで、状況の打開を狙います。このような自由な移動を繰り返していたのは久保のみで、他の選手はポジションチェンジの一環くらい。久保が何かをしなければ何も起こらなさそうな状況に、少し物足りなさを感じていました。

 ただし、これまでの日本が積み上げてきた[3-2-5]をそのままぶつけているというニュアンスとしては、間違った振る舞いではありません。新しさがあったとすれば、瀬古歩夢のセントラルハーフ起用でしょうか。メンバー発表会見で「ボランチの人数が少ない」と問われた森保一監督の「(所属クラブで)瀬古歩夢もCBをやりながら、少し前はボランチ、6番のポジションでプレーすることも多かった」という発言は本気だったようで、代表ではほとんど記憶にない瀬古の中盤起用がアイスランド戦の後半で試されたわけです。

 ここで面白い現象が。サッカーには、そのチームで最も上手な選手がよりボールに関われるようにすることで、状況を改善するという定石があります。久保の自由化もその一環でしょう。配置のずれを作ることも大事ですが、移動の末に誰が時間とスペースを得やすくなっているかのほうが大事な時代になってきているのかもしれません。

 瀬古は最終ラインに下りること、サポートをすることで右CB冨安健洋、左CB伊藤洋輝の攻撃参加のきっかけを作っていました。形だけをみると、まさかの「ミシャ式」です。セントラルハーフが下りて、3バックの両脇がSBのように振る舞っていく。確かに、クラブでプレーしているとはいえ、瀬古が中盤のライン間でプレーしたり、相手の2トップの間でターンしたりするよりは、空いている後方のエリアに下りてきて、時間とスペースを周りに配るほうが理に適っています。

 そして、攻撃参加をするのは冨安と伊藤。元アーセナルと現バイエルンです。相手からすれば最も脅威かもしれません。冨安と伊藤がウイングバックとシャドーの後方支援に回り、時にはポジションを入れ替えて前にも顔を出していくスタイルは、相手が撤退している時に日本が火力を最大化する、新たな策になる可能性が高い。実際に冨安がゴール前に飛び出したり、伊藤が左足で鋭いクロスを上げたりする姿は、想像がしやすいのではないでしょうか。

 今までもこのような形がなかったわけではありませんが、強化試合でそれをわざわざ晒すのか?という気がしなくもないです。3バックのうち、1人がSBのように振る舞うことは攻撃の常套手段になっているので、得点が欲しい時間帯に限られた一手になる可能性もあるでしょう。また、クロスに合わせる選手がいそうでいない問題への解答が冨安だとすると、パワーも相手に押しつけられるかもしれません。残り時間が少ない時は、小川航基、後藤啓介、塩貝健人のスクランブルアタックも理屈を超えて脅威になるかもしれないというアイスランド戦でした。

オランダ戦で怖いのはハイボールよりロングボール?

 さて、本戦のプレビューに移る前に、今大会のレギュレーションについて整理しておきましょう。

……

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Profile

らいかーると

昭和生まれ平成育ちの浦和出身。サッカー戦術分析ブログ『サッカーの面白い戦術分析を心がけます』の主宰で、そのユニークな語り口から指導者にもかかわらず『footballista』や『フットボール批評』など様々な媒体で記事を寄稿するようになった人気ブロガー。書くことは非常に勉強になるので、「他の監督やコーチも参加してくれないかな」と心のどこかで願っている。好きなバンドは、マンチェスター出身のNew Order。 著書に『アナリシス・アイ サッカーの面白い戦術分析の方法、教えます』 (小学館)。

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