REGULAR

主将3年目の責任感、谷口栄斗の指摘、「試された」0-5大敗、終盤戦での前進…脇坂泰斗と振り返る川崎FのJ1百年構想リーグ

2026.06.05

フロンターレ最前線#29

「どんな形でもタイトルを獲ることで、その時の空気感を選手に味わってほしい。次の世代にも伝えていってほしいと思っています」――過渡期を迎えながらも鬼木達前監督の下で粘り強く戦い、そのバトンを長谷部茂利監督に引き継いで再び優勝争いの常連を目指す川崎フロンターレ。その“最前線”に立つ青と黒の戦士たちの物語を、2009年から取材する番記者のいしかわごう氏が紡いでいく。

第29回では、J1百年構想リーグの地域リーグラウンドを総括してもらうべく、5月27日に主将・脇坂泰斗を直撃。その3日後に2-1の先勝を許したサンフレッチェ広島を本拠・Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsuに迎える、6月6日のプレーオフラウンド第2戦で結果と来季につなげたい「形」とは?

キャンプでの手応えから一転「やっていて一番感じたのは…」

――率直にハーフシーズンを戦ってみて、どうでしたか。

 「早かったですね。わかっていましたけど、やっぱりあっという間だったなと感じます。1年を通して戦うシーズンの半分が経った、ではなくて、これでシーズンが終わるっていうのもあるので余計に早く感じました。新しいシーズンに移行する準備期間の大会だと僕は捉えてなかったですし、結果は出なかったですけど、有意義な時間でもありました」

――対戦したチームとも、またすぐに試合がやってくる感覚があったのでは。

 「特定のチームと短いスパンでゲームをするのも新しかったです。相手のチームの状態がわかりやすいですよね。通年のリーグだと一度対戦した相手とはなかなか当たらないんですけど、スパンが短いですから。例えば自分たちが試合したばかりのチームと試合をしてるスカウティング映像を見て、『この相手とこういうゲームしてるから、今は調子いいんだろうな『とか、逆に『このチームは、ちょっと乗れてないんだろうな』っていうのも感じやすい。それは多分、他のチームと思っていたと思います」

――プレーオフラウンドがありますが、順位はEAST4位でした。勝ったり負けたりが続いた印象で、もちろん満足してないと思います。戦いぶりはどうでしたか?

 「やっていて一番感じたのは、人がそろわないな、と。キャンプではいい準備が出来ていて手応えもあったんです。シゲさん(長谷部茂利監督)になって2シーズン目で、監督の目指すサッカーはわかってきていました。それプラス、いい積み上げをキャンプでできている実感もあった。それは開幕戦でもつかめたかなっていう感覚はあったんですけど、なかなかメンバーがそろわないなっていうのを感じながらやってました。自分はずっといたので、ずっと出ていたメンバーはそこは感じてたんじゃないかと思います」

――特にCBですよね。丸山祐市選手やフィリップ・ウレモヴィッチ選手が開幕に難しい中、開幕直前に佐々木旭選手が不在になって、その後に谷口栄斗が離脱したりと、後ろの組み合わせに苦労していた印象です。

 「特定のポジションに限らず、シーズンを通してメンバーの入れ替わりが続く中で戦ってきました。それはやっていても感じましたけど、その中でどう勝ちにつなげていくかっていう作業に注力して戦った半年のシーズンだったかなって思います」

脇坂泰斗(Photo: Takahiro Fujii)

「一番はピッチで表現できてなんぼ」に滲む責任感

――個人としてはどうでしょうか。長谷部監督やクラブからは「突き抜けてほしい」と言われていました。強い思いを持って臨んだシーズンだったと思います。

 「数字の部分は、個人でこだわりたいと思っていました。でも、チームの結果が第一だった中で、なかなか勝ちを積み重ねられなかったことにはすごく責任を感じます。キャプテンとして力が足りなかったなっていうのは思いますね。5ゴール、4アシストですか。自分のことに集中したシーズンではあるので、もう少し数字が取れれば良かったシーズンですが、それとは別にチームを勝たせるとか、勝ち点につながるゴールやアシストはもっともっとできたと思ってます。ほとんど満足できなかったです」

――3年連続のキャプテンでもありました。チーム全体に目を配るところと、自分が突き抜けていくところのバランスを、今年は意識的に何か変えた部分はありましたか?

 「周囲に要求はするようにしてました。やはり高いレベルでプレーしたいので。簡単なミスが起こると、あえて怒るようにもしてました。それによって自分もミスできなくなりますし、自分のレベルも上げていきたかったので。意識的にというよりかは、自分がよりうまくなっていくためにですね。サッカーは自分1人ではうまくなれないので」

――そうした自分の思いをチームと共有させていく作業をしていく中で、もどかしい時期は?

……

残り:3,711文字/全文:5,676文字 この記事の続きは
footballista MEMBERSHIP
に会員登録すると
お読みいただけます

Profile

いしかわごう

北海道出身。大学卒業後、スカパー!の番組スタッフを経て、サッカー専門新聞『EL GOLAZO』の担当記者として活動。現在はフリーランスとして川崎フロンターレを取材し、専門誌を中心に寄稿。著書に『将棋でサッカーが面白くなる本』(朝日新聞出版)、『川崎フロンターレあるある』(TOブックス)など。将棋はアマ三段(日本将棋連盟三段免状所有)。Twitterアカウント:@ishikawago

RANKING