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ロベカル、アウベス、ビニシウス…ブラジル人選手は人種差別といかに闘い続けてきたか

2026.03.15

サウダージの国からボア・ノイチ 〜芸術フットボールと現実の狭間で〜 #26

創造性豊かで美しいブラジルのフットボールに魅せられ、サンパウロへ渡って30年余り。多くの試合を観戦し、選手、監督にインタビューしてきた沢田啓明が、「王国」の今を伝える。

footballista誌から続くWEB月刊連載の第26回(通算204回)は、南米や欧州で繰り返されてきたブラジル人選手に対する人種差別行為について。

 2月17日にポルトガル・リスボンで行われたCL決勝トーナメント・プレーオフ、ベンフィカ対レアル・マドリー第1レグの後半50分、レアル・マドリーのブラジル代表FWビニシウス・ジュニオールがゴールを決めた(これが決勝点となり、0-1で勝利を収めた)。そのセレブレーションの最中、ベンフィカの20歳のアルゼンチン代表FWジャンルカ・プレスティアーニが彼に近寄り、ユニフォームで口を覆いながら何やら伝えた。それを聞いたビニシウスは即座に主審のもとへ駆け寄り、「お前はサルだ、と罵られた。人種差別行為だ」と訴えた。

 両チームの選手が2人を囲んでもみ合い、ゲームは一時中断。試合後、レアル・マドリーのFWキリアン・ムバッペは「背番号25(プレスティアーニ)が5回そう言ったのを聞いた」と証言した。

 本人は否定しているが、何かを言った際に口元を隠したのは第三者に発言内容を悟らせない意図があったと見られている。

ベンフィカは問題となったシーンの映像を公開し、「距離」を理由に反論した

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Profile

沢田 啓明

1986年ワールドカップ・メキシコ大会を現地でフル観戦し、人生観が変わる。ブラジルのフットボールに魅せられて1986年末にサンパウロへ渡り、以来、ブラジルと南米のフットボールを見続けている。著書に『マラカナンの悲劇』(新潮社)、『情熱のブラジルサッカー』(平凡社新書)など。

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