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シティを絡め取った「撤退戦の美学」。ノッティンガム・フォレスト、[5-3-2]の守備設計

2026.03.11

新・戦術リストランテ VOL.108

footballista創刊時から続く名物連載がWEBへ移籍。マエストロ・西部謙司が、国内外の注目チームの戦術的な隠し味、ビッグマッチの駆け引きを味わい尽くす試合解説をわかりやすくお届け!

第108回は、プレミアリーグ首位のアーセナルに食らいつきたい2位マンチェスター・シティから2-2のドローを絡め取ったノッティンガム・フォレストの「撤退戦の美学」を考察する。

撤退守備は「3ライン」が基本形

 プレミアリーグ第29節、マンチェスター・シティvsノッティンガム・フォレストは2-2の引き分け。シティと首位アーセナルの差は7ポイントになりました。シティは1試合少なく、またホームでの直接対決も残していますが、この引き分けはちょっと痛かったのではないでしょうか。

 フォレストの撤退戦術がうまくはまった一戦だったと思います。

 撤退戦のやり方にもいくつかあります。極端なのは「5+5」の2ラインによるローブロック。代表的なのは[5-2-3]か[5-4-1]、あとは[4-4-2]。フォレストは[5-3-2]という形でした。

 どれが良いということもないのですが、2ラインはその前面が完全に開放されてしまうので、どうなのかなとは思います。いちおう3ラインあれば、曲がりなりにもフィルターは効きますし、ひょっとすると比較的高い位置でボールを奪えるかもしれない。実際、フォレストは何度か中盤でボールを奪ってカウンターを仕掛けるチャンスがありました。

 フォレストは5バックの前にMFを3人置いています。そしてイゴール・ジェズスとギブス・ホワイトの2トップ。ただ、ホワイトはシティのロドリをマークする役割を負っていました。シティの中盤中央のダイヤモンド型に合わせた形です(下図)。

 定石通り中央を固めて空けてあるサイドへ誘導する形ですね。これで奪えれば、シティの2バックの横には大きなスペースがあるので、そこを突くカウンターはやりやすくなります。

60分過ぎの設計されたシステム変更

 31分にシェルキのパスからセメンヨが決めたシティが1-0で折り返しますが、その後もフォレストは戦い方を変えませんでした。

……

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Profile

西部 謙司

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。

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