REGULAR

チームワークに潜む落とし穴。「サボり」を防ぐ4つのポイント

2020.09.01

塚本修太の現場で使えるサイコロジー 第4回

強豪・前橋育英高校でプレーした後、イングランドへ渡りソレント大学で「フットボール学」を専攻。コーチ、分析官、スカウトを「サッカーの母国」で経験し、日本代表MF小林祐希の個人分析官も務めた塚本修太氏は、イングランドFA主催の「サイコロジーライセンス」を5段階中レベル4まで保有する心理学のスペシャリストだ。異色の23歳が現場に心理学を適用し、 選手・指導者の悩みをアカデミックに解決していく。

第4回では、チームで起こってしまう「サボり」の予防法を考える。

 選手個々の能力を足し算したからといって、必ずしもチームのパフォーマンスを測れるわけではないサッカー。そこでよく注目されるのが、個人と集団の関係性です。トッテナムを率いるジョゼ・モウリーニョは「チームのためにプレーする選手とともに仕事をする。自己中心的な選手とは仕事ができない」と語っており、昨季のプレミアリーグ第17節ウォルバーハンプトン戦後も「この勝利はチームとして戦った成果として理解できる完璧な例だろう。難しい試合で勝利するには必ずチームとして戦う必要がある」と述べていたように、度々チームワークの重要性を強調しています。

トッテナムを指揮するモウリーニョ

 こうした「どのように個人は集団によって思考、意識、行動を影響されるか」「どのように集団は個人に影響されるか」を研究している分野が、社会心理学の「グループ・ダイナミクス」です。簡単に言い換えると「どのように集団がパフォーマンスを高めていくのか」「どのようなリーダーシップが集団をまとめていくのか」というテーマが扱われている学問領域になります。

 また、近年では選手たちを支えるスタッフの規模も拡大しています。分業化が進んで専門性の高いスペシャリストが集まった結果、彼らだけでも大きなグループを結成しているクラブがトップレベルでは増えてきているのです。例えばコーチングスタッフに目を向けても、約20年前はGKコーチやフィジカルコーチといった役職は存在せず、監督やアシスタントコーチがその役割を兼任していました。そうした業務は細分化され、さらには分析官やメンタルコーチまで引き入れているクラブも少なくないのが現状です。

「社会的手抜き」を防ぐチームづくり

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Profile

塚本 修太

1997年6月21日生まれ。茨城県水戸市出身。前橋育英高校をケガで中退したのち、イングランドのソレント大学フットボール学部へ。留学中にヨーロッパ諸国を訪れ、様々なサッカーメソッドを学ぶ。2020年7月に卒業予定。

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